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  • 9歳~
  • 2015年~

レッツ・プレイ・イノベーション!!Shinnosuke Hiroseさんのレビュー

1509名
1名
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7年弱前
  ライターレビュー (著:齋藤 和輝)

日本公庫総研レポートによると、今や企業の約半数が新事業の立ち上げに取り組んでいるらしい。そして、同データによると全体の4分の1は新分野への進出をしている、そうだ。

思ったよりも一般的になってきている「新規事業の立ち上げ」。一方で、新規事業の立ち上げに取り組む人の中に「新しい事業を立ち上げる」経験が豊富な方がどれだけいるのだろうか?

弊社が開発したカードゲーム『Let's Play Innovation!!』は、新規事業を立ち上げて成功させるために必要なことをゲームで学ぶことができるものです。

本当にゲームで新規事業の作り方がわかるの?

今回はどんなゲームなのかを紹介します。

出典:日本公庫総研レポート
 No.2014-2(https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/soukenrepo_14_07_28.pdf

筆者プロフィール:齋藤 和輝
 ライター兼木こりとして各所で活動中。



目次


・基本ルールの紹介
 ・カードの種類の紹介
 ・ゲームの流れ
 ・『Let's Play Innovation!!』で学べる3つの要素
 ・さいごに


「Let's Play Innovation!!」基本ルールの紹介

最初に『Let's Play Innovation!!』のルールを紹介します。

 

最後に「ポイント」が最も多かった人が勝ち

写真はゲームをプレイしている途中の様子。

真ん中にあるのは山札

この山札がこれ以上引けなくなり、さらに誰もカードを出せなくなった時に終了する。終了時点で最もポイントが多かった人の勝ち。

ポイントは緑・青・黄・紫の4種類の得点カードの合計で決まります。

 緑:波及成功・失敗
 青:調査成功・失敗
 黄:試作成功・失敗
 紫:営業成功・失敗

それぞれのカードにはプラスになる「成功」とマイナスになる「失敗」状態がある。これが交互に入れ替わることでゲーム性が生まれている。

なぜ成功と失敗が入れ替わるのか、それは事業はマイナス状態である「投資」とプラス状態である「成功」を交互に繰り返しているからだ。

少しわかりにくいかもしれないので具体的に見ていこう。

この黄色いカード(試作成功・失敗)は現在マイナス状態だ。つまり「-1」と「-7」で合計「-8」点になる。

ただし、赤いカード(トライ・アンド・エラー カード)があることで「+1」が発生している。

この赤いカードについては後ほど詳しく説明するが、とにかく「-8」に「+1」したので現在は「-7」がスコアになる。

このマイナスをプラスに変える、つまり失敗と成功が入れ替えるには「同じ色のカード」を追加する必要がある。

このように新たに黄色い試作カードを追加することで「+3」と「+7」と「+8」さらにトライ・アンド・エラー カードが進化して「+2」になるので一気に

「-7」→「+20」

になる。
 成功は素晴らしい!

だがもう1度カードを追加すると成功と失敗は入れ替わってしまうので注意が必要だ。投資を回収するフェーズは常に気をつけなければならない。

 

最も優れたモノだけが評価される

『Let's Play Innovation!!』のポイント計算には2つの特徴がある。

1つ目は、ゲーム終了時にプラスになるのは「最も高い点数を取った人だけ」であるのに対し、マイナスは必ず計算に含むということだ。

例えば、下の図を見て欲しい。赤枠がこのゲームの得点の計算式だ。

A社は「試作・営業」の2分野でB社に勝っているので得点になる。「調査」は同じ点数だが、計算に追加してもいい。一方「波及」は残念ながらマイナス、つまり失敗状態なので合計点から引かなければならい。

結果 A社は24点

一方B社は「試作・営業」分野で負けているので点数にならない。「調査」は同点なので追加できる。「波及」だけは勝っているので追加可能だ。

だがここでB社の計算式をよく見て欲しい。2倍になっていることに気づくだろうか?

これが2つ目の計算式の注意点だ。
 相手に勝っているかどうかに関わらず、自社の4要素がすべて「成功」していると合計点は2倍になる。

失敗がない企業は強いのだ(だがB社はそれでも負けている…)

ではB社が勝つにはどうすればよかったのだろうか?

実際のビジネスの世界に「if」は起こりえないが、例えばこの図のようなシナリオが考えられる。

B社がもう1点だけ、調査に優れていたらA社は「調査」の4点を失い、B社は2点分(全て成功しているので1点が2倍になる)増える。

これによって僅差でB社が勝つことができるのだ。

こんな具合にわずか1点の差で勝者が変わるのがこのゲームの面白いところである。

 

「イベント」と「トライ・アンド・エラー」の使い方が鍵

4種類の得点カードの他に『Let's Play Innovation!!』には2種類のカードが登場する。

1つは先ほども登場した「トライ・アンド・エラー カード」だ。これは使用することで確実に得点になるお得なカードだ。

最初は「仮説検証」で+1点
 一度ひっくり返ると「繰り返し」になり+2点
 最後は「理論化」になりゲーム中ずっと+3点になる。

トライ・アンド・エラーの経験は決して点数は大きくないが、常に有益なのである。

もう一つは画像右側にある「イベントカード」だ。

これは有利になるもの、不利になるものと様々な種類がある。さらに任意のタイミングで発動できるものから、引いた瞬間に発動してしまうものまでその効果も様々だ。

何が起こるかわからない、市場の変化に敏感に対応する必要もあるゲームなのである。

 

ゲームの流れはターン制バトル

ゲームはターン制のバトル形式で進んでいく。

手札は4枚で、ターンの最初に山札から1枚引くことから始まる。

自分のターンでは1枚だけ、4種類の得点カード・イベントカード(強制発動してしまうものもある)・トライ・アンド・エラーカードのいずれかを使うことができる。

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4種類の得点カードの紹介

『Let's Play Innovation!!』で一番大切なカードは、4種類の得点カードだ。

ここではもう少し詳しく、それぞれのカードが現実世界の何を意味するのかを紹介しよう。

 

引き抜きに注意!人材に関する波及成功・失敗

 緑色の波及系のカードは、主に人材や人事に関する出来事が書かれている。

クラブのマークがついているカードは時に「引き抜き」というイベントカードで奪われてしまう可能性があるので要注意だ。ちなみにイベントカードの中には引き抜きを防止できるカードもある。

 

ポイントは地味だけど奪われない安心感!調査成功・失敗

 青色の調査のカードは基本的に点数が低い。
 (写真の「+7」のカードは唯一の例外)

しかし他のプレイヤーに得点を奪われることもなければ、捨てなければならないこともない、という長所がある。

 

稼ぎやすいがマイナスにもなりやすい!営業成功・失敗


 紫色の営業はやや博打なカードだ。

広報の要素に近い「メディアでのPR」や「著名人からの推薦」なども含まれているのが特徴だ。プラスも大きいけれど、マイナスになった時の数字も大きいので注意が必要。

 

もう一つのポイントの稼ぎ頭!試作成功・失敗


 黄色の試作はまさにハイリスク・ハイリターンの商品開発。

技術革新は大きな投資が必要だけど、それに見合うだけの大きな得点が得られる、可能性がある。

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実際にプレイ!『Let's Play Innovation!!』

では実際に『Let's Play Innovation!!』をプレイしてみた様子を紹介しよう。相手は開発者の広瀬さんだ。

最初は手札4枚からスタートする。
 トライ・アンド・エラー カードは得点カードの下に重ねるので、今出せるのは

「調査」「試作」「波及」

の3種類のいずれかだ。

「調査」を出す広瀬さん。最初は「投資」段階なのでポイントはマイナスから始まる。

相手が調査カードを出すならば…ウチは営業だ!ということで最初の手札にはなかったが紫色の営業を強化していく。

 


 15分ほどでついに山札がなくなった…。

結果は惨敗!

まず営業力を強化して市場を開拓。その後、試作品作りにいそしむも市場調査はほぼ行わない。気がつけば得意だったはずの営業力でも負けていた。

「技術さえあれば…いつかきっと世間は気づいてくれる…!」

典型的な「ダメな町工場」になってしまったのでした。

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『Let's Play Innovation!!』で学べる3つの要素

最後に『Let's Play Innovation!!』から学ぶことができる3つの要素を紹介する。

 

1つ目:環境、競合他社との関係の重要性

ゲーム中にコントロールできるのは「限られた手札の中で次に何をするか?」だけしかない。

僕がプレイ中に陥ったのは、今の手札の中での最善策を考えるあまり、相手の企業とのパワーバランスを考慮しきれない、という状態だ。

これ、文字で書くと当たり前なんですがけっこう難しいんですよ。

なぜなら本当に見るべきは、

相手が次に何をするのか?

という部分なのにその結果は多分に運に左右されるからです。

つまり、相手の「営業力」が強くて今後もそこを強化していくことが予想されても、実は手札に営業カードが1枚もないかもしれない。

その時、自分が勝っているはずの「試作」を強化し始めたら「あ、こいつウチの得意分野に挑んできたな…!」と思ってしまう可能性がある。

そんなこと全然ないのにね。

 

2つ目、その時できることは限られている

1つ目の学びと逆の側面も『Let's Play Innovation!!』では体験できる。

つまり、どんなに目指す姿が明確でも4枚の手札の内1枚しかいつも使うことができない、というもどかしい思いだ。

特に新規事業の立ち上げ期や、スタートアップであれば利用可能なリソースは常に不足している。

限られたリソースの中、最も自社にとって有益でかつ市場で最も優れた存在になるためには、いつも最善と思える選択ができるわけではない。


 時には社員やメンバーから言われるかもしれない、

「今、そんな手札を出している場合じゃないんです!」

だが経営者である僕は思う

(これしか…手札にないんだよ…!)

『Let's Play Innovation!!』をプレイした人であればもしかしたら、現状を理解した上での解決策を考えてくれるようになる、かもしれない。

 

3つ目、運はコントロールできないが予想はできる


 (Photo credit: jcoterhals via VisualHunt.com / CC BY-NC-ND

最後の3つ目は、運が悪くて負ける時もある、ということが体験できる。

これって意外と重要なことだと僕は考えている。というのも、特に日本は頑張った人が評価される、と考えられ勝ちだ。だけどどんなに頑張った人でも、市場で1番になれなければ(つまり認知されなければ)存在していないも同然だ。

ゲームをプレイした時、大量の投資状態(つまりマイナス状態)で終盤を迎え、いざ成功にオセロのように変えてやろうとしたタイミングで「恐慌」のイベントカードが出てきて負けました。

ただこの経験があったので、こういう時もある、と次からは考えら得るようになことができた。つまりいつ来るかはわからない(来ないかもしれない)けれど、頭の片隅で備えておく、そんな思考をするように変化した。

これは大きな学びだと思う。

リスクをゼロにすることはできないし、効率的でもない。ただリスクが発生した時に最悪の事態を防ぐための工夫はできる。

資金もあって、技術もあって、知名度もあるのに運が悪かったとしか言いようが無い理由で倒産する企業も沢山ある。その列に名前を刻まないために、最低限のリスクヘッジをする思考を得られるのは大きなことだと思う。


さいごに

このゲームは新規事業を立ち上げる人や、スタートアップを立ち上げようとしている人向けに作られたものだが、一般の会社に務める人がプレイしても多くの学びを得られると思う。

というのも、結局は「自社の強みを認識する」「他社の強みを認識する」「現状可能な最善の手を打つ」はどんな企業にとっても大切な思考だからだ。

長々と紹介してしまったが、実は1プレイ15分ほどで終わるので、想像している以上にライトなゲームだ。興味を持ったらぜひ一度プレイしてみて欲しい。

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上野 映之
大賢者
Shinnosuke Hirose
Shinnosuke Hirose
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