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  • 1人~4人
  • 90分前後
  • 12歳~
  • 2023年~

イェルサレム:主の年に荏原町将棋センターさんのレビュー

728名
11名
0
1年以上前

「最後の晩餐に同席する」なんて、すでにテーマ勝ちの感がありますが、デザインも綺麗です。

↑ メインボードも大きく、写実的な美しい絵。カードも同様で絵が綺麗。


5枚の手札から1枚カードをプレイするだけ。カード左上には土地シンボルが書かれてあるので、該当する資源を「貰って」、カード下部にあるアクションをします。

自分のデッキから一枚補充するか、その前に2金を払ってマハネカードという強いアクションカードを買うかして、5枚にして手番を終えます。

使ったカードは、個人ボードの3つのスペースのどれかに置きます。3枚のカードを重ねた時、カードに書かれている土地シンボルが決められた順番であれば、イエスの12人の使徒のうちの一人を訪れ、エルサレムに連れて行き、最後の晩餐の食卓につかせます。

あなたはその使徒の席も選ぶことができるので、あなた(の共同体の信者達)は、後でその使徒の席のすぐ後ろの特等席に座ることもできるし、先回りしてあなた達が既に座っている近くに、使徒を座らせることもできます笑

この働きにより、まず3枚のカードに書かれているVPの合計(使徒VP)が即時で入り、その使徒の色に即したボーナスが貰えます。さらに、終了時VPとして、イエスや使徒の近くの席であればあるほど大きなVPが入ります。


このように、このゲームの柱は、3枚のカードセットを作り、使徒を呼び寄せることです。提示された通りの順番でプレイしていくだけでいいのですから、単純に考えれば、3手番目には使徒が呼べるはずです。そんなに難しいことではありませんが…

問題として、

・他のプレイヤーにも、その使徒の後ろ席を目標にされ、置かれてしまう。

・カードの土地シンボルだけでプレイすると、アクション内容で選んでいないので、当然ながら計画的にプレイできない。

・具体的に言うと、自分の信者を最後の晩餐会場に送るには、パンなどのコストを予め用意しておく必要がある。また、送り込む信者は、個人ボードの信者ではなく、土地(砂漠、山、海)にいる信者のみ。したがって、まずは個人ボードの信者を砂漠、山、海に行かせ、そのあとエルサレムに再度行かせる必要がある。

勿論、使徒VPとそのボーナスだけでも美味しいので、一概には言えませんが…


もう一つ大きなVPがあります。

それは、イエスが話す「説話を聞く」アクションです。このアイコンのカードをプレイすると、説話タイルを1枚貰うことができます。説話タイルは、第1巻から第7巻まであり、小さい順に一枚ずつ取っていきます。終了時、セットコレクションVPとなっており、全7巻コンプリートすると、18VPが手に入ります。しかしこの説話アクション自体がなかなかできない!(まだ全7巻集めた人を見たことがありません…)

大きなVPが使徒と説話の2種類しかないので、方針も難しくありませんし、プレイ感も超楽なので、決して重いゲームではありません。


そして、このゲームの真骨頂は、好意アクションです。

好意アクションは、他プレイヤーに好意トークンを渡して、自分の好意トラックを進めるというもの。「枯山水」の「譲渡」アクションを思い出しますが、あれよりも強力なプレゼントで、慈愛の心で満ち溢れています笑

「説話アクションをプレゼント」「最後の晩餐に招待アクションをプレゼント」など、本当に感動してしまうようなラインナップ。しかも、好意トークンは、裏返すと土地シンボルになっており、これは、使徒3枚セットの一枚の代わりになるという至れり尽くせりの優れ物!

こんなもの渡したくない!となりますが、好意トラックからVPが貰えますし、さらに「西暦33年カード」が貰えますし、実行するしかありません。この西暦33年カードは、強力なマハネカードよりも強力なカードで、一枚で3つのアクションが確約されています。

↑ 個人ボード。今、この山カードをプレイして、左のスロットに置けば、使徒3枚セット(土地シンボルも順番も合っている)が完成。ただし、アクションアイコンは、「好意アクション」だ…。ちなみに足が見えているアイコンが「最後の晩餐に信者を送るアクション」、手のアイコンが「説話アクション」である。左上にあるイミテーションタイルは、ゲーム中に1回、本当に辛い時に使える救済ボーナスタイル。ただ、我慢できれば終了時5VPとなるので、みんな、救いの手を求めない笑


考察

■ゲームは、イエスが処刑されてしまうゴルゴダの丘の太陽に、サンヘドリンマーカーが達した時終了する。サンヘドリントラックには、所々条件付きの小さいVP決算があるので、余裕がある時は、こちらも小さな目標にしたい。

■カツカツのお金は、市場アクションで資源を売るしか方法はない。売買に制限は無いので、一気に資源を捨てて大金を稼いでおくのも手だ。

■というのも、個人ボードの倉庫は、資源だけでなく、残った信者達の待機場所でもある。スタート時、15程ある倉庫の半分に信者達がいるので、序盤はさっさと彼らを神殿アクションで砂漠、山、海に追い出さなければならない。バーストするとオーバーフロー分の資源は捨てられる。

■信者を最後の晩餐会場に送ると、供物トークンを一枚貰うことができる。これは終了時一枚1VPとなるので、コツコツ貯めておきたいが、序盤中盤は、辞退しよう。これを貰ってしまうと倉庫に置かれ「捨てることができない」ので、資源のバーストは必然!ああ、ここでも、謙虚な姿勢を貫く精神が試される…

■最後の晩餐の食卓では、イエスの真後ろの席が、VIP席で7VP。そこから後ろに1マス遠くなるたびに1VP小さくなる。白の使徒は6VP→5VP→4VP、オレンジの使徒は5VP→4VP→3VP、紫の使徒は4VP→3VP→2VP。

■オレンジの使徒の一人は、裏切り者のユダだ。ユダの後ろの席に座った場合は、−5VP→−4VP→−3VPとなる!

■使徒VPと一緒に貰えるボーナスは、紫の使徒…最後の晩餐に招待アクション、オレンジの使徒…即時VP、白の使徒…他プレイヤーの信者と席を交換!

■信者は、イエスの席の後ろ(若干遠くても)に座れば無難なのだが、コストがやや高く、また、配置のミニボーナスが無い。序盤は、この配置ボーナス目当てに、やや控えめな遠い席に座り笑、席移動アクションや席替えアクションで特等席に座り直そう。(ここにも慈愛の精神が…)

↑ 終盤に入り、醜い争いが始まった笑。写真右端、ユダ登場(銀色)。赤プレイヤーの信者の置き方に問題があった。特等席にこんなに固めて、不道徳な「席取り」をして待っていれば、当然他プレイヤーはユダを置くだろう。このままだと赤プレイヤーは、−14VPだ。


好意アクションは、不特定(任意)にプレイヤーを選ぶことになっていますが、「直接攻撃」のメカニクスと同じで、このゲームでは、その優しさが強すぎて、バランスが良くない側面もあります。不特定の選択肢はキングメーカー問題にもなり易く、このような直接(攻撃)的なボードゲーム全般では、「他プレイヤー全員一周するまで任意に選ぶ」というハウスヴァリアントが結構効果的です。

ユダヤ教普及のため旅をしていたイエス・キリストは、その戒律の選民意識に疑問を感じ始め、新たに、遍く布教し始めたといいます。

それと同じ精神ということで、「一周内の任意」ヴァリアントを試行して場を和やかにするのは、テーマにも合っています。


得点源が実質2種類しかないことと、2人プレイだと好意アクションが無くなってしまうのが残念なところです。

しかし、この重いテーマをリアルにまとめ、食卓に同席するという面白いテーマに変調して落とし込んだのは、見事というしかありません。

それにしても、この宗教テーマの中、好意アクションを不特定にしたり、ユダの席に押しつけ合ったり、プレイヤー間でお互いに悪さをさせるようなルールで悲鳴や混乱を起こさせているのは、ギャグとしか思えませんね…



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蛇の婿
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よもぎ
おうかん
つっちー
蒼い三連星
YON
Sato39
イェルサレム:主の年に
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荏原町将棋センター
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