- 1人~4人
- 30分~90分
- 14歳~
- 2020年~
ロケットメンパーティ太郎さんのレビュー
ROCKETMEN【宇宙開発を題材にしたテーマ性の強いデッキ構築】★★★☆☆
プレイ時間30~90分 プレイ人数1~4人(ベスト3人)
【ジャンル】デッキ構築
【概要】
ROCKETMENは2021年に発売された宇宙開発をテーマにしたデッキ構築ゲーム。
制作者は「ブラス」や「数エーカーの雪」などで有名なマーティンワレス。
プレイヤーはロケット開発に必要なパーツや技術を集めて、月や火星を目指していく。
【ゲームの流れ】
基本的な流れはデッキ構築である。プレイヤーはリソースを使いデッキを強化していく。
特徴的なのは点数を取る手段だ。このゲームにおいて購入するカードの殆どに点数が付いていない。
ドミニオンやクランクでありがちなカードを集めること自体が点数に繋がるわけではないのだ。
ではどのように点数を得るのかというと、ロケットを作りあげて月や火星にたどり着かなくてはならない。
ゲームに登場するカードは新しいカードを購入するためのお金にもなるが、それとは別にロケットのパーツとして使用することが出来る。これがロケットを作り上げるという重要なアクションになる。
ロケットが完成したらそれを撃ちあげることが出来る。
そこには多少の運が絡むが、無事に目的地までたどり着けたなら点数とボーナスが貰える。
【魅力】
このゲームの魅力は宇宙開発というテーマをデッキ構築というテーマ性の薄くなりがちなジャンルで再現しようとしている点にある。
プレイヤーはゲームの中でなけなしの金を使ってロケットに積むエンジンや技術を買う。
ある程度パーツ(カード)が集まったなら時間をかけてロケットを組み立てる。
これでもう十分だと考えたならロケットを打ち上げる。
宇宙の旅に完璧はない。プレイヤーはリスクを減らすことは出来るが100%目的地にたどり着くことの出来る宇宙船を作り上げることは困難だ。(ゲーム的に言うのならめくり運が絡む)
しかしそれを乗り越えてミッションを成功したなら自分の印を宇宙の地に刻み込むことが出来る。
この一連のパーツの購入→ロケットの作成→打ち上げの流れが非常にテーマに沿っている。
宇宙開発という壮大で困難な計画の流れをゲームの中で再現していること。これがこのゲームの大きな魅力だ。
不格好なロケットを作り上げ、それがフラフラと前に進んでいく様は面白いしゲームにドラマを生む。
これはゲーム上に歴史の流れやドラマを再現しようとするワレスの良さが出ている。
その点ではワレスっぽさを十分に味わうことが出来るゲームだと思う。(借金はないが)
きっとロケットの打ち上げ時にカードのめくりが絡むのも宇宙計画のトラブルなどを再現するためなのであろう。
ゲームシステムの面でも新鮮で面白いところはある。
従来のデッキ構築に無かった点としてロケットの組み立てアクションがある。
これはカードを一時的に組み立てエリアに置くことでその後の点数行動に繋げるアクションであるが、組み立て中のカードはデッキに混ざらず組み立てエリアに留まる。
これによって一時的なデッキ圧縮が誰でも行えるようになっているのはとても面白い。
またカードを購入すること自体が点数に繋がらないというのは最近流行りのデッキ構築+ワーカープレイスメントのゲームでよくみられるが、これらのゲームはデッキ構築をリソースを得る手段、ワカプレを点数を取る為行動として採用しているケースが多いように感じられる。
しかしROCKETMENでは何か別のシステムを足すことなく、デッキ構築という枠組みの中で新しい点数を獲得する手段を生み出した。これは評価されるべき点であると思う。
【不満点】
ここまで魅力を述べてきたが手放しに絶賛できるかというとそうでもない。気になる点はいくつかある。
一番大きな点はロケットの打ち上げ、つまり点数行動にめくり運が絡むことだろう。
これはゲーム中にドラマを生み出す要因にもなるが、ゲームシステムだけに注目するなら良いものではない。
自分が相手の同じ条件のロケット、もしくは相手より有利なロケットを作り上げてもその捲れ方次第で自分は失敗して相手だけ成功するなんてことは大いにあり得る。
そして打ち上げに成功することで有利になるボーナスが貰えるので、その差はどんどん開いていく。
このゲームは相手を妨害する要素は無いので、一度伸びたり凹んだりすれば逆転は難しい。
このゲームの展開が運によって決定づけられてしまう可能性があるというのはあまりいい体験とは言えないだろう。
ゲームのプレイ時間も決して短いものではないだけにその感覚は強く残る。
【総評】
ROCKETMENは宇宙開発の厳しさと喜びをデッキ構築を通して再現したゲーム。
ロケットを作り出し目的地を目指す一連の体験はとても面白い。
ゲームシステムの面でも特徴的で面白いアイデアが詰まっている。
しかしテーマ性を強めるために犠牲にしている部分も見受けられる。
高い戦略性を楽しむというより、体験を楽しむタイプのゲームだ。
そのため何度もリプレイするタイプのゲームではない。しかし一度プレイしてみる価値は十分にある。
【プレイ人数】
2~4人なら何人でも問題なく遊べる。
しかし2人だと先取りのボーナスの存在が薄くなり、4人だとプレイ時間が単純に伸びる。
3人でプレイするのが一番良いだろう。
【こんな人にオススメ!】
・ボードゲームでもっとも重要なのはテーマや物語性だと思っている
・少し変わったデッキ構築を遊んでみたい
・ゲームに多少の運が絡むのは許容できる。寧ろ良い。
【こんな人にはオススメできない!】
・ボードゲームにおいてテーマは割とどうでもいいと思っている
・シビアな駆け引きや高い戦略性があるゲームが好き
・ゲームに運の要素は出来る限り少ない方がいい。
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