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  • 2人~4人
  • 120分前後
  • 12歳~
  • 2021年~

インペリアルスチームkanamatanさんのレビュー

663名
2名
0
約3年前

ウィーンからトリエステへ、綱渡りの経営を乗りこなし産業時代の幕開けを制すのだ。


○イントロ

 中央ヨーロッパ〜南ヨーロッパを舞台に会社を運営しながら鉄道網の拡大を目指す。鉄道網を構築するには大都市から労働者を雇い資材を集めて敷設せねばならない。しかし、それを成すには大量の資金が求められる。資金は投資家からの投資、荷物の運搬により大きく稼げるが、一筋縄では行かず定期的な収入は雀の涙しか貰えない。このカツカツの状態から上手く雇用費、材料費、車両費をバランス良く捻出して経営を好転させよう。いつだって最初の一歩を踏み出すのは大変だ。

○良い点と悪い点

 ※面倒くさかったらここだけ読んで下さい。

◎良い点

・シビアなプレイ感

 →毎ラウンド金銭を使い切って足らぬ位の懐事情でヒリつく苛烈なイニシアチブ争いを強いられる。1手を先んじられればそれが平気で取り返しのつかない格差を産みかねないバランスゆえに蒸気の時代やブラスのようなタイトな経済ゲーが好きなら楽しめるかと。

・豪華なコンポーネント

 →ここのメーカーの中ではお安め価格でタップリのコンポーネントが詰まっておりお得感がスゴい。駅タイルなんかプレイヤー人数毎に23枚づつのセットがある狂気っぷりだ。テーブルに収まりきらない盤面なのに送料込で1万を切る安さ。

・言語依存が無い

 →盤面に言語依存は無し。公開訳もあるので取っつきやすい。

◎悪い点

・救済が無い

 →システムを理解できないと収支が改善出来ず容易に順位争いから脱落する。金が無さすぎて毎ラウンド10金もらって終わりみたいな自体に陥りかねない。最近の作品とは思えないくらいシステムがプレイヤーを助けない容赦の無さ。

・コンポーネントが安い

 →量が多くてスゴイのは分かるがボードが反る、カードが直ぐ折れる、コマが多過ぎてボードに凹みが付くなど…。カードの折れと凹みは良いんだけど、ボードが反りまくるのはプレイしにくいので勘弁して欲しい。

○遊んでいて良かったところ掘り下げ

まず最初に語るべきはクソデカボードと圧倒的なコンポーネントの量だろう。

メインボード。中央はオーストリアからイタリアへの地図が書かれたメインマップ。上はラウンドカウンター兼車両置き場。下は手番順や勝利点、労働者の雇用に関わる影響力トラックと購入可能な資源を示した市場トラックがある。

個人ボード。上部はラウンドオーダーのサマリ。真ん中は自分の管理する列車の状態。列車は各種資源を保管できるほか、客車を引いて収入を上げることも出来る。左下は従業員エリア。従業員のレベルやラウンドで使用したかを管理する。右下は資源置き場&工場置き場。次ラウンドに獲得する資源の仮置や建築した工場の仮置をしておく。左のボードは株価ボード。今の株価と投資家の管理を行う。また、見れば分かるほどに個人ボードはそり返っている。プレイ時は届いて直ぐだったが、この有様だ。

アクションタイル。11枚のタイルから手番毎に実施するアクションを選びタイルの上にトークンを配置する。同一ラウンド中に同じアクションを選択するとペナルティで影響力が下がる。バツの書かれたタイルの隣にあるカードの山は契約書、本来はディスプレイされるのだが、スペースが足らずに山になっている。

忘れていたが更に各種資源の価値と生産の為の工場を置く工場ボードもある。とんでもない物量だ。必然的に情報量も増えるので常に状況を冷静に判断して思考を取捨選択出来るスキルも求められる。

次にプレイ感について。プレー感は厳しい。蒸気の時代の終盤に収支が逆転する様なカタルシスも乏しい。淡々と線路を引き、契約を達成するための工場建設を行う。ドライなプレーではあるが、着実に自分が行った結果が積み重なったものが残るのはしっかり楽しい。マゾゲーなのは間違いない。

特にマゾいのは資金繰りの部分。今作の資金稼ぎは毎ラウンド収入フェイズで入るストック型収益と投資家からの株式借り入れ、都市に資源を売却して得るフロー型の収益がある。そして全部が何かしらのデメリットを持つ。

ストック型収益の難点

・上げづらい

→上げるためには特定の都市にあるビジネスチャンスチップを獲得して列車を客車にランクアップするか大金を支払って駅舎を建てる必要がある。前者はまず他人と競合するレースに勝って先に入った上で資源保管スペースを削る事で獲得出来る代物である。後者は単純に資金がキツい。

フロー型の収益の難点

・株式は準備とペナルティがスゴい

 フリーアクションとして投資家トラックから任意の個数を配当ゾーンに移動することで現在の株価×投資家の人数分の資金を獲得出来る。しかし、ゲーム終了後に配当ゾーンにいる投資家1人につき総資金額の10%を支払う重めの義務が生じる。また、投資家は株価の位置以上のトラックに配置されている人からしか資金は受け取れないため、大金を得るには株価の上昇と投資家集めを並行して行わなくてはならない。株価を上げるには貴重な手番と影響力を払うかビジネスチャンストークンを使わねばならない。投資家を得るには契約を締結せねばならず、契約はゲーム終了時に大金を獲得出来るが資源置き場を専用に割当て使用不可にし、かつ該当する工場を建てる必要がある。副次的にやることが一気に増えてしまうのである。その上、契約カードの総量は全体で15枚しかないという容赦の無さ。

 資源の売却、点在する中枢都市に早い者勝ちで資源を売却する。プレイヤー全体で保有する工場の総数が増えるほど金額が減る。1番デメリットが無いが資源の調達手段によっては赤字になることも。

 あまり触れていないが線路を引くのも大変。資源を買ったり生産した上で大量の労働者を使用せねば線路が引けない。これが苦しい。なんせ労働者は大金を払って雇うけど資源を獲得するために工場を建てると居なくなる。更に労働者にはランクがあり優秀な労働者を使って工場を作らないと資源はまともに算出されないのも辛い。線路の為に労働者を残すか工場に送るか苦悩の決断を強いられる。


○逆にダメだったところ。

・コンポーネント

 物量は素晴らしいが質は嘲笑モノ。最初から個人ボードは反っているし、お金カードはちょっと力を入れただけで折り目がついてしまう。タイルが破れなかっただけマシではあるが、ゲームがなまじ良い作品だっただけにここは惜しまれる。

・セットアップ

 とにかくに準備に時間がかかる。セットアップとインストだけで1時間は見た方がいい。駅を並べ、アップグレード列車を積み重ね、工場や資源をボードに並べ…etc.けっこう面倒くさい。一瞬このセットアップするなら別ゲーやった方が良いのでは…、と感じてしまった。


以上。長々と書いたがマゾゲー好きなら楽しめる。リプレイ性もかなり高いので気になった買うのもアリだろう、日本語版も出るし。

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