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  • 1人~8人
  • 30分前後
  • 10歳~
  • 2020年~

ペーパー・ダンジョンズSato39さんのレビュー

2350名
19名
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2年以上前

<紙1枚に冒険をギュッと詰め込んだ紙ペンゲーム!>

最近、とても気にいって息子と二人で夜な夜な遊んでいる紙ペンゲームをレビューしようと思う。

【まさかのファンタジーダンジョン探索紙ペンゲーム】

私は紙ペンゲームが好きではない。ゲーム性が云々ということ以前に、ペラペラの一枚紙のマークを塗り潰したり、数字を書いたりすることに興味が出なかった。やっぱりボードゲームは机いっぱいに広げた大きな盤面に、手触りの良い木駒を並べる方が断然楽しいに決まっている。そんな風に思っていた。しかし、そんな頑固オヤジの偏見を見事に叩き壊してくれたのが、この「ペーパー・ダンジョンズ」だ!

プレイヤーは、「ウォリアー(戦士)」「ウィザード(魔法使い)」「クレリック(僧侶)」「ローグ(盗賊)」で構成された冒険者パーティを率いて、モンスターの巣食うダンジョンを探検し、大型モンスターを倒したり、たくさんの宝石を獲得することで栄光点を稼ぎ、最も栄誉ある冒険者を目指す。

「こんな盛り盛りな内容の冒険を、30分の紙ペンゲームで出来るの?」プレイ前は半信半疑だったが、その不安はすぐにかき消された。

面白い!

とても短時間でシンプルなのにしっかりとファンタジーRPGをプレイした気分になる。紙ペンゲームでもこんな素晴らしいゲーム体験が出来るのだ!まさに目から鱗である。今回はこの素敵な紙ペンゲームをレビューしたい。


【直感的で分かりやすいアクション】

プレイヤーは3シーズンに分かれた8ラウンドをプレイし、3体目のボス戦終了時にゲームは終了となり、栄光点の最も高いプレイヤーの勝利である。

各ラウンドには2つのフェイズがある。「ダイスロール」と「ダイスの選択およびアクション」である。

1. ダイスロールフェイズ

誰かが6個のダイスを振る。ダイスには白と黒が3個ずつあり、それぞれ6つのシンボルが刻まれている。

2. ダイスの選択およびアクションフェイズ

各プレイヤーは、髑髏シンボルの数だけダメージを受け、その後残りのダイスからアクションに対応する3つのダイスを選択し、シートの上部に記載する。

次に選んだダイスの色とシンボルに合ったアクションを3回行う。アクションは4つ。

  1. 英雄のレベルアップ
  2. マジックアイテムの作成
  3. ポーションの作成
  4. 移動

プレイヤーは4つのアクションからダイスで実行可能なアクションを1つを選んで実行する。「1.英雄のレベルアップ」と「2.マジックアイテムの作成」は色とシンボルにより制限されるが、「3.ポーションの作成」と「4.移動」はどんなダイスでも可能だ。

基本的には冒険者パーティのレベルを上げて強くしていき、ダンジョン内を移動してミニオンやボスモンスターを倒しながら宝石を回収すれば良い。考えるところはしっかりありながらも、アクションは直感的でとても分かりやすい。実際、8歳の息子と何回も遊んでいるが、最初の1、2回目は上手く得点できずに60点台だったが、3回目には要領を得たのか、106点を獲得し負けてしまった。ゲーム内容的には軽い中量級程度の要素があると思うが、テーマが分かりやすいためか意外とすんなり理解できたようだ。


【3体のボスモンスターと対決!】

3ラウンド、6ラウンド、8ラウンド終了時にはボス戦があり、ボスモンスターの場所を通過したプレイヤーのみ戦闘することができる。3体目のボス戦後にゲームは終了する。ボス戦ではパーティのレベルの合計が攻撃力となり、与えたダメージにより獲得できる栄光点が変わる。さらに最も大きなダメージを与えたプレイヤーには特別な報酬があるため、出来るだけ大ダメージを与えて討伐したい。

また各ボスモンスターには有効な職業があり、その職業の攻撃力は2倍になる。ボスモンスターの出現順序は最初から分かっているため、どの職業からレベルアップしていくかという計画性がとても重要になってくる。これはプレイ指針が非常に立てやすく、子供でもあまり迷わない素晴らしい工夫だと思う。


【宝石の獲得競争が熱い!】

ダンジョン内には8つの宝石が落ちており獲得すると大きな栄光点を得ることができる。このため出来るだけたくさんの宝石を拾っていきたいところだが、他のプレイヤーが獲得した宝石はそのラウンドで消失してしまう。このため他プレイヤーがどの宝石を狙っており、いつ獲得するのか常に注意を払っておく必要があるのだが、このインタラクションがなかなか熱い!

「へっへー!Aの宝石取ったもんね!」

「あー!無くなったー!でも、こっちはBの宝石ゲットだぜ!」

なんてことを言いながら、ダンジョンの奥深くへ進んでいくのはとても楽しいインタラクション要素だ。


【意外とリプレイ性もある】

紙ペンゲームの宿命だが、ベースとなるダンジョンは1パターンしかない。これではすぐに飽きてしまうのではないかと思っていたが、意外にも何回遊んでも面白い。これにはいくつか理由があるが、一つはダンジョンカードの存在だ。コンポーネントの中にはダンジョンカードが12枚入っており、遊ぶたびに違ったダンジョン構造を楽しむことが出来る。壁が少し増えてボスモンスターが変わるだけだが、それだけで戦略はかなり違ってきてゲーム内容もガラッと変わる。

また、全プレイヤーの共通目標となる「任務カード」、段階的に達成される個人目標の「目的カード」、プレイヤー毎に異なる特殊能力を付与する「パワーカード」があり、想像よりもかなり多くのバリエーションが楽しめる。


【紙ペンゲームである理由】

「どうしてこのゲームが紙ペンゲームなのか?」

冒頭でも述べた通り、私は紙ペンゲームが好きではない。こんなに面白いゲームなら何故普通のメインボードと木駒で作ってくれなかったのか。考えられる理由はいくつかある。

<移動場所でのアクション管理がややこしくなる>

このゲームの最大のキモはダンジョン探索だが、通過した部屋で行うアクション(ミニオン討伐、罠、宝石獲得など)は数が多く、一部屋ずつ処理していくと何マス移動したか間違えそうだ。これはかなり混乱を招くゲームデザインになりうるのだが、それを鉛筆で移動経路をまず描くことで上手く解決していると考えられる。

<コンポーネント量が多くなり、セットアップが大変になる>

マップは1つで妥協するとして、そこに立てる壁タイル、川タイルが必要。また冒険者パーティのレベルを表す個人ボードもいるだろう。さらに各種マジックアイテムを表すタイル、ポーショントークン、宝石トークン…、気が滅入るほどたくさんのコンポーネントが必要になり、製造コストは高くなりセットアップも時間がかかりそうだ。これが紙1枚で表現できればコストは安く、セットアップも必要ない。

やはりこの作品は紙ペンゲームが適切だと感じる。そのおかげで処理を間違えることもなく、シンプル&スピーディなダンジョン探索を楽しむことが出来るのだろう。


<良いところ>

  • シンプル&スピーディなダンジョン探索RPGが誰でも楽しめる。
  • 考える要素は多めだが、直感的なダイス選択アクションによりプレイしやすい。
  • 宝石の獲得競争が適度な優しいインタラクションとなっており楽しい。
  • 8人までプレイ可能なのに同時プレイできるためダウンタイムもほぼない。

<悪いところ>

  • ガチゲーマーにはやや物足りないボリューム感。

<説明書&対象>

説明書:16ページ。インスト:10分。プレイ時間:30〜45分
BGG weight: 2.18。軽めの中量級。

おすすめの対象:「ファンタジーRPGの好きな方」。言語依存は少なく8歳の男の子にもプレイ可能な重さで、8人までプレイ可能という器の広さから幅広い場面で活躍できるだろう。大人同士でもボドゲ会での時間合わせや、重ゲーの合間の息抜きにも丁度いいと思われる。

※今回のレビューにあたり説明書より画像を引用させていただきました。問題があれば削除いたしますのでご連絡いただければ幸いです。


【感想】

これは期待以上に楽しい作品だった。上述の通り、私は紙ペンゲームがあまり好きではなく期待していなかったのだが、良い意味で予想を裏切られた。ダイスを3つ選ぶだけなのでアクションはとてもシンプルだが考えどころもあり、特にダンジョンをどのようなルートで探索するか考えるのは非常に楽しい。

3体のボスモンスターは現れる順番と弱点が分かっているためプレイ指針を立てやすい。しかし、8ラウンドしかないのでダンジョンの全部屋を回ることはほぼ不可能で、何かを諦める必要があるのも悩ましい。ダンジョンは毎回少しずつ壁の位置が変わり同じルートでの攻略は出来ないため、ローグライクゲームのようなプレイ感でリプレイ欲を掻き立てられる。

インスト中は8歳の息子にプレイ可能か心配していたが、遊び始めるととても楽しそうに鉛筆で塗りだしたので安心した。最初の数回は私が余裕で勝てていたのだが、3回目からは互角の勝負になり毎夜楽しくダンジョン探索をしている。

8人までプレイ可能であり、同時進行でプレイしていくのでダウンタイムもほぼなく、様々な場面で活躍できる優等生的な紙ペン作品だ。紙ペンゲームの可能性を感じる素晴らしい作品だと思うので、テーマが合う方はぜひ一度試して見て欲しい。

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まつさと(南斗レイ)
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