- 2人~5人
- 45分~90分
- 10歳~
- 2020年~
ゴッドスピード山本 右近さんのレビュー
●作品の紹介
宇宙開発競争はウソだった?
アメリカとソ連が鎬を削った宇宙開発競争は、莫大な予算を正当化するための単なるショーだった。実は裏では太陽系外惑星の開発競争が続いていたのだ!
プレイヤーたちは国の代表としておおぐま座系の惑星Minosを開発する任務を託されたミッションリーダーを演じます。時には話し合い互いに同じ利益を得て、物資の獲得にリソースを割き、各部門の専門家に仕事をさせ、惑星を開発していきます。
ゲームは10ラウンドで構成され、各ラウンドは4つのフェイズで構成されています。
各フェイズは交渉、ビディング、ワーカープレイスメントと独立したメカニクスによりそれぞれのアクションを行い利益を得ていきますが、それぞれのフェイズで使用するワーカーやリソースはラウンドを通じて共通となり、そのマネジメントが重要です。
300枚近くのカードが場を構成するゲームとなりますので、カード効果を最大限活用するのも勝利の鍵となるでしょう。また、3シーズンに分かれたシーズン毎の目標達成でも勝利点を得ることができます。
マイルストーンやプレステージトラックなどの独占的な勝利点で優位に立ち、最も多くの勝利点を獲得したプレイヤーが勝利となります!
●レビュー
Pandasaurus Gamesの新作、Godspeed。デザイナーのクレイトン・ハーグレーブとアダム・ヒルは恐らくこの作品が処女作となる。
最近流行りの宇宙テーマに、恐らく作者が好きなメカニクスを詰め込んだ幕内弁当のようなゲームだ。ゲームは10ラウンドで構成され、それぞれが4つのフェイズで構成されている。そのフェイズごとにメカニクスが異なり、またその4つのフェイズを通して使えるリソースが共通となる。
例えば、3フェイズ目のアクションフェイズではワーカーをアクションスペースに配置してアクションを行うのだが、1フェイズ目の評議会フェイズと2フェイズ目のサプライデポではワーカーをリソースとして使わなければならず、そこで使ったワーカーはアクションフェイズでは使用できないという仕組みだ。
評議会フェイズではイベントが発生し、そのフレーバーテキストに関連した種類のワーカーを派遣することによりそのイベントを解決する。プレイヤー全員がワーカーを派遣すれば全員が利益を得られるが、誰か1人でも拒否すれば誰も利益を得られなくなる。更に、拒否したプレイヤーのみペナルティを受ける。
アクションフェイズにやりたいアクションがある場合や次のサプライデポを有利に進めたいならワーカーが多く居る必要があるため、派遣するかどうか悩ましい。
サプライデポではワーカー+お金でブラインドオークションを行い、その順位がリソースを獲得する順位となる。スタートプレイヤーの獲得もここで行うため重要なフェイズとなるが、ここでワーカーを使いすぎると次のアクションフェイズの自由度が狭まってしまう。
アクションフェイズでは、手元に残ったワーカーをアクションスペースに配置してそのアクションを行う。が、アクションスペース毎に配置できるワーカーの種類が異なる。
行いたいアクションがある場合、そのワーカーを残しておく必要があるが、そのアクションに配置できるワーカーは全体で1つのみなので、その取り合いが熾烈となる。
また、アクション機会は2度なので、ワーカーをたくさん残していても全てのアクションができるわけではないが、残しておくことによりアクションスペースの枯渇を防げるというメリットもある。
ゲーム後半に入手できるプレイヤー別能力の選択も面白い。アクティベートできる能力は1つだが、新たに能力を獲得する事で勝利点を獲得し能力を上書きすることができる。
得点要素は多くなく、4種の得点トラックの順位点と、早取りのマイルストーンによる得点、それに3シーズンに分かれた目標の達成によるものがメインとなる。比重としては得点トラックの順位点が最も大きい。
プレイした感想としては、まずカードのガチャ感。無茶な能力のカードはないので、ガチャ感は出しつつも過度な運ゲー化は避けられている。サプライデポのカードの組み合わせがランダムなため、そことアクションフェイズが強く紐付き想像以上に悩ましかった。意外に難しいゲームだ。派手でテクニカルなプレイングよりも、愚直な効率重視のプレイングが強いかもしれない。得点トラックを上げるコストが割と高いため、評議会フェイズでのペナルティは積み重なると地味に痛い。プレイ時間は予想より長かった。インスト込み初回2時間程度だったが次回からは90分程度になるだろう。
得点要素がやや寂しいものの、新鮮なプレイ感、悩ましさとガチャ感の両立もできており、なかなか面白いゲームだ。処女作としてはとても良いと思うし、リプレイ性もそこそこある。
ルールも難しくなく運要素も程よく高いので、重ゲーに興味を持ち始めたレベルのプレイヤーにも遊んでもらえると思うし、もちろんヘビーゲーマーも楽しめる内容だと感じた。
- 8興味あり
- 22経験あり
- 5お気に入り
- 12持ってる
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