- 2人~4人
- 6歳~
- 2006年~
めざマシーンかぽらるさんのレビュー
このゲームを作ったのは誰だぁっ!!
平日の朝5時25分。空も白み始めた明け方から、その日を頑張るご家庭へ激励やニュースをお届けする番組がある。その名も「めざましテレビ」。
まあ、ほんとにただの朝のニュース番組だ。おはスタのように子供向けというわけでもないし、ただただ朝食と共に一瞥する程度の……こう、ファン数が多いかと言われれば別に?ぐらいの番組なのだ。
なのに、なんでボードゲームなんかあるんだよ。
さて、早速作品について語っていこう。
このめざマシーンは、めざましテレビの要素が出演者とキャラクター以外に無いという、クソゲーの香り高いボードゲームだ。
まず、メインのシステムはスゴロク。テーマパークに来たみたいだぜ。テンション上がるな~。
次に、勝敗はスゴロクとは関係の無い100%の運要素。それをやるためだけにスゴロクのシステムが導入されている。うん この匂いだー!!!
極めつけは、イベントカードにクソコラ気味に張り付けられた当時のキャスターさんの面々。何を思ってか、ビー玉をくれたり残念がったりしている。(宇宙猫の画像)
うん、説明の時点でクソゲーだ。評価を打ち切っても十分なほどのクソゲーだ。こいつは間違いない。
だが運の悪いことに、私は店長とのテストプレイに付き合わされてしまった。こいつぁ仕方が無い、まずは詳しいルールを聞こう。
ルール① スゴロクです。マスに従います。
ルール② ピタゴラ装置を皆で協力して完成させましょう。
ルール③ ビー玉と、完走に必要な蓋を集めてピタゴラ装置スタート!装置を完走したら勝ち!
え??????????????????????????????????????????
なんだこれ。
さて、完走した感想ですが。
ちょっと面白かったです。以下、その理由。
悔しいことに面白かった点①
まず、個人的に戦略の要になったと思えるのは、ビー玉の数が12個という点だ。
さて、先に説明したピタゴラ装置であるが、ビー玉をリレーしてゴールまで向かわせるという都合上、少なくとも4つのビー玉が必要となる。
これは、ピタゴラに挑むプレイヤーが"個人的に4つ"以上持っていなくてはならない。という意味で、それ以下では挑むことすら許されない。
のだが、プレイヤー人数が多かろうと少なかろうと盤上のビー玉の数は12個。……そう、4人プレイでは奪い合いが必須となり、カイジよろしくプレイヤー同士の蹴落とし合いが発生するようになっている。
これは想像以上にシステムとしてよく出来ていて、純度の高い悪意をプレイヤーに持たせるのである。その悪意の使い道は、②で語るとしよう。
悔しいことに面白かった点②
次いで興味深かったのは、クソとしか言いようの無い盤面……つまりは、極悪なスゴロクのマスのである。
例えば様子見のジャブとして、スタートに戻るを1つと多数の一回休みを当たり前のように配置してくれている。
では、必殺のコークスクリューパンチは何かと言うと、たった1つだけ用意されている「ボールとフタを全て失う」以外に無い。勝利間近、装置に挑むだけのプレイヤーが踏もうものなら、実質的なニューゲームにまで戻されるという、精神的にもゲーム時間にも悪さをする最凶のマスである。
さて、結局のところ、その全て失うマスであるが、盤上に分岐があるため自主的に踏むことは稀だろう。
……そこで登場するのがこちら。
「誰かを2マス戻させ、そのマスの内容に従わせる」
である。(進ませるとかもある。)
例えば、装置チャレンジのマスに近いプレイヤーを後退させたり、何なら盤面をワープさせたりなど、心の中の天使を消し去れるボードゲーマーにとっては様々な利用方法が安易に浮かぶだろう。
……まあ、当然の如く1番の使用方法は上記。今にも装置チャレンジへと歩を向けようとするプレイヤーを「すべてを失うマス」へと後退させることである。
この効果は、カタンの盗賊やらドミニオンの拷問人を遥かに凌駕する破壊力を持っており、私は今までにこれほどの高火力に値するゲームを見た事が無い。
ブラフでも戦略でも何でも無く運。その運に悪意をちょっと乗せるだけで、カタンならば初期配置、ドミニオンならば初期デッキに戻すことが可能という状態なのだ。
もう一度言おう、私はこれほどの悪を見た事が無い。吐き気を催す邪悪とは、正にこのことだろう。
そして、私はそういうゲームが好きだ。私はそういうゲームが大好きなのだ。
悔しいことに面白かった点③
さて、最後の面白い点だが、これは良くできているピタゴラ装置へと贈るとしよう。
このピタゴラ装置、道中でボールが落ちたり途中で止まったりしては失敗となるのだが、一番最初だけはバネで飛ばす造りになっている。つまり、見守るだけの運ゲーではなく、最初だけとは言えプレイヤーの力量が試されるのだ。
さらにヤバイのは最後の関門だ。
最後の関門。それは「沼」である。
そう、カイジの沼。あのクルーンの1段目と同じく、3穴の内1つだけがゴールに繋がっており、あとは失敗となる恐怖の沼。それが最後の関門、33%の試練なのである。
まあ、ありがたいことにハズレ穴は若干盛り上がっているため、体感6割前後は通るイメージだ。……逆に、4割で苦行のスゴロクパートに戻されるのはリスキーすぎてぶっ飛んでいる。
ともあれ、このゲームは割と面白かった。いやー、クソゲーだが面白いゲームであった。二度と遊ばん。
……1点、だけ不満がある。沼を抜けた先にあるゴールの話だ。
ボールがロックを外し、旗が高々と掲げられる良いギミックなのだが、如何せんロックが固すぎる。
2人テストプレイという消極的な時間の中で、永遠とそこを微調整するゲームになったことだけは残念で仕方が無い。
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