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  • 4人~12人
  • 20分~30分
  • 14歳~

斯くして我は独裁者に成れり-幕末-熾火むらしさんのレビュー

205名
5名
0
1年以上前

四杯の砲火で始まった混迷の幕末。七色の野望が綾なす動乱、その波涛を裂く者は現れるか――。


「雄弁は金、沈黙もまた金」
議論で場を掌握しようとするもよし、沈黙のまま狙いを隠すもよし。正体隠匿系ゲームの極北、ひとつの到達点と言えるでしょう。

◆どんなゲーム?

すべてのプレイヤーが最初に7つの全ての役職カードを持っており、「議論」や「投票と棄票」でこのゲームの勝利条件のひとつとなる票数の操作をします。そしてそれらの状況を見ながら役職カードを徐々に捨てていき、自分の正体を確定させていくのがこのゲームの大筋です。

ゲームは五日間(5ラウンド)で終わります。一日は以下のとおり朝、昼、夜のフェイズに分かれてます。

:三分間の議論をする。
:投票もしくは棄票をする。
:既定枚数の役職カードを捨てる(四日目の終わりには持っている役職カードは一枚になる)。

そして五日目が終わったときに正体(各々が最後に残した役職カード)の勝利条件を満たしたプレイヤーが勝つという、非常にシンプルな作りになっています。

▲己が生存を賭けて、七つの派閥が眩いばかりの光を放つ。


実際のゲーム展開ですが……。

流れがシンプルであり、さらにランダム要素が一切ないゲームシステムですが、「全員がすべての役職を持ち、正体をどれにするか選ぶことができる」というシステムのおかげで、同じメンバーで繰り返し遊んだとしても毎回違った展開を見せます。

勝利のパターンも様々です。各プレイヤーがどのように役職カードを残したかによって変わるからです。
全員勝利であったり、複数派閥が同時に勝利したり、単独勝利、はたまた誰も勝利せずということもあります。

また、場の情報から推理ができるような作りになっています。
〈投票〉〈棄票〉に関わらず捨てられたすべての役職カードは公開情報として場に出てきます。つまりここから各役職がどれだけ各プレイヤーの手札として残っているのか分かるのです。日を経るごとにその状況が収束していきますので、その様は『ラブレター』のようでもあります。


◆最適プレイ人数

6人をベストとして5~7人あたりです。4人でもゲーム性を損なわずに遊べると思います。人数が多すぎると「席が遠い人の得票数が確認しづらい」「誰が〈棄票〉でどの役職を公開で捨てたのか覚えきれない」という問題が出るかと思います。


◆ここがお気に入り

1.幕末というテーマの表現とゲームシステムとの親和性
厳しい評価ですが『我独』シリーズ(※)(本稿執筆時で5作品) のほんの一部の役職は「ゲームバランス上仕方なさそうだが、役職の背景設定と勝利条件が馴染んでいない」ということがあります(遊ぶ分にはまったく問題はありません)。しかし本作は各陣営の勝利条件が動乱期の幕末を非常にうまく表現しています。そのためプレイ中もその世界観に完全に浸り、歴史の if ストーリーを体験することができます。テーマや世界に浸ることが好きな方、そしてそれを演じる方にも楽しめるゲームでしょう。

各役職の勝利条件と優先度の関係は複雑だと思います。ですがこの勝利条件であるがために白熱する議論、約束と打算、突然の裏切りがゲーム中に展開されるのです。

また、そのアートワークも素晴らしいの一言です。洋風ファンタジーの『元祖』のアートを担当されたアオガチョウさんの絵が『幕末』にも展開されてます。

※『斯くして我は独裁者に成れり』『斯くして我は独裁者に成れり 幕末』『斯くして我はゴリラに成れり 』『斯くして我は聖剣王殺を成せり』『ひぐらしのなく頃に-我- 』


2.『雄弁は金、沈黙もまた金 』
冒頭にも書きましたがこのゲームの長所はこれです。喋っても黙ってても勝てます。また、理論も強いし密かな想いもまた強い、と言えます。

リーダーシップを発揮するため、協力や共闘を呼び掛けるため、はたまた誘導した挙句、裏切るため雄弁は大事です。
しかしこのゲームは雄弁に語って場を支配しきることは不可能です。全員が全ての役職カードから正体を選択できるため、状況に合わせて好きなように正体は変更できるからです。常に沈黙のまま冷静に考え、語るだけ語らせた者を利用し、場を覆すチャンスは十分にあります。

また理論的に「この状況なら一番有利そうなこの役職での勝利を目指そう」という考えもいいですが、「どんなに不利であろうとこの役職による日本統一が見てみたい」とあがくのも一興です。そのような一途な想いが確率を語る理論派を追い詰めます。

▲日ノ本西から東から揺るぎない支持は得た。さて、【朝廷】王権復古か【幕府】300年の歴史を刻むか。この四日目どう振舞おうか……。



◆ここがイマイチ

1.捨ててしまった役職の勝利条件を確認しづらい
この『幕末』は『我独』シリーズ(本稿執筆時で5作品)を通して勝利条件が最も複雑です。そのため勝利条件と優先度が頭に入っていない間は役職カードに記載された内容を何度も確認することになると思います。

しかし日を経るごとに手に持った役職カードを場へと捨ててしまうというゲームシステム上、勝利条件の確認のために場にある捨てた役職カードを手に取ってしまうと「私はその役職カードを持っていない」と言っているようなものです(……持っていないというブラフを仕掛けることもできますが、奇策は何度も通用するものではないと思います)。

各プレイヤーが手元で確認するための「各役職の勝利条件が書かれた一枚のシート」があればよかったと思います。

▲各役職の勝利条件を記した自作プレイエイド。

◆面白い勝利パターン(チャレンジしてみよう)

「二重の暗殺」
[幕府:単独首位][大名:任意の票数][維新志士:0票][新選組:0票]
【維新志士】による倒幕を【新選組】が防ぐというとてもドラマティックな展開です。
 勝利者:【幕府】【新選組】(【大名】は負けることに注意してください)

 1.【幕府】は《サムライの勝利》し、同時に【大名】が《幕臣勝利》します。
 2.1 によって【維新志士】は《暗殺勝利》し、【幕府】は負け、【大名】は《官軍勝利》します。
 3.2 によって【新選組】が《暗殺勝利》します。【維新志士】【大名】が負けます。
 4.【維新志士】が負けたことによって優先が消えたため【幕府】は《サムライの勝利》します。
  【大名】は【新選組】の《暗殺勝利》が優先するため《幕臣勝利》できません。

「勝ち馬に乗る」
 [幕府:首位][大名:任意の票数][維新志士:首位と最下位、もしくは0票]
【幕府】と【維新志士】のどちらが勝とうが【大名】の勝利は約束されています。【幕府】と【維新志士】が必死の争いをしている中、【大名】は涼しい顔をしているでしょう。ただ勝利者なしには気をつけましょう。

▲【幕府】【大名】【新選組】連合が勝つか、はたまた【商人】連合か【黒船】か。【朝廷】なき今、たったひとりの【維新志士】が闇に踊るか。
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熾火むらし
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