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  • 2人~5人
  • 60分~120分
  • 12歳~
  • 2017年~

アルティプラーノwinterkoninkskeさんのレビュー

379名
6名
0
約3年前

二人プレイ時の感想を書きます。

アルティプラーノは、アンデス地方の発展を目指すべく、漁業や林業などを行いながら蓄えを増やしていくゲームです。

なお、同作家による前作「オルレアン」は未プレイですので、比較は行わずレビューしていきます。

まず、メカニクスの根幹にあるのは「バッグビルディング」と呼ばれる、個人に与えられた布の袋に資材を蓄えていく仕組みです。

プレイヤーはラウンドの始めに、各自の布袋から決まった数の資材を引きます。布に入る資材は全て同じ形の紙製トークンになっているので公平です。

引いた資材は、個人ボードの各アクションに対応するマスにセットして次のフェイズに移ります。

アクションフェイズでは、環状に並んだ7つのアクションスペースがあり、現在位置から移動(要コスト)するか待機するか選び、決定したスペースで対応するアクションを行います。

アクションを行うと、基本は個人ボードにセットした資材を変換して新しい資材を手に入れる効果を解決し、それらに使用した資材を「全て」個人用のコンテナの中に入れます。

これを各プレイヤーが移動もアクションも出来なくなるまで繰り返し、終わるとラウンド終了です。


さて、このゲームの面白い部分を説明するのは少し難しく、自分の場合は一回目のプレイで勝ち筋が見えず苦戦し、二回目でようやくゲーム全体の流れを何となく掴みかけたように思います。

まずバッグビルディングについて。

アクションを解決して、それに関わった(金を除く)全ての資材を自分のコンテナに入れます。コンテナに入れた資材は、現在の自分のバッグの中身がゼロになった時に、まとめて全て入れることで引けるようになります。しかしバッグドローはランダムなので、必ずしも前のラウンドで入手した資材が引けるわけでもない。つまり、入手から使用までにタイムラグがあることを常に計算に入れなければなりません。

資材は、初期は一次産業として木材、石材、魚などが手に入ります。しかしそれでは得点にならず、入手した資材を更にバッグから引いて工芸品などに変換するアクションを用いて初めて得点化が見えてきます。

このゲームは必要なものの入手と使用にランダム性やタイムラグがあり、今のラウンドで準備をしてもいつまで経ってもバッグから引けなかったり、いらない物が出てきたりと、予定変更を余儀なくされる場面がいくつも出てきます。ここが人によっては歯がゆい部分ですが、「後々まで見越してどこまで必要な物と要らない物のバランスを調整できるか」がカギとなり、バッグの中をコントロールしていくプレイ感は独特で楽しいです。

また「バッグが必要以上にモノで溢れてしまう」ことで欲しい資材を引けない問題が出てくるため、ここで重要になるのが次の「倉庫」アクションです。

倉庫アクションでは、「これもう増えすぎていらないな」と思える資材を、倉庫ボードに保管することができます。一度倉庫に入れれば二度とバッグに戻ることはないため、事実上バッグから除外できるわけです。

倉庫に入れた資材は、同じものを三つ入れると得点となります。より多く入れて棚の段を埋めていくと更に高得点となっていきます。

詳しくは触れませんが、倉庫は「より多種の資材を保管する」ほうが得点が高くなる仕組みで、ゲーム終了時の勝利点計算でも比重の高い得点源になってきます。

これらの「バッグビルディング」と「倉庫」のルールによって、プレイヤーは「バッグの中身をスマートにコントロールする」ことと、「より雑多な資材をなるべく多く獲得する」ことを同時に実行しなければなりません。この辺りの矛盾を背負いながら、じっくりと先々のラウンドまで計画していく過程…これがアルティプラーノの面白い部分なのではないでしょうか。

そしてアクションは資材変換だけでなく、「個人用の強力なスキル獲得」「獲得のための金を得るための資材売却」「資材のセットを納品して高得点を得る配達」「バッグから引ける絶対数を増やす道路工事」「多くのアクションの基礎になるけど増えすぎても倉庫に置けない食料トークン」などの悩ましいアクションを挟みながら、少しずつ自分のバッグと倉庫を潤していくことになります。

バッグから引くランダム性、選択肢が多く悩ましいアクション、地道にコツコツ発展させていくスローペース感、極端に低いインタラクションなど、なかなか遊ぶ人を選ぶゲームだとは思います。しかしながら、発展計画と計画のままならなさ、それでも着実に進められた達成感など、決まりきった勝ち筋のない「ぶれ」の部分を味わうことのできる渋くて濃密な作品です。

一括りに説明できるものではないので、メジャーな中〜重ゲーに慣れてきた人は、挑戦してみる価値があると思います。ただ一回目はほんと分からないので二回以上のプレイを推奨します。

あとはソロプレイ感が強い割に、同時にバッグから引いてセットしたり一度の手番は短いなど、ダウンタイムは少ない部類に入るっぽいので、人数でのプレイ感の差はさほど無いものと思われます。二人でしかやったことないのであくまで憶測ですが。


コンポーネントは大部分がタイルで表現されています。アートワークは現地の伝統的な織物などの模様を下地にしつつ、可愛らしいポップなキャラクターも描かれていて親しみやすいです。カードはハーフサイズですが、テキストが無いため扱いにくさは感じませんでした。

コンテナは立体の箱になっているのも気分が良く、スタートプレイヤーマーカーには無駄に巨大なアルパカの紙製立体像が採用されており、やけっぱち感もあって好感が持てます。

問題は箱のポップな絵に惹かれて買ってみたら玄人向けの渋ゲーだったという事故になりかねない点で、当レビューなどを参考にしていただければと思います。


あまり多くの人にオススメできる作品ではないですが、個性的な味わいがあるので慣れた人は是非とも遊んでみて下さい。

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南池鯉魚
おとん
18toya
藤森 あつし
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winterkoninkske
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