ツォルキン：マヤ神聖歴しろくまどっとこむさんのレビュー

拡大再生産系のワーカープレイスメントが苦手だ。序盤の配置ミスがゲーム結果に大きく影響し、終始ワーカーの管理に気を配り、ゲーム経験やシステム理解が大きなアドバンテージとなるタイプ。

自分にとってツォルキンはまさしくそんなゲームだ。

（注意）ドクロは市販のコンポーネントを使用し、歯車は塗装済み。オリジナルはクリアブルーの水晶ドクロと無塗装の歯車。ツォルキニストは皆自由に思い思いの塗装をしてオリジナルギアを手にし始める。

それなのに、古代マヤ文明をテーマにしたこの典型的な拡大再生産系のワーカープレイスメント（序盤の過ちが致命傷となりかねない無慈悲な戦略的ボードゲーム）に興味を持つことになったのはインパクトのある外観と美しい機能性を兼ね備えた歯車の存在だった。ツォルキンはこの歯車なしには語れない。

ツォルキンの歯車はワーカーの配置と能力をコントロールしながら、ラウンドカウンターとしても機能している優れもの。１ラウンド毎に中央のギアが動き、盤上の他の全ての歯車とその上に配置されたワーカーたちも連動して回転し始める。ギアが１周するとゲームは終わる、とてもエレガントなボードゲームだと思う。

規則正しい秩序の中でワーカーたちは歯車の示す運命に従いアクションを解放させていく。下手をすればワーカーに食料を供給するだけでゲームは終わってしまうけれど、歯車の回転に身を委ねたワーカーたちの覚悟と潔さに心を打たれ、それを眺めているだけでも楽しい。