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  • 1人~4人
  • 60分~75分
  • 10歳~
  • 2024年~

アンダーグローブ月向こねこさんのレビュー

10名
1名
0
約2時間前

3億年以上もの間、樹木は菌類と共生関係を築いてきた。樹木は菌類が土壌から抽出した栄養分を引き換えに、光合成した炭素の一部を提供しているのだ。そうして木立の下(UNDER GROVE)にはキノコが生い茂り、新たな菌類のネットワークが形成され、森は更に大きくなっていく。

プレイヤーは北米大陸太平洋岸北西部に生息するベイマツ(Douglas fir)となって、森の中で生息域を拡大していく。風で種を飛ばし苗木を増やし、地中に根を張って菌類から栄養素を得る。森の中で最大の勢力となるのはどの苗から増えた木だろうか。

プレイ人数は1~4人、記載プレイ時間は60~90分、インスト込み実プレイ時間は3時間程(インスト45分+プレイ2時間ほど)。

※自家翻訳のため、レビュー内の用語には独自の単語、表現を使用している点に留意して下さい
※ルール、システムに興味が無い方は『2.プレイした感想』まで飛ばしてもらって構いません 

1.ゲーム概要

ゲームは特定条件が満たされるまでプレイされる。プレイヤーが炭素トラック(後述)上の終端まで到達したタイミングで、そのラウンドと追加の1ラウンドをプレイしてゲームは終了する。

1ターンは4フェイズで構成される。
 1.アクションの実行
 2.炭素トラックの進行
 3.目標進捗確認
 4.手札キノコタイルの補充

『1.アクションの実行』では5種類のアクションのうち、1つを選択して実行する。
  活性化:キノコの能力を使用する
  吸収:苗木や成木に炭素を吸収させる
  繁殖:新たな苗木を森に配置する
  共生:苗木や成木から根を伸ばす
  光合成:炭素の獲得と使用済み活性化トークンの回復

『活性化』では森のキノコが持つ能力を使用しその恩恵を得ることができる。コストとして炭素(C)と活性化トークン(ボード上の円形のトークン)を支払う。また、活性化するキノコは苗木や成木から根が伸びている必要がある。炭素は要求分をキノコタイル上に置き、該当する種類の活性化トークンを表面(カラー面)から裏面(グレー面)にする。当然、裏面の活性化トークンはコストとして使えない。回復する方法として、キノコの能力を使うか、あるいは後述の『光合成』で回復する必要がある。『活性化』により資源の獲得や、先述した性化トークンの回復炭素の吸収、他のキノコ能力のコピーアクションの永続強化などが行える。

『吸収』では苗木や成木が根を伸ばしているキノコに存在する炭素を吸収する。コストとして任意資源1つと任意の活性化トークンを支払う。『吸収』を行う利点は、炭素量(成長量)に応じて得点が伸びることだ。最終得点計算時に、苗木や成木の周りのキノコから得点することができる。苗木の状態で炭素が1つだと根1つから、炭素が2つだと根2つから、炭素3つを吸収して苗木から成木となった場合は伸びている根全てから得点することができる。逆に言えば、苗木から根が3つ4つ伸びていようが、苗木に炭素が無ければキノコからの得点は得られないのだ。このゲームにおける主得点要素となる重要な概念だ。
任意アクションとして、根を伸ばしているキノコに炭素がない場合、他のキノコから炭素を移動させることができる。その際のコストは1スペースごとに任意資源か任意活性化トークンを1つ支払う。

さて、ここで先述の『炭素トラック』について触れておこう(上写真中央、長方形のボード)。『活性化』アクションでのキノコの『吸収』効果、あるいは『吸収』アクションの結果、手番中に1つ以上炭素を吸収した場合、(吸収した炭素の量にかかわらず)炭素トラック上のディスクが1つ先に移動する。移動すると、そこに書かれたボーナスを即時獲得することができる。2、4、6マス目ではボーナスタイルが獲得でき、裏に書かれた資源やアクションを手番中にいつでも使用できるようになる(タイルは使い切り)。このトラックの最後の石から更に先にある緑色の円が終端で、プレイヤーがここに到達するとゲーム終了トリガーが切られる

『繁殖』では新たな苗木を森に生やすことができる。コストとして炭素1つとリン(P)2つを支払う。森とはキノコタイルが並んでいる全域を指し、苗木を生やすことができる場所はそれらキノコタイルの空いている四隅のいずれかとなる。苗木トークンを配置した後、その苗木から伸びる形で根トークンを配置する。また任意アクションとして、任意資源を1つ支払うと手札のキノコタイルを森に配置することができる。

『共生』では新たな根を伸ばすことができる。コストとして炭素1つとカリウム(K)2つを支払う。任意の苗木や成木を選択し、根トークンを2個置くことができる。これは自分のものであれば、別々の苗木や成木に置いても構わない。『繁殖』同様に、任意アクションで森にキノコを配置することができる。

『光合成』では炭素の獲得と、上記アクションによって使用済みとなった活性化トークンを回復させることができる。コストは必要としない。任意アクションとして炭素の獲得時、窒素(N)を追加で支払うと、その分だけ炭素を追加で得ることができる。また、手札のキノコタイルの中で不要なものを捨て札にできる


上記アクション終了後、『吸収』を行っていた場合は炭素トラックが1進む(『2.炭素トラックの進行』)

その後、森の状況に応じて『3.目標進捗確認』を行う。炭素トラックの右側に並んだ3枚のカードが『目標カード』で、それぞれ条件に応じてゲーム終了時に追加の点が得られる。ゲーム進行中にこれらの条件を満たしていた場合、カード上のディスクを移動させ、それを記録しておく(ゲーム終了時の状況参照のみであればこのフェイズは不要だが、『ゲーム進行中に何回特定の行動を行ったか』という条件もあるため、この確認が必要となる)

最後に『4.手札キノコタイルの補充』を行う。森にキノコタイルを配置していたり、『光合成』で手札からタイルを捨てて手札が2枚以下になっている場合、手札が3枚になるまで山札から補充する

これを各プレイヤーが繰り返していき、ゲーム終了トリガーが切られたラウンドの次ラウンドでゲームが終了、最終得点計算を行う。
 ・キノコから得られる得点
 ・目標カードから得られる得点
 ・ボーナストークンに記載されている得点
 ・資源(C・N・P・K)2つで1点

以上の得点を合計し、最も得点が高かったプレイヤーが勝者となる。


2.プレイ感想

ここからはプレイした感想を述べる。

まず、このゲームをプレイするまでの経緯を述べさせていただきたい。9月下旬にKickstarterで出資したこのゲームの実物が届き、翻訳作業を開始した。その後、BGA(ボードゲームアリーナ:オンラインでボドゲが楽しめるサイト)で『UNDERGROVE』のBeta版が公開されていると知り、翻訳作業の助けになればいいと思い、友人と手探りプレイをしてみた。

そこでのプレイ印象は『ゲームとして難しく(いつも行っているボドゲ会で出しても)一部の人しか理解できないかもしれない』、端的に言えば『かなり人を選ぶ』(ボドゲ経験値に依存する)のではないかというものだった。

だがしかし、ルール翻訳作業はその時点で30%が完了しており、週末のゲーム会に向けて驀進している最中であった。ゲーム会で迎え入れられないボドゲを翻訳する意味はあるのか?

否、ならば『受け入れられるレベルまでテコ入れする』までよっ!


…という意気込みのもと、ルール翻訳(ソロ部分、デザイナーノーツ部を除く)、タイル翻訳+日本語化(効果があるもののみ。キノコ名も翻訳する予定が、和名が存在しないキノコもあり断念)、個人ボードの改造(手番の動き、アクション、得点方法を記載したボードの用意)をして、いきつけのボドゲ会に赴いたのだった。

結果としては大成功で、プレイに滞りはなく、自身も、同卓の他プレイヤーさん方も快適にプレイができたのであった。いやー、翻訳楽しいよ。みんな、やろう。ね、やろ? ね?

閑話休題。スムーズにプレイできたのにもかかわらず、箱記載60~90分のゲームがなぜ(インスト込みとはいえ)3時間もかかったのか。初回プレイであることもさることながら、『見通しの良さ』により全員が長考気味になっていた、というのがその答えである。

キノコを活性化させれば炭素が発生する。炭素は木に吸収させれば得点を伸ばせる可能性が出て、かつ炭素トラック上のボーナスも得られる。逆に言うと、気軽に炭素を発生させるのは(他プレイヤーがその炭素をかっさらう可能性があるので)悪手だし、更に言えば気軽に炭素を発生させないようにキノコの能力に頼らないようにして、だから無駄な資源が出ないように筋道を立てて動くということで、でもそれは他プレイヤーの動きによって左右される部分もあり、でも他プレイヤーの動きは個人ボード上の資源である程度予測が立ち、いやしかし伏せられたボーナスタイルの資源がもしアレだった場合は安心できないわけで、つまりおれはどうしたらいいんだオイそこに苗木置くなや!!

…といった具合に、色々見えるので長考してしまうのである。
(1時間を超えるゲームでのレビューでいつもなんやかんや理由つけて『長考しがち』って言ってるのはどうか気にしないでくださいお願いします)
見えてしまうがゆえに、見えている分の可能性は考慮する必要があるし、ある程度で切り上げて『この路線で行こう!』と手を動かしたところ、2手番後くらいに『なんであのときこうしなかった…分かってたやんこんなん…』みたいな状況になる。

少なくとも、盤面で手を動かすことで成功スパイラルが起きて『気持ちいい!』というタイプのゲームではない。1手1手で眉根を寄せながら苦しんで考え、後でその考えを振り替えては涙を流す、というタイプのゲームだ。だがもちろん面白くないわけがなく、それによってうまく成木を高得点源とできた時の喜びは、まさに『こいつはワシが育てた』と言える満足感を覚える。

ただ、『ワシが手塩にかけて育てたこの環境』は他のプレイヤーも(キノコの四隅が空いている限りは)相乗りできてしまうわけで、例えば今回のプレイでも高得点域に3プレイヤーの苗木が固まるという状況が発生した(下の写真、キノコタイルを右から数えて5列目、上から3つ目のタイルの四隅で3色の成木が立っているのがその状況)。美味しい場所を独り占めはできないのだ。先に書いた通り見通しが良く、ましてや盤面の状況は見ればすぐ分かるので、見逃さない方がおかしいというもの。相乗りが常に起きるということは、相乗りをむしろ前提として、どこで頭一つ抜きん出るかを考える必要があるということだ。例えば目標カードによる得点での差別化や、他人が吸収しようと目論んでいる炭素をこちらが先に吸収してしまうという妨害など、そういったものも長期的計画に加えておかないと、このゲームで勝つのは難しいのかもしれない。

ベイマツとキノコの共生というテーマがシステムにしっかり落とし込まれているあたりは、流石『ウイングスパン』の作者さん方だと唸らされる。ただ、『鳥』と『キノコ』だったら『鳥』の方にいくよね?というテーマの地味さは正直否めない(個人的にはこういったキノコデミックなテーマはとても好きなので特に気にならないのだけれど)。

テーマを反映しているが故の、他に類を見ないアクション類も、動きをちゃんと把握すればむしろ煩雑さを削ぎ落として、なるべくシンプルにしようと設計されているのだと分かる。その『ちゃんと把握』の敷居が(テーマのアカデミックさとそれを反映させたシステム故に)若干高いような気がするが、それは前述の通り、上手く立ち回れば回避できると思う。

総評としては『支援出資して良かった!』という具合。ゲーマーズ寄りでありながらも構成はシンプルで、しかしながらしっかりと考え込まないと勝ちにいけないというゲームは、個人的には好きな部類だ。もし興味があり、周りに所持しているボードゲーマーが居たなら、プレイさせてもらっても良いかもしれない。




ウ、ウエスタン・マツタケ、だと…!?


おもってたんと、ちがう。

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