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  • 2人~4人
  • 60分~120分
  • 14歳~
  • 2020年~

ビヨンド・ザ・サンmaroさんのレビュー

1351名
10名
0
3年以上前

早くもBGAに登場したSFテーマのワカプレ。

アクション選択がテックツリー、個人ボードでリソース管理と能力解放、星間系マップでのプチ陣取りと、大まかなシステムだけ拾ってもワクワクする内容。

構成をみると、なんとなく同年発売のアルナックに似ていなくもない。かたやマップの探検によりワーカの配置場所が増えるのに対しこちらは技術開発のフローにより拡大する。リソースをやりくりして探検し研究トラックを駆け上るアルナックと、人口、鉱物リソースをやりくりして技術フローを進め、星系を争うビヨンド。もっともアルナックが一般的なリソース変換が特徴的であったのに比べ、ビヨンドザ・サンは独特のリソース管理が悩ましい。

奇しくもアルナックもBGAにお目見えしている。2020年は、このビヨンドザ・サン、アルナック、デューンインペリウム、子爵など、新世代とも言えるワカプレが次々発表された。これらの作品はかなりの高評価で迎えられており、BGGでも軒並み8点強のレートを叩き出している。

どれもワーカープレースメントの一種で概ね既存のメカニズムが複数組み合わされているが、プレイ感は新鮮である。ゲームの中でワカプレが重要な位置を占めていながら、意外とそこだけが印象に残らない。いってみれば、これまでのワカプレが(ワカプレの)ご飯に他のメカニズムを「おかず」のように加えていたのに対し、前述の作品たちはあたかもコース料理のようなのである。

ビヨンド ザサンに話を戻すと、やはり技術ツリーとそれによるアクションの拡大の部分が白眉である。どこに目的をおいてどのようにツリーを拡張していくか。他人が開いたツリーのどこを利用するか。そしてアクション選択が他の要素としっかり結びついていることがわかる。アルナックとは異なり、ゲームの進行に従いアクション種類の可能性がひらけていく実感は大きな特徴で、デューンインペリウムや子爵のようなカードによる選択よりも発展していく気分を堪能できる。

技術カード上で表されるアクションはリソースの獲得/自動化(生産強化)や技術開発、宇宙船建造や強化、宇宙船の移動、星系への植民など。個人ボード上でのトークン開放型の拡大再生産要素もあるが、星系の支配や各種ボーナスやイベントなどによりリソース周りの強化が行え、各ラウンドに生産フェーズが用意されているため、ゲーム中盤以降はアクションとしてのリソース獲得/自動化を(わざわざ手番を消費して)行うことは少なくなる。

登場するリソースの種類は決して多くないが、各アクションでの消費、あるいは獲得、変換というものが密接に関与しており、現代的でありながら独特の手法で表現されている。

また、技術ツリーはゲーム毎に異なるため、戦略もそれに従って調整する必要がある。プレイヤーごとの非対称要素もからめ、毎回異なる展開として挑戦のしがいがあると同時にワカプレのアイディアとして非常に興味深いものがある。


得点は研究済みの技術、自動化の度合い、植民、星系のマジョリティ、イベントカード、偉業カードなどからゲーム終了時に集計される。何に重点を置くかは悩むところであるが、各要素は絡み合っているため、バランスをとりつつ他のプレイヤーの動向をみつつどれかに特化ということになるだろう。当然、偉業カード(テラフォーミングマーズでの称号のようなもの)は重要になるし、星系でのマジョリティ争いにあまりにも執着しすぎるのも避けたほうが良いと思われる。


ルールブックを読むとややこしそうであるが、理解してしまうとそれほどでもない。いわゆる重量級の重苦しさはなく、各要素が軽めにバランス良く結びつきあっている感じだ。BGGのウェイトが3くらいであるが、ほぼそれくらいのものであると感じる。それでありながら考えどころが多く、インタラクションも一般的なワカプレ程度で適度に抑えられている。まあ個人的には宇宙もの=対戦、みたいなイメージがあるので、もっと強いインタラクションがあっても良かったとも思うところもあるが、星系の陣取り要素も重要なものとなっており、少なくとも物足りなさはない。技術タイルにはパターン化により優位性を保てるものの、ランダム性もからんでくるため、 強くつきつめるというよりもプレイして非常に楽しいタイプのゲームだろう。

得点獲得は様々な方法が用意されているが、技術拡張と星系の制覇が2大要素。この辺のバランスが良くできていて、星系闘争が強い時にテックツリーに注力したり、逆にテックを基盤に星系を上手く立ち回ったりと、ゲーム展開に応じ戦略も求められる。

BGAに出てきてから海外でも品薄傾向が顕著であるが、5-6月には再販されるようだ。ヨーロッパからリリースされ、その後米国でも出荷予定となっている。リオグランデなので日本語版の発売も充分期待できるし、実際2021年9月のリプリントでは多くの言語にてオーダーが入っているらしい(詳細は不明)。それでなくとも有志の日本語ルールを見ることができるし、カード類の日本語訳も入手できる。多くの海外のレビュワーが2020年のフェイバリットとして挙げているこのゲーム。是非プレイしてみてほしいと思う。


追記:レビューでは細かい戦略より楽しさを・・・という旨の記載をしたが、初期ボーナスに対し赤/黄を伸ばすか緑/青に注力するか、他プレイヤーの動向に応じたアクションの調整、技術のコンボなどやりこみの要素もなかなか強い。終了条件のトリガーの収束性も高く最後の最後まで計算が必要となるのはコンコルディアあたりにも通じるものがある。2021年6月中旬には米アマゾンにリプリント分も出回ってきて実物も手に入れやすくなっている。

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藻
kahn
ルーク〈ゲーマー〉
ビート
おおみやのればりえ
よし(JIGEN)
Sato39
村上和博
maro
maro
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