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ゾラKanare_Abstractさんのレビュー

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3年弱前

「引き分けも先日手も決して起こらない」ゲームデザインを信条としているマーク・スティアーの新たな代表作の一つです。彼の直近のゲームデザインはほとんどが「コマを置くだけ」か「コマを一歩すすめるだけ」を基本メカニクスとするきわめてシンプルなルールで成り立っていて、後者の場合はコマの進行方向に一定の制限を設けることで収束性を確保しているのですが、ゾラは「ボードの中心点」をその制限に利用した興味深いゲームです。

「中心から離れるように移動する」と「中心に近づくように捕獲する」は一見対照的ですが、後者の捕獲は中心からの距離が捕獲前と等距離になる場合でも可能です。したがって捕獲能力を保つために「なるべく中心から距離を保ちながら捕獲する」のが基本戦術になるのが明白で、移動オプションが少ないこともあってはじめは単純な勝ち方のあるゲームではないかと疑っていたのですが、何度か試してみるとそうではないことがわかりました。

例えば等距離の捕獲を行う場合でも、捕獲でコマが移動することによってそのコマが塞いでいた道が開けてしまい、価値の高いより外側の位置のコマを等距離捕獲で取られてしまうようなケースがあります。角のコマは基本的に保持しておくのが定石ですが、位置によっては角から捕獲した後、以降の手番で無傷で角に復帰できることもあります。位置関係によって意外に様々な状況があり、これだけシンプルなルールの中で多くの発見ができることに驚かされます。

マーク・スティアーのゲームは設計思想が第一になっているようなところがあり、ゲームによっては動きの制限が窮屈すぎたり退屈だったりすることもあるのですが、ゾラやドードーは少ない移動オプションの中でいつの間にか勝敗が分岐していくような面白さがあり、近年のアブストラクトゲームの傑作だと思います。

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仙人
Kanare_Abstract
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