- 1人~4人
- 90分~150分
- 12歳~
- 2017年~
グルームヘイヴン八神月さんのレビュー
2020/1/19 全面改稿
中2、小6、小3と私(アラフォーの父)で、ボードゲームしています。
今回、BGGランキング1位のこのゲームを、子供たちと遊ぼうと、先行予約で購入しました。
冬休み中に1回、子供達と遊んだのですが、
うーん、やっぱりですね…イラストの子供ウケが非常に悪く、
キャラ選びの時点で、「怖い、キモイ」「どれもイヤだ」と、特に末っ子の反応が悪く、
結局、キャラクター選びと、最初のクエストを1ラウンド回しただけで、終了してしまいました。
辛うじて中2の姉は、私に気を使って遊ぶ努力をしてくれましたが、翌日以降は誘っても反応が悪くて、結局一緒には遊べていません。
多分今後も付き合ってくれないだろうなぁ(涙
日本の子供って、キャラクターイラストと言えば、日本独特の目が大きくてかわいいキャラクターを基準にしているので、
ダークファンタジー全面押しのおどろおどろしい夢に出てきそうな個性の強いイラストは、さすがに受け入れてもらえませんでしたね…
洋風イラストでも、scytheやカタン(宇宙)、パンデミック等には抵抗がなかった3人だったので、受け入れてくれると思ったのですが、無理でした~(涙
そんなわけで今後は、私がソロで遊ぶことになりそうです(涙
そして実際にソロで、ティンカラーとスペルウィーバーの2人PTを使用して、シナリオは11個ほど攻略(敗北もあるので探索回数は14回以上)してみた感想です。
このゲームのレビューって、みんな大枚支払って購入したためか、良いコメントしか見たことがなく、まるで万人が夢中になって楽しめる、ハイクオリティなゲームのように誤解を感じるので、これから購入を検討している方のために、もう少し何とかしてほしいと思う、「ココはダメだよ、グルームヘイブン」を記述します。↓
このゲームの一番ダメ出ししたいポイントですが、
敵ユニットごとの残存HPや異常状態が、盤上に置いてある敵ユニットを見ても表示するものがいっさい無いため全く判らず、直感的ではないところです。
モンスターの残存HPや異常状態は、盤上とは別の「モンスターの状態を管理している正方形のモンスターデータシート」を見ることになりますが、
この1枚のボードで、同一種族のモンスターを最大10体まで管理しており、さらに、標準モンスター(台が白色)とエリート(台が黄色)モンスターを混在でワンシート管理するため、非常に解りづらいです。
当然種類の違うモンスターが居れば、データシートが増えます。(下記では2種類のモンスターが盤上にいる状態)↓
この手のゲームの場合、混戦状態中での戦術の考え方の要は、敵の配置、敵味方の武器のレンジと攻撃力、防御力、残存HP、異常状態を見て、
どの敵を優先的に倒せばよいか判断することが重要かつ醍醐味だと思いますが、
盤上を見るだけでは敵味方の状態情報が一切無いため、攻撃対象とすべき敵の優先順位をつけれません。
では実際の攻撃時の具体的な作業手順を説明しますと、
まず盤上を見て敵味方の布陣を確認したあと、
確認したい個体のコマに小さくかかれた数字を覚えて、「該当モンスターのデータシート」上の該当する数字の状態を確認する事となります。
特に残存HPの確認が非常に面倒で、
データシートには、あくまで「与えたダメージ分のダメージアイコン(赤くて丸くて中央に数字)が累積で置いてあるだけ」であり、
残存HPを知りたい場合は、初期のHPを確認(データシートの上部の小さい数値のうち一番上の値、左側は標準モンスター、
右側の背景が黄色はエリートモンスターの初期HP値、個体によって見るべき場所が違う)して、ダメージアイコンを数えて、差し引いた値が残存HPとなります。
当然、種族が違えば初期HPが違うし、
同一種族でもモンスターのレベルが違えば初期HPが異なります。
だから、ダメージアイコンを一見しただけでは、どのモンスターが弱っているのか、判断が非常に難しいです。
優先順位を調べるために状態確認を行っているわけですから、当然複数の個体に対して、上記の作業を行う必要があり、
盤上とデータシートを交互に、何度も何度も見直す事となります。
この作業が直感的ではなく、とても煩わしいです。
そして、ようやく攻撃対象を絞った後、実際に攻撃を行うのですが、
これもまたかなりの手間です。↓
実際に攻撃したときのダメージXの計算は、
X=ドローした能力カードの攻撃値+攻撃補正カード値+アイテム補正値+エレメント補正値ー敵のシールド値ー敵のシールド補正値+毒状態等
必ずしもすべての項目を加算するとは限らないですが、
かなり面倒な計算です。
範囲攻撃の場合は、上記の計算を攻撃範囲内の敵すべてに1体毎に計算を行います。
当然次のプレイヤーに手番が移ったら、攻撃対象の選定からやり直します。
モンスターからプレイヤーに対して攻撃するときも、似たような、手順をふみます。
もちろんモンスターの数だけ行います。
さらに、攻撃対象までの射線も確認する必要があり、
途中射線を遮るものがある場合、攻撃は当たりません。
細かいことですが、防御力を無視する(シールド貫通)武器やアクションもありますので、
ダメージ計算はかなりの手間です。
TRPGではこのくらい細かく計算する事もありますが、
TRPGでの戦闘行為は、あくまでも物語を楽しむ為のスパイスであって、シナリオの規模の割に戦闘行為が少ないです。
だから手順が複雑でも許されるし、煩わしさも感じませんが、
このゲームは戦闘戦術が主体でして、肝心要の部分がこの煩雑さでは手作業で遊ぶボードゲームとしては致命的では?と思わずにはいられません。
しかし私はすでに購入してしまったため、なんとかこの部分の作業を簡素化して遊べないかと、いろいろ調べて試してみました。ご参考までに↓
海外では下の画像のように、盤上のモンスターを見ただけで、個々のモンスターの状態が比較的簡単に判断できるグッズも販売されているので、導入するのも良いと思います。
試しに私が買ったのはコチラ↓
↑個々のモンスターの残存HPと状態が一目瞭然。
布陣の状態と敵の状態を、盤上だけで確認できるので、直感的に判断し易いです。
もしあなたが、ボードゲームにデジタルの要素を導入する事に抵抗がないなら、もっとおすすめなのがコチラ↓
アプリのgloomhaven helper
Android版は、無料で使えます。iOS、windows、Linux版もあります。
このアプリは、とてもよくできていて、
上記で問題視したゲームの本質とは関係のない煩わしい作業部分の、
敵すべてのユニットのHP、状態管理に加えて、味方のHP、状態、経験値、古銭、イニシアチブ管理、エレメント管理、ラウンド管理、モンスター種族毎の能力カード管理およびモンスター全体での攻撃修正カード管理!(呪いや祝福によるカード枚数の追加削除すらも管理してくれる!!)を一手に引き受けてくれるため、煩雑な作業から一気に解放されます。
モンスター能力カード上の攻撃力や移動力、シールド値などは、モンスターデータシートの値と合算したものを表示してくれます。とても親切です。
プレイヤーまたはモンスターが任意のタイミングで召還した、召喚獣の状態も管理してくれます。(凄すぎ!)
さらにこのアプリがすごいのは、
シナリオごとに登場するモンスターの種類を個々に覚えており、シナリオ番号を入力すれば、使用べきモンスターだけが、表示されるんです!
もちろんモンスター種族毎の能力カードもすべて登録されています!(本当に良くできてる!!)
さらに、複数プレーヤー(端末)に対応しており、各プレーヤーが自分のスマホにインストールしてネットを介して相互に接続すれば、ゲーム上の全個体の状態がリアルタイムに全端末で同期されます。(Android端末では確認済み)
これにより一つのスマホを4人で囲む必要はありません。
中央がホスト端末(ブルート)左はスペルウエーバー、右がティンカラーのプレイヤーの端末、各々がイニシアチブ値を入力したところ↓
続けて、、ホスト端末の人が左下のDrowボタンを押せば、ユーザーキャラクターと全モンスターのイニシアチブ値(モンスターは自動で能力カードをドローしてくれる、もちろん種族毎に)がすべて解決され、昇順に並べて表示してくれるので、全ユニットの行動順番が一目瞭然です。↓
全端末で情報が共有され、すべてのユニットのイニシアチブが解決された!
個々のユーザーがgloomhaven helperですべき作業は、
基本的にラウンド毎のイニシアチブ値の入力、自分の操作するキャラクターの状態が変化したときの入力、モンスターの状態が変化したときの入力(誰か一人が行えばよい)です。
さらにすごいのは、ラウンド途中で新たな部屋に侵入した時のように、新手のモンスターが発生した場合のイニシアチブ値割り込みにも対応しています。
そしてアプリを使うと下記のコンポーネントを使わずにすみ、戦闘解決の煩わしさがかなり軽減できます。
・モンスター種族毎のデータシートおよびスリーブと能力カード、モンスターの攻撃修正カード、呪い、祝福カード
・約10種の異常アイコンとダメージアイコン
・エレメントアイコンとボード、ラウンドマーカー
・プレーヤーキャラクターのHP,EXPボード
戦闘中の作業がかなり楽になり、盤上の攻略に集中出来るようになるので、オススメです。
ここまでで紹介したアプリや小物類、このようなものが他にも何種類も世界中でリリースされているので、
上記で説明した戦闘作業の煩わしさに関して、世界中のプレイヤーも私と同じように不満を感じているのでしょう。
特にgloomhaven helperは、補助アプリとして完成度が高すぎで、
補助アプリとしてここまでレベルの高いものがリリースされるという事は、戦闘の煩雑さが致命的であると、
世界中のプレイヤーが認めたとも言えます。
もしgloomhavenが将来大きくリニューアルする事があれば、
このあたりは要改善してもらいたいです。
他には、コンポーネント構成で気になった点ですが、
33000円もするのに、
・プレーヤーキャラクターは、プラのフィギュアなのに、モンスターはすべて厚紙で、ショボイ
・ダンジョン内のオブジェクトも全て厚紙のみなので、ダンジョンに立体感がなく、4000円位のボードゲームにしか見えない、プレーヤーキャラクターも厚紙だったら、アンドールの伝説と変わらないクオリティ
サードパーティー製の小物を使用して、立体感を出してみた例↓
・ダンジョンを構成するボードは30枚くらい入っているが、よく見ると同じ形のボードが色違いで何枚も入っていて、実はバリエーションが少ない、統一して枚数減らしても良かったのでは?と思いました。
・大量のコンポーネントが入っているのに、管理収納するものが入っていない。何らかの細かく分別できる収納ケースを必ず準備して仕訳しておかないと、必要なオブジェクトを探すだけで莫大な時間を要してしまい、ゲームすらまともに始められないです。
収納ケースは、マストバイです。
サードパーティー製の収納ケースの紹介↓
↑サードパーティー製は、専用設計なので箱に収まります。私が購入した収納ケースのお値段は、送料込みで93.5ユーロ(約12000円)※forgotten circles対応バージョン
さすが専用設計なだけあって、必要なオブジェクトがどこにあるのか分かり易いです。
6角形の障害物アイコン(テーブルや罠など)などは、裏と表で描かれているイラストが異なるので、安易に形だけでまとめて収納すると、探すときに見つけるのが非常に苦労しますが、この収納ケースは、同じオブジェクトを表と裏別々の場所に分けて収納出来るので、探すときにいちいち裏返して確認しなくて良いです。
モンスターの行動カードもジグザグかつ傾斜をつけて収納するため、すぐに必要なカードを取り出せます。
アイテムカード等も、解放済み(UNLOCKED)と未解放(LOCKED)と分かり易い仕切りが付属しているため、簡単にカードの仕訳できます。
とてもよく考えてあると思います、高いだけのことはあります。
100均のケースの場合↓
↑当然箱には収まらないが、
全てのオブジェクトが常にシナリオ開始時に必要というわけではない(常に箱の中の7割のオブジェクトは使わない)ので、
シナリオを進める度に、必要なオブジェクトを入れ替えて、必要な分だけコンパクトに100均ケースでまとめて収納するのも良いと思います。
このゲームを屋外へ頻繁に持ち出すなら、サードパーティー製でコンパクトさや運びやすさを優先して、自宅でのみ遊ぶなら100均ケースにいれるのが良いと思います。
次に値段に関する部分ですが、
英語バージョンでは、$100程度で販売されているボードゲームなため、仕様的にいろいろ無理やり突っ込んだ感があり、上記のように足りない部分や、無理やり実現していると思われる部分があるように思いました。
また日本語版を出していただいたアークライトさんには申し訳ないのですが、一消費者としては、
このボードゲームのクオリティや内容物だと、もとは$100程度であることを考えると、33000円は高すぎると思いました。
日本語版は、20000円以下が妥当かなぁ?
購入前にあらかじめ中身や使い勝手を把握していたら、gloomhavenを購入する資金で、10000円前後の別のボードゲームを3つ買っていたと思います。
画像でしか見たことが無いのですが、「クトゥルフの死もまた死すべし」が、あれだけのコンポーネントが入っていて、日本語版が11000円販売出来ているし、
ヌイグルミ騎士団と少女の夢(こちらは購入済み)には、gloomhavenのシナリオブックとほぼ同じ100ページ以上もある上質紙のシナリオブックが完全日本語化されているうえに、フィギュアの数もgloomhavenより多いのに、税込み8000円ちょっとで販売されている事を考えると、
何故このボードゲームは、33000円もするのだろう?と、ちょっと納得できないです。
違いはカード枚数ですが、カードって生産にそこまでコストがかかるものなのでしょうか?
もし、オリジナルの英語バージョンが$300だとしたら、
BGGランキングで1位には輝いていないと思います。
10位以内にも入れないと、私は思います。
このゲームはTRPG風ですが、GMが必要ない仕様となっているため、ダンジョン内部の情報がシナリオブックに全て記載されています。
これがアダとなって、未踏破のダンジョンにも関わらず、最奥の部屋の中の状態まで、最初から知ることが出来てしまい、RPGの醍醐味である未踏破区域探索やハプニングの楽しみをかなり損ねていることです。
例えば、ダンジョン最奥のボスが初めから認識出来てしまうため、最奥に到達してもサプライズ感が全くない↓
他にもキャンペーンボード(世界地図のボード)上の街および街周辺に、将来どの場所にクエストが発生するのか予め数字で記載されているため、地図上の未踏破区域探索の楽しみも損ねています。
ここは数字は一切印刷しないで欲しかったとおもいます。
シールを貼る際に数字が印刷されていなくても、貼るべき位置の座標を教えてくれる(H-10など)ので困ることはないんですよね。↓
このような情報公開は、予めトリックと犯人を事前に知らされている状態でミステリー小説を読まされるようなものです。
ダンジョン探索中に未踏破の扉を開いて部屋に進入しても、すでに敵や宝物の配置が解っているため驚きが無く、攻略しても達成感に乏しいため、シナリオをクリアするための作業感が強いことが否めません。
このゲームを実際に遊んで煩雑な処理を苦とせず、予めネタが判っている事が気にならず、高評価された方は、同じメンバーでD&Dなどの本格的なTRPGで遊ぶと、もっと楽しめるのではないでしょうか?
あるいは、このゲームにあえてGM役を置いて、GM+プレイヤー4人でゲームしたほうが楽しめるような気がします。
この場合、GM以外はシナリオブックをいっさい読まないようして、ダンジョン内の未踏破部分をプレイヤーに対して完全に隠匿することで、プレイヤーに探索感や踏破時の達成感を高めることが出来るかもしれません。
昔はTRPGを相当な時間遊びましたが、その当時の経験からすると、
正直このゲームは、TRPGになりきれず、ボードゲームになりきれずと、中途半端感が否めません。
最後に、もしあなたが一人で遊ぶことを前提にこのゲームを購入しようと考えているなら、
デジタル版がsteamで開発中で、
現時点(2020/01)で早期アクセス部分を遊ぶことが出来るので、一度確認してみることをお勧めします。
完成版が発売になるのはまだ1年ちかくはかかると思うけど、
媒体がボードゲームで無くても良く、1人で遊ぶつもりなら、こちらで遊ぶことも検討しても良いと思います。
パソコンのゲームなので、上記で説明した状態管理の煩わしい部分は全てコンピューターが処理してくれるため、純粋に戦術やシナリオを楽しむことに集中できると思います。
ただし、まだ英語版しかありません(汗
ゲームが正式に完成したら、たぶん有志の方々が日本語化してくれると思います。
長々と書きましたが、
ゲームの内容によっては、ボードゲームに向くものデジタルゲームに向くものがあると思います。
本来コンピュータ処理がふさわしい部分を、アナログで表現したのはすばらしいと思いますが、
そのために煩雑な作業が目につき娯楽性を損なってしまっては、本末転倒。
今時、スマホは一人一台の時代なので、無理に全アナログ作業とはせずに
適材適所でスマホと連携した設計でも良かったのでは?と思わずにはいられないのが正直な感想です。
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