「1.ゲームのコツ」と「2.各派閥の勝ち方」の2部構成です。
※「2.各派閥の勝ち方」について。
基本的なセオリーについて書いてます。(私のように)繰り返し遊んで自分で勝ち方を研究したい方は読まないほうがいいかも知れません。……とはいえこのゲーム、一緒に遊ぶ人によって状況は玉虫色に表情を変え、セオリーなどは露と消えるのが常です。
1.ゲームのコツ
これは『斯くして我は独裁者に成れり』シリーズを通して言えることです。
◆〈棄票〉の「捨てる役職を昼に公開する」はデメリットと捉えず身の潔白を証明する有効な手段と捉えましょう。むしろ捨てる役職の公開が目的で〈棄票〉自体はオマケとなる場合もあります。そう、このゲームは正体隠匿系ゲームであっても正体を隠匿することが常に自らに利するとは限りません。
例えば三日目、役職カード4枚中、2枚を〈棄票〉で公開すると、「手元に残った2枚が何であるか」を他のプレイヤーが推理することは簡単な場面が多いのです(気付いてなさそうなら四日目の朝に語ってやりましょう)。これを見て「共闘したい」、「(有利な勝利条件や暗殺などの)不安要素が消えた」と思う人は必ずいるはずです。
◆役職カードをすべて持ってスタートしますから勝利条件が似た役職、場に醸成された状況へ協調もしくはカウンターになる役職を残し、その時の状況に合わせていくことはいい考えでしょう。
・お互い敵対関係である【維新志士】【新選組】は乗り換えが容易です。
・首位であれば【幕府】【維新志士】【朝廷】【商人】が狙えます。もちろん票数を気にしない【大名】【黒船】もです。
◆後戻りのできぬ分水嶺は、役職カードが4枚⇒2枚になる三日目。この三日目であなたは票数や議論、そして場に捨てられた各役職カードの枚数などの状況に応じてひとつの道を諦め、もうひとつの道を往くと心に決めることになるでしょう。
そして四日目。定めた道の先に見えたものに馬手の太刀を振るうか弓手の短刀で刺すか……。
2.各派閥の勝ち方
この勝ち方は私がオープン会とプライベート会を1:1くらいの割り合いで遊んできた経験から書いています。
公式サイトに公開されている『勝ち方サマリー』と併せてご覧ください。
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【幕府】 |
最多票数の確保を目指すだけで勝利条件を満たせるわけですが、自身に優先する派閥が多いのが【幕府】です。優先条件故に「勝ちにくそう」とよく言われますが、意外と単独勝利を含め道は広く、その勝率は高い役職です。
《サムライの勝利》:勝つためには「【幕府】に票を入れてくれる」「【幕府】より優先する派閥の勝利を消してくれる」後援者、すなわち【大名】【新選組】が必要になります。
【大名】は票の調整はしてくれるものの、【維新志士】に鞍替えする可能性があります。
【新選組】は【維新志士】【黒船】キラーであることが大きな強みであり、【新選組】のままであれば【幕府】の敵側につくことが無いため【大名】より信じることができます。ですが【幕府】と【新選組】は「お互いの勝利を邪魔しない『共存可』」という間柄。【新選組】は自身の勝利条件を満たすため、五日目には【幕府】の票調整に関わってくれないかもしれません。
また、【幕府】に投票をすることによって【幕府】の勝利条件を満たした上で、最後には【幕府】を暗殺しようとする【維新志士】も最初のうちはうまく利用することです。
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◆変化:首位であるなら【朝廷】の《尊王攘夷》《大政奉還》から変化する手もあります。【朝廷】であることを利用して【黒船】の影を消してしまえば【幕府】だけの単独勝利を成せるでしょう。
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【大名】 |
【幕府】や【維新志士】を「後方から応援してその勝利についていく」という消極的な行動でもいいですが、「【幕府】や【維新志士】 に対して働きかけてその気にさせる」、また時には裏から操って「誰かを【幕府】や【維新志士】 に成り上がらさせる」積極的な行動が肝心です。【大名】はあなたが雄弁な調停者やリーダー、または策士であることが求められる場面があります。
私が思うに、【幕府】【商人】【黒船】などの単独勝利を成し遂げることも楽しいですが、『我独幕末』の物語を真に楽しめるのは、この【大名】なのではないでしょうか。
《幕臣勝利》:【幕府】との勝利を目指すと【黒船】が脅威となります。【黒船】対策として【幕府】【大名】と共存勝利ができる【新選組】《忠義の勝利》を巻き込んで行く手があります。この場合【大名】は両者を取り持つ要となって【幕府】や【新選組】《忠義の勝利》 の票調整を能動的に実行していくとよいでしょう。
またその時点での得票最多の者の行動を注視することです。さらにはその者が他の役職で逃げぬよう、【朝廷】などを〈棄票〉で公開することを求めるのはよい手でしょう。 |
《官軍勝利》×【維新志士】《維新勝利》 :首位が【維新志士】なのか【朝廷】なのか見極める必要があります。【朝廷】を頂点とした天下に【大名】は不要だからです。
不動の単独首位がいた場合、間違いなくその人は【維新志士】ではなく【朝廷】です。不動の単独首位は作らないようにしましょう。 また【朝廷】を捨てた人に票を入れ続けるのもよいかも知れません。【維新志士】や【幕府】を目指してくれるからです。
《官軍勝利》×【維新志士】《暗殺勝利》:まずは【維新志士】の暗殺対象である【幕府】や【黒船】が勝てそうな状況を作ることです。
◆対【幕府】暗殺:【大名】《幕臣勝利》のときの応用です。【幕府】がいればそれを暗殺しようとする【維新志士】が出てきます。このとき【新選組】の0票を作ってはいけません。【幕府】を守る【新選組】の暗殺は【大名】を置き去りにします。しかし倒幕派の【維新志士】の0票は【大名】に寝返りの《官軍勝利》をもたらしてくれます。
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◆対【黒船】暗殺:【朝廷】【新選組】がいないとき、【黒船】は必ずいます。場は【幕府】か【維新志士】か【商人】のどこかに傾いているはずです。そのときに得票数が少ない者がいればそれが【維新志士】かも知れません。その【維新志士】を〈棄票〉していけばよいのですが、勝利の前段階の【黒船】の勝利の可能性を醸成することは非常に繊細なテクニックを要求されるでしょう。
なぜなら分かりやすい【黒船】勝利の場を作ってしまうと複数の【黒船】が現れて勝手に自滅しますし、ひとりの【維新志士】を連続して〈棄票〉していると暗殺を警戒した【黒船】は(首位【幕府】も)〈投票〉で打ち消そうとしますし、〈投票〉が間に合わないとみるや【黒船】は消えてなくなります。このデリケートなバランス調整を超えた先に【黒船】単独勝利と、それを刺す0票の【維新志士】が生まれるのです。
【黒船】《列強勝利》は比較的珍しい勝利パターンです。その成立に対して0票【維新志士】の《暗殺勝利》の成就、そのタイトロープに相乗りする【大名】の《官軍勝利》……。これほど奇天烈な勝利はないでしょう。 |
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◆変化:【大名】は票数がその勝利に影響しないため他からの変化は容易です。奥の手として持っておける役職です。
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【維新志士】 |
同士を集めて集団で勝つか、誰かの勝利を消して単独勝利するか。勝ち方が非常に面白い役職です。
《維新勝利》:実は一日目から狙って組み立てられることがあまりない勝利です。首位が【維新志士】から【朝廷】へと入れ替わった《大政奉還》の下位互換と言えるのが原因でしょう(【朝廷】不在の《維新勝利》は【商人】【黒船】の勝利に負ける)。
しかし全員の票数が近く首位が不安定な時には、【商人】連合の票数が多いとは言い切れず【朝廷】の首位は維持が難しいはずで、首位が【維新志士】であれば誰でもよい《維新勝利》が狙いやすくなります。
◆変化:上記のとおり首位が【朝廷】から変化する場合です。【維新志士】がふたり以上必要であるため時間との勝負になります。 |
《暗殺勝利》:まずは自身の票数は少なくあるべきです。得票数が多ければ「【黒船】は狙っていません」などと言い【黒船】を捨てながら自身を〈棄票〉するのも手です。
対【幕府】暗殺:【幕府】を暗殺する場合、自身が【新選組】のふりをする必要があります。【新選組】はどの勝利パターンであっても得票数を抑える必要があるため、自身を〈棄票〉したときの大義名分が立ちます。
◆変化:上記のとおり敵対関係であるが勝利条件の似ている【新選組】から変化します。
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対【黒船】暗殺:【維新志士】《維新勝利》パターンからの【黒船】暗殺は自身が最下位側の【維新志士】でないといけません。 「【大名】の《官軍勝利》×【維新志士】《暗殺勝利》 対【黒船】」と同じパターンです。この勝利は【維新志士】ひとりでは成すことはほぼ不可能でしょう。なぜならあなたは自身を〈棄票〉しますが、それを見た【黒船】はあなたに〈投票〉するからです。共に勝利できる【大名】からの〈棄票〉が必要なのです。しかしやりすぎると「〈投票〉が間に合わない」と見た【黒船】は別の派閥へ変化してしまうことを警戒すべきです。
それを乗り越えた時、もうひとつ警戒すべきはあなたが裏切った首位の【維新志士】です。「共に《維新勝利》を」と願った同士のあなたをひとり勝たせようとしてくれるのか、裏切るのならば【黒船】の肩をもつのか。それは日ごろの行ないで決まるでしょう。 もちろん【維新志士】《維新勝利》パターンでないなら気にする必要がありません。
◆変化:【黒船】勝利の前段階として、首位【幕府】との【大名】《幕臣勝利》からの変化ができます。反対に【商人】《富の独占》連合から抜けるパターンは他の【大名】が不在であるため非常に難しいでしょう。
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【新選組】 |
同士を集めて集団で勝つか、誰かの勝利を消して単独勝利するか。パターンとしての勝利条件は【維新志士】と同じです。
【新選組】は敵対する【維新志士】と勝利条件が似ているため、お互いは常に表裏一体のように思えます。しかし【維新志士】は【大名】や【朝廷】を後ろ盾にしつつ【幕府】と直接対立、【新選組】は【幕府】の友軍という立ち位置です。このため中盤までは両者違った状況の組み立て方になるでしょう。
《忠義の勝利》:【幕府】と「共存可」です。つまり【新選組】【幕府】【大名】の三派閥合同勝利が可能であり、【幕府】【大名】に対して【新選組】連合の票調整を頼むことができます。その見返りとして【新選組】の存在が【黒船】の影を消すことを約束するのです。 また【幕府】と【新選組】の勝利が危ういとき、【幕府】(そして【大名】をも)を裏切るのもやむなしです。あくまで「共存可」。【幕府】あっての【新選組】ではないのです。
◆変化:最下位の【維新志士】やその他役職からの変化ができます。そして暗殺狙いの【新選組】からも変化します。こちらも【新選組】がふたり以上必要であるため時間との勝負になります。 |
《暗殺勝利》:【黒船】もそうですが討幕派の【維新志士】の勝利をも抑止する、これも【幕府】へ恩を売り協力を取り付けることができる勝利です。ただし《暗殺勝利》は【大名】の勝利に優先するため、【大名】からは妨害が入ることになります。
何より大事なのは「自身の暗殺を恐れる」【幕府】からの信頼です。そのためには「〈棄票〉で【維新志士】を公開して捨てる」しかありません。
◆変化:《忠義の勝利》の【新選組】から変化するパターンです。【維新志士】とは逆に暗殺狙いの【維新志士】からは状況的に変化がしづらいでしょう。 |
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【朝廷】 |
【朝廷】の勝利に優先する派閥がないという強い役職です。ただしその勝利条件はどれも繊細と言えることができ、複数のプレイヤーからの支持を得られないと脆くも崩れ去ってしまいます。
《尊王攘夷》:非常に繊細な勝利です。参加したプレイヤーの性格や傾向にもよりますが、何も考えずみんなで仲良く全員勝利とはならないはずです。五日間をかけてお互いに出し抜けによる単独勝利を消していくことになるでしょう。つまり《棚ぼた勝利》の商人を全員に捨てさせること、首位のプレイヤーには【幕府】を捨てさせることが肝心です。《尊王攘夷》 が成ったときには抑圧から解き放たれた安堵のため息が漏れることでしょう。 |
《大政奉還》:【維新志士】3番目の勝利条件でもあります。自身が存在するだけで【黒船】の勝利を潰せることを宣伝し、なるべく多くの【維新志士】を仲間に引き入れ、自身の首位を揺るぎないものとすることです。賛同者が少なければ自身に票が集まらないか、もしくは最下位と定めた【維新志士】の票を調整されて簡単に目論見が消されてしまいます。
◆変化:【維新志士】《維新勝利》の首位が揺るぎないものになれば変化するでしょう。 |
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【商人】 |
同士を集めて集団で勝つか、単独勝利するか。 そのパターンの3派閥目です。
《富の独占》:金の力の及ばぬ武力には弱く、特にいつまでも【黒船】に悩まされることになります。そのため【黒船】の天敵、【新選組】【朝廷】が残っており【黒船】がいなくなってから《富の独占》 を呼びかけるのもいいでしょう。 しかし最初から全員に対して強気に【商人】連合を呼びかけるのもまたいいでしょう。そうなると悩み、決断を迫られるのはバッティングしたら勝てない【黒船】*たち* です。 |
《棚ぼた勝利》:前作の【民衆】より条件が厳しく(むしろ非常に良い調整が入ったと思います)なりましたが、「誰も勝利条件を満たさなかったら勝ち」という勝利は色んな状況で保険として持っておけます。 ただしあなたが複数陣営勝利の要の役職となっているときに【商人】を持ち続けていることがばれたら一気に信頼を失うことになりかねません。
◆変化:得票数が多いのであればどの役職からでも狙えます。さらに商人が自身ひとりなのであれば「商人たちの中で単独首位」という条件を満たせばよいので得票は1票だけあれば十分です。 |
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【黒船】 |
このゲームで唯一、単独勝利しかない役職です。勝利を得るためには大体において欺瞞、ブラフ、そういった仕掛けが必要になります。【黒船】単独勝利を成し得た時の感動はひとしおでしょう。
《列強勝利》:自身の天敵となる【新選組】【朝廷】がいなくなるよう票の調整をしていくとよいでしょう。 しかし【黒船】の本当の敵は他の【黒船】です。同じ単独勝利を狙う者同士が邪魔になります。 また【黒船】に勝ち目があることは簡単にバレます。その【黒船】を討ち取ろうとする【維新志士】の票は減らしてはいけません。
◆変化:票数に左右されないため状況次第でどの役職からでも狙えます。 特に上記のとおり天敵である【新選組】【朝廷】で他の【黒船】を消した上で自分が【黒船】に変化することはいい考えでしょう。 |
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