- 1人~4人
- 60分~120分
- 14歳~
- 2023年~
エンサイクロペディアチャンコスズメさんのレビュー
百科事典の編纂者の一人となり、もっとも貢献した者が勝つ――というテーマのダイスプレイスメントゲーム。中~重量級です。
ウイングスパンや、アーク・ノヴァ的なものが今まで好きだったので、 「百科事典づくりへの貢献」というフレーバー、動物というテーマ、色々な面で好みで、ずっと気になっていたところ手に入れる機会が巡ってきたので即買い。
正直、ネット上でもレビューがかなり少なくあまり知られてないのかな? ってことはあまり面白くないのかな? とドキドキもしつつ、購入しました。
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↑写真だとわかりにくいけど、ボードはかなり巨大です!
結果、2人プレイを2回しかしていない段階ですが、面白かった!
美麗な動物カードを集め、学会で研究発表する作業がとっても楽しい。
というわけで、レビューします。
プレイ時間
インスト込みの2人プレイで2時間半、ルールを知っており慣れてくれば1時間半ほどでプレイできそう。
3人プレイだと、ルールを知っていても2時間はかかりそうな、しっかりとしたボリュームです。
システム
ダイスプレイスメントがメインのシステムになります。
やることは結構シンプル。
様々なポイントでリソースを回収しながら、勝利点の元となる「動物カード」を獲得。
動物カードの得点価値を高め、勝利点に変換し、最大効率で得点を重ねることで勝利を目指します。
色んな要素からVPをかき集めてくるアグリコラのようなシステムとは対極で、主なVP獲得手段は「動物の研究」と「学会での研究発表」のほぼ2か所です(それ以外の要素からも入ってきますが、オマケ的なものが多い)。
基本のプレイ
1ラウンド4アクション×6でゲーム終了です。
盤面が大きく要素が多そうに見えますが、先述したように骨格のシステムはシンプルです。
メインとなるアクションは次の3つ。
①カードの獲得
――勝利点の元となる動物カードを獲得する。
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↑大カテゴリーとして爬虫類がいるので、苦手な人は要注意かも?
5大陸・4種類の動物カードを獲得します。動物はそれぞれ、さらに生息環境にしたがってカテゴリーを持っています。
②カードの研究
――勝利点を高める。
↑アメリカ大陸に遠征し、「哺乳類」と「草食」を研究するの図
動物の研究を進められます。同じ大陸の動物の、同じカテゴリーはひとまとめで研究できます。↑の写真は、「オセアニア大陸」の動物カードの「哺乳類」「草食」のカテゴリーを研究しています。
お金やトークンなど、一番消費するアクションです。
③研究発表
――勝利点を獲得する。
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↑研究発表時にVPがもらえるほか、ゲーム終了時に研究したコマ数に応じてさらに加点
研究した動物を発表して、VPに変換!するアクションです。百科事典の編纂者なので、動物の生態を研究→学会で発表すると勝利点が入ってくる、という仕組みです。フレーバーとシステムがマッチしており、流れは掴みやすいです。
先ほどは遠征なので「同じ大陸」でまとめましたが、こちらは学会での発表なので「同じカテゴリ」(草食とか肉食とか)でまとめて発表できます。写真上にカテゴリーごとにキューブが置かれていますが、置いたときに得点がもらえる+ゲーム終了時に置いている個数でさらに得点がもらえる二重構造になっています。
・そのほかのアクション:
アクションは上記3つの他に3つ、合計6つありますが、残りのアクションは補助的役割が強いです。
④専門家の獲得
――プレイにメリットをもたらしてくれる「専門家カード」を獲得できる。補助的役割を越えてかなり重要(後述)。
⑤遠征トークンの獲得
――ダイスの色変え、及び遠征時の調査ポイント増加などできるトークン。
⑥5金+スタートプレイヤーマーカーの獲得
――ダイス目を増やせる金の獲得、およびスタピの獲得。
アクション
ダイスプレイスメントです。ダイスを共通ボードに置いてアクションを行います。
5色のダイスを袋からランダムに4つ取り出して振り、自分の個人ボードの指定の場所に配置します。
特徴的なのは、「人のダイスも使ってよい」という点。
使ってもらった人は、その分リソースなどを獲得できます。
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↑人の個人ボード上のダイスも使えちゃいます
実は、このシステムが購入前に一番気になっていました。
がっつり邪魔し合うバチバチ系は苦手なんだけれど、まったくソロプレイすぎても寂しい・・・イライラしすぎない程度にほのかに相互干渉して、「一緒にボドゲやってるよね~」をたっぷり味わいながら平和に遊びたい、というわがままなタイプなので、「ああ、これくらいの絡み具合は好みかも?」と感じたわけで。
実際遊んでみましたが、思った以上にささやかなインタラクションでした。貰えるリソースは少しずつ、 おまけ程度ですね。
むしろ、動物カードの取り合いの方が強烈なインタラクションです。
リソース
基本のリソースはコインと遠征トークンです。種類が少ないのはありがたい。
コインはダイスの目を増やし、遠征トークンはダイスの色を変えられる or 遠征時に調査ポイントを2増やせます。
特定の状況でもらえる「王家の褒章」は、ダイスの色を変えながら出目を5つ増やせる、あるいはラウンド終了時に追加アクションができるという、強力な力を持つトークンです。
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↑右から順にコイン、遠征トークン、褒章。トークン入れを組み立てて使えます
これらのリソース、および「人のダイスも使ってよい」というルールのおかげで、ダイスの色や出目による縛りはありますが、比較的自由度は高いです。
リソースは結構ちょこまか色んなポイントで入ってきます。ただし、拡大再生産要素はないので、タイミングよくアクションを行わないと、最終ラウンドでリソース切れになりうまく点数を伸ばせない、なんてことはありえそうです。
動物カード
さて、メインとなる動物カードは81枚あります。
動物カードはイラストになっており、とても精密で美しいデザインです。
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↑イラスト最強!
5大陸(アジア・ヨーロッパ・アメリカ・オセアニア・アフリカ)に色分けされており、さらに計12種類の中から4つのカテゴリーをそれぞれ持ち合わせています。
【動物のカテゴリ】
①大陸・・・・・・アジア、ヨーロッパ、アメリカ大陸、オセアニア、アフリカ
②カテゴリⅠ・・・哺乳類、爬虫類、鳥類
③カテゴリⅡ・・・肉食、草食、雑食
④カテゴリⅢ・・・陸上、樹上、海
⑤カテゴリⅣ・・・温帯、熱帯、寒帯
動物たちは、上記の①~⑤をランダムに1つずつ持ち合わせています。
ウイングスパンやアーク・ノヴァのように動物カードにそれぞれ固有の能力があるわけではなく、あくまでカテゴリーの組み合わせのみです。
動物カードのカテゴリーを調査し、研究発表するたびに勝利点を得られます。
同じ大陸や同じカテゴリーを持つ動物は、一度の遠征で研究を同時に進められたり、一度に学会で発表できたりするので、枚数を集めて一気に研究したり、発表するのがセオリーになってきます。
動物カードはラウンド中は補充されず早取り。
調査の組み合わせは無限。
アクション自体はわりとシンプルなのに、手元に来た動物を最高効率で調査し、発表するプロセスでめちゃくちゃ悩みます。
専門家カード
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↑プレイ時、永久、ゲーム終了時の3タイプの能力
アーク・ノヴァでいう後援者カードのような存在で、特定のアクションをするたびにリソースを獲得できたり、ダイス目を増やしたりと、ゲーム中のプレイにメリットをもたらしてくれます。
獲得自体は何枚でもできますが、能力を発揮できるのは最大4枚までです。
専門家カードも5大陸の色分けが成されており、同一色で動物カードと専門家カードの枚数を集めるほど、ゲーム終了時の得点計算の点数が高くなるので、枚数取るのは大事です。
最終得点計算
学会発表アクション時にも、ドンッ! と勝利点が入ってきますが、一番大量に得点が入ってくるのは最終得点計算時です。
基本的には、特定の大陸やカテゴリーを集めると点数が伸びる仕様になっており、一気に100点以上入ったりします。
プレイヤートークンは一応300点以上のものまで用意されてます。300点、出してみたいですね。
プレイ感
最も効率よくVP変換することを目指す、計画的なプレイが重要と感じました。
準備のアクションとVP獲得アクションが結構はっきり分かれています。研究アクション(動物カードのVPの価値を高める)と学会発表アクション(動物カードを放出してVPを得る)は、1枚の動物カードでも10枚の動物カードでも、カテゴリーさえ同じであれば何枚でも1アクション内で扱えるので、なるべく1回のアクション効率を高めて打ちたくなってきます。
ただし、狙っているカードを都合よく集められるわけでもないので、ただひたすらしゃがんでいればいいわけでもありません。また、学会発表アクションはVPを得た後に「王家の褒章」トークンをもらえます。王家の褒章は、超効率の良いリソースにもなるし、ラウンド終了時に1ターン追加アクションができるという強力な能力も持っているので、早いうちに学会発表アクションを行うのも悪い選択肢ではありません。
最初の3-4ラウンドを準備に費やして、後の2ラウンド位で一気にVP変換するということもあり得ます。なにしろ、準備の仕方に頭を使うゲームです。
プレイしてみて良かった点
没入感がすばらしい
私がボドゲで特に大切にしている「没入感」をたっぷり味わえます。
要素の1つ1つが「百科事典の編纂」というテーマ内に組み込まれていて、とても没入感があり面白かったです。
アクションの流れもテーマに沿っていて分かりやすい。歴史的な百科事典の編纂に協力しているぜ~名を馳せてやる~という気持ちになります。
アートワーク・コンポーネント
トークン入れや各種トークン、ボード、1つ1つのアートワークが凝っていて楽しい。
王家の褒章、あまり貰う機会がないのに大量に用意されていて、明らかにこんなにいらなゲホゲホ
あと、動物カードがイラストなのは、個人的には評価が高いポイント。
私の大好きなアーク・ノヴァの動物カードは全部写真ですが、やっぱりイラストですね!
「あ”~ボドゲやってる~」感がマシマシで世界に入り込みやすいこと間違いなし!
点数の入り方
点数の入り方も好みです。ドカドカ点入る。
遠征を繰り返して研究した苦労が報われる・・・! という醍醐味があります。
最終得点時にがばっと点数が入るので、意外とゲーム途中でも勝敗が読めません。点差が離れてやる気を失うシチュエーションは少ないのでは? 最後まで頑張ってプレイすれば大逆転があるかも? という希望を持ちながらプレイできます。
バチバチ過ぎないインタラクション
動物カード・専門家カードの取り合いは熾烈で、相手の妨害もできる。
ですが、全体として程よく協力的な雰囲気があります。たがいのアクションによって自分にリソースがもたらされたりとか。まあ、時には動物カードの取り合いで、その雰囲気を壊すほどバチバチになりますが。
アクションマスは専有ではありませんし、あとから入ってくるプレイヤーにもメリットがあるように調整されています。
気になった点
準備アクションが多く地味に感じる?
テーマ性が高いですが、一方で序盤は粛々と準備するだけの場合もあり、地味なプレイ感と思う方もいるでしょう。
準お互いのダイスを取り合うことにあまり意味を感じない
残念だったのは、互いのダイスを取り合う時に発生する絡みが、たいしてインパクトがなかったことですかね。他の方もレビュー内で書いてらっしゃいましたが、得られるボーナスの価値の傾斜があまりないんですよね。「ここを取られたら困る」「ここを取ってほしい」という戦術の楽しさがあんまりなくて、だんだんと適当にダイスを置くようになっちゃうのですね。「ダイスの取り合い 楽しそう!」と思っている方にとっては、そこに思い入れ強すぎると肩透かし食らうかもですよと、一応個人的意見をお伝えしておきます。
相手のアクションのたびに、なんか少しずつリソース入ってきますね~というシステムだと捉えておけばそんなに気にならないのですが、毎回ちょっとずつ「何をどこに置くか」に気を取られるため、無意識化でプレイにストレスがかかってる感じがします。
得点パターン
このゲーム、同じカテゴリーを集めれば集めるほど最終得点計算で点ががばっと入ってくるので、勝つための得点パターンは「カテゴリー特化」一択です。
ここが最大の懸念点。つまり、何度もやってるとだんだん作業ゲーに成り下がる可能性が。
例えば、1つのカテゴリーに研究のしるしであるトークンが12個置かれていると、40点。しかし、4個しか置かれていないとたったの3点です。
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↑得点が指数関数的に伸びていくタイプ
多様なカテゴリーを集めた場合の得点パターンも欲しかったかな~。そうすることで、特化型・多様型と戦略が分かれていろんな集め方ができそう。
あとは、隠し個人目標などあればよかったですね。
プレイ時間
結構長い!
ハマらない人は苦痛だと思います。好きな私でも、ゲームの途中で「6ラウンド要る・・・?」と感じる時もあります。いや、逆に「6ラウンドでも足りねえ!」となるくらいには個人的には好きで面白いんですけどね。でも、どちらかというと6ラウンドは長い、と感じる人の方が多いのではと。
1ラウンド目をセットアップに組み込んで全5ラウンドで遊ぶハウスルールを導入してみましたが、結構良い感じだったのでおすすめです。
箱に「プレイヤー1人につき25分」と記載されてますが大嘘です。慣れてるプレイヤーで1人あたり40分、通常で1時間くらいはかかりそうです。
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↑この表記はウソです。少なくとも私の中では。
ダウンタイム
人数が多くなるほど、ダウンタイムは気になりそう。ただし、ほかのプレイヤーのアクション中にリソースが入ってきたりするので、意外と手を動かす場面も多いですが。
コンポーネントはすばらしいがトークン入れの耐久性が終わっている
全体のアートワークとコンポーネントはすばらしいのですが、耐久性がダメダメです。
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↑は、組み立てた段階からこんな感じ。
まとめ
アートワークとフレーバーがすばらしく、私の好みどストライクの作品でした。動物のデザインがいいですね~いいですよ~。没入感をたっぷり楽しめます。
リプレイ性がやや心配。だんだん作業ばかりで退屈に思えてくる可能性も十分ありますね。なるべく長く遊んでいきたいです。テーマは好きなので、システムに飽きてきたら、ハウスルール追加して無理やりにでも楽しみ続けたいと思います!
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