- 2人~4人
- 45分前後
- 10歳~
- 2013年~
マウナケアBluebearさんのレビュー
ハワイ島のマウナケア山(すばる望遠鏡で有名)の噴火と、そこから遺跡を回収して脱出するのがテーマ。
火山島があって、脱出用ボートを目指す、というと有名どころでは『サバイブ!(アイランド)』が有名ですが、あちらは崩壊する島からサメやドラゴンをかいくぐって隣の島を目指すゲームだったのに対し、こちらは流れ出る灼熱の溶岩(楯状火山のため、粘度の低い溶岩が広く流れるのです。)を避けて、いかに島の貴重な遺跡物を回収できるかがテーマです。
『サバイブ!』では、サメやドラゴンのアクションも、島のどこが崩壊するかも、すべて相手プレイヤーのアクションで決まるため、エゲツない展開が売りでしたが、今作の溶岩はあくまでも大自然の驚異としての再現性を目指しているのか、基本的に人の意思が介在しません。逆に、島の地形が決まっておらず、タイルの配置によって島の状況が決まってくる中を、点在する遺跡を回収するため、また迫りくる溶岩を避け脱出ボートのある海岸まで逃げ延びるため、探検隊コマを動かしていきます。
プレイヤーが置いた地形タイル上を移動するということは…、もうおわかりですね(笑)。そうです、いかに相手の進行方向に厄介なタイルを押し付けるかが勝負になるのですね。
とは言っても肝心の溶岩流が完全に『運』なので、あまり殺伐とした展開にはならず、運が悪いとどんなに頑張ってもあっという間に溶岩に飲み込まれるので、「しかたない」感の境地になります。そのため『サバイブ!』とはだいぶプレイ感が異なります。
この地形タイルと溶岩のシステムが良くできていて、このゲーム独特の雰囲気を出しています。
初期地形を除いて、空白になっている場所に置く地形タイルを、一定数手札にして持っておき、自分の手番にそれを選んで好きなだけ置きます。
地形タイルはその地形内容を見て好きなところに置いてもいいですが、それだけでは自分の探検隊コマを動かすことはできません。タイルの表面には地形の他に「足跡マーク」がいくつか描いてあって、これを捨てる(袋に戻す)ことで、そのポイントぶんだけ好きな探検隊コマを移動させるのです。
これが結構悩みます。
自分のルートにはできるだけ通りやすいタイルを置きたい、でもそういうタイルほど足跡ポイントが多いので、できれば捨ててたくさん進みたい。相手の進む方向にはできるだけ水辺や山岳のタイルを置きたいけど、そればっかりだと、自分の探検隊が進めない。というわけです。
手番最後にそれを補充するため袋からランダムに引くのですが、ここがミソ!
このとき「溶岩タイル」が出ると、そのマークがつながるように溶岩流を伸ばしていきます。これが出ないときは全く出ず(噴火の休止期ですね)、出る時は続けて出まくる(活動期)ですね。これが全くままならないのが逆に面白いところなんですね。(こういうボードゲームって、キモとなるテーマを、どうシステムに落とし込むかでセンスが問われるじゃないですか。ここを失敗すると、らしくないと言うか、しっくり来ないと言うか、そんなゲームになっちゃいますよね。)
ふつうのジャングル地形を引いた場合は、これは手札として保持できますが、その数が「5個以上」になるまでタイルを引かなければなりません。「溶岩タイル」には当然「足跡マーク」はありませんので、これが出るとタイルをさらに引き続けなければならない事になります。このルールによって、溶岩の流れ方に予測がつかず、戦々恐々としながら逃げ惑うことになるのです。(これに対抗することは一切できません。)
また、これまた予想できることですが、だんだん溶岩タイルを引く確率は少しづつ上がっていくので、ここもうまくできているなぁ~という印象です。
最後に、海岸へたどり着きボートで脱出した探検隊と、持ち出した遺跡によって勝利ポイントを数えて勝者が決まる、というわけです。
このゲーム、運悪くまとめて一気に溶岩に飲み込まれると、あっという間に探検隊が死亡します。早い時はゲーム開始後10分くらいで一人が一気に全滅し、爆笑とともにゲーム終了となりました。(誰か一人でも探検隊が全滅するか、全員脱出すると、あと1回転だけやって終了してしまうのです。)
この「ままならない溶岩」のおかげで、ダメなときはあきらめて笑うしかないゲームなので、このへんで好みが分かれるゲームだと思います。(少なくともガチで勝負するゲームではないです。)
まともにやれば、1ゲーム30分かからないくらいなので、先日は初心者チームで連続で5ゲームやってしまいました。ルールも比較的簡単だし、初心者を混ぜて気軽にやるのにおススメです。
補足:イベントカードを導入する上級ルールでやっても、特に複雑化する事もなく、逆にこれがないとちょっと変化に乏しいので、できれば最初から導入することをお勧めします。
- 7興味あり
- 38経験あり
- 8お気に入り
- 24持ってる
Bluebearさんの投稿
- レビュー翡翠の商人『ナショナル・エコノミー』で有名なゲーム工房スパ帝国がリリースした競り...4日前の投稿
- レビューコズミック・エンカウンター簡単に言えば、もう何でもありのメチャクチャな大宇宙戦争ゲームですね。い...7日前の投稿
- レビューレッド・ライジングピアース・ブラウンのベストセラーSF『レッド・ライジング/火星の簒奪者...3ヶ月前の投稿
- レビューレベル・プリンセススペイン発のユニークな《トリックテイキング?方式》と言われるカードゲー...3ヶ月前の投稿
- レビュー銀河英雄伝説/アスターテ・アムリッツァ会戦田中芳樹氏の人気SF長編小説(アニメ版も人気)である『銀河英雄伝説』に...4ヶ月前の投稿
- レビューアクワイア『キャントストップ』『アイム・ザ・ボス』などでも知られるデザイナー、シ...4ヶ月前の投稿
- レビューコマンドマガジン168:明日なき世界ウォーゲームの雑誌コマンドマガジン創始者でもある人気ゲームデザイナー、...4ヶ月前の投稿
- レビュートレジャーハンターファンタジー世界のトレジャーハンターとなって、他のプレイヤーよりたくさ...4ヶ月前の投稿
- レビューエスノスファンタジー世界のエスノス島の支配権をめぐり、多数の部族の支援を得て、...4ヶ月前の投稿
- レビューザ・黒幕 日本支配日本を影から支配する悪の秘密結社の首領となり、日本を代表する組織や団体...5ヶ月前の投稿
- レビューラストクロニクル インフィニティこの場で書くのは大変申し訳ないです。しかし、どうしても書かずにはいられ...6ヶ月前の投稿
- レビューエコス ~原初の大地~地球の創造神となって、原初の大陸や海洋を作り出し、そこに生命(まだ人類...6ヶ月前の投稿
会員の新しい投稿
- ルール/インストウェルカム・トゥ■ウェルカム・トゥのサマリー・リファレンスボードゲーム会を開催した際に...約3時間前by オグランド(Oguland)
- レビューデックローグ ミニ拡張 アセンションソロ専ゲーム「デックローグ」基本セットとあわせて遊ぶミニ拡張。基本セッ...約6時間前by じむや
- レビュー狩猟の時代星7ボドゲ300種を所有するライトゲーマーの感想です。小学生2人と、計...約7時間前by おとん
- レビュー海鳴りのドラゴン10歳息子と2人で遊びました。ルールは10歳でもすんなり理解でき、接戦...約9時間前by nabekoh
- レビューロビンソン漂流記《ロビンソンのスリーブについて》ゲームのルール上、カードシャッフルが多...約10時間前by ワシワシ
- レビューゴールドラッシュ6種族の動物が管理している鉱山があり、各ターンに共有の山札を引いてコイ...約12時間前by ゆきお
- レビュードッガーランド《部族を率いて厳しい狩猟生活を生き延びろ!》木を伐採し石を採掘して道具...約12時間前by Sato39
- レビューエルドラドを探して誰よりも早く黄金都市エルドラドを到達を目指す概要プレイヤーは探検隊のリ...約12時間前by つるけら
- レビューエクスペディションズ文句なしに面白いと思う。アクションの選択が新しい。全体的に結構複雑そう...約12時間前by ヒロ(新!ボードゲーム家族)
- レビューテラミスティカ:ガイアプロジェクト星5ボドゲ300種を所有し、軽〜中量級を中心にプレイするゲーマーの感想...約23時間前by おとん
- レビューウォンテッド★ウォンバット星3ボドゲ300種を所有し、軽〜中量級を中心にプレイするゲーマーの感想...1日前by おとん
- レビューファイブタワーズ場に出た5枚のカードを見て、欲しい枚数を順番に宣言していくお手軽競りゲ...1日前by 鹿児島 ボードゲームカフェ Dritotz