- 2人用
- 30分~45分
- 10歳~
- 2024年~
指輪物語:デュエル 中つ国の決戦clevertrickさんのレビュー
早速遊んでみました。
何かご参考になる点があればと思い、ファーストインプレッションについてメモを残しておきます。
ちなみに「世界の七不思議:デュエル」は既に経験済みです (以降「前作」と表記します)。
パンテオン拡張については、神々を上手く扱えるようになったと実感できる程度にはやり込みました。
アゴラ拡張を加えて遊ぶこともありますが、アゴラ拡張の要素に関する習熟度はそこそこといったところです。
なぜこれを先に書いたかというと、本作は「前作の経験度合いによって印象が変わる作品」だと感じたためです。
なので、上記のようなプレイ状況の人間が書いたレビューだということをご認識の上で、読み進めていただければと思います。
ゲーム開始時のイメージ。ちなみにカードのサイズは前作より一回り大きい「80x54mm」です。
前作経験者向けに変更点を説明すると、勝利点計算がなくなり、資源購入やカード換金時のレートは固定化されました。
また、勝利条件は3つに絞られました。内訳は以下のとおりです (カッコ内は関連するコンポーネント)。
①6つの種族の支持を集める (緑カード、画像左のトークン6種類)
②中つ国を征服する (赤カード、画像中央左の地図、要塞・部隊コマ、画像左の土地タイル)
③指輪の旅を完遂する (青カード、画像中央の横長ボード)
①は前作の「科学勝利」に近く、6種族のトークン×3種=計18種の特殊効果 (画像右のサマリー) が付いています。
②は前作の「軍事勝利」「議会勝利」そして「七不思議」を掛け合わせたような内容のエリアマジョリティです。
③は新規の要素で、言うなれば「追いかけっこ」。追う側と追われる側に分かれた非対称要素となっています。
総じて前作の「ややこしい部分」は大胆に削ぎ落とされた感があり、格段にとっつきやすくなっています。軍事方面の勝利条件など、前作より複雑化した (要塞と部隊という複層のエリアマジョリティになっている) と言える部分も一部ありますが、トータルでは大幅にわかりやすく整理されたなぁと思います。前作で確立されたシステムの中から「シンプル」で「楽しい」部分だけを抽出し、そこにアレンジを加えたと言い換えてもいいのかもしれません。
現に、海外の「指輪物語方面から入ってきた前作未経験者」と思しき方々のレビューを読んでみると、「前作は遊んだことないけど、このシステムめっちゃ楽しい、大好き」といったニュアンスの感想を多く見かけます。
たまに遊ぶ程度であれば、このぐらいシンプルな方が、きっと受けが良い。
おそらくそう判断しての変更なのかなと思いますし、実際そうなのだろうとも思います。
この作品から入ってみようと考えている方には、気軽に繰り返し楽しめる作品なのでオススメですよと自信を持ってお伝えしたいです。
一方で、前作経験済みの私はどう感じたか。
ズバリ、前作 (拡張込み) が10点満点としたら、本作はファーストインプレッションでは7点前後といったところでしょうか。
ルールを確認しながらの手なりプレイの段階ですので、今後のやり込みと拡張の方向性次第では1~2点ほど上がる可能性は残していますが、肌感ではおそらく行っても8点、真のお気に入りにのみ与えられる10点満点には及ばないかなというのが現時点での印象です。
前作の核となるシステムを踏襲していますから、そりゃあつまらなくなるはずはないのですが、前作を遊び倒して、既に慣れてしまった人間は、どうも物足りなさを感じてしまうといったらいいでしょうか。
ややこしい部分を削ぎ落とした結果、同時に「味わい」や「コク」のようなものも薄れたとでも言いましょうか。
とにかくそういう印象が先に立ちました。
前にも書いたように、それは同時に「とっつきやすさ」というメリットも生んでいるので、ゲームとしての良し悪しというよりは、あくまで設計思想による違いであり、プレイヤー側の好みの問題に帰着します。
前作のアゴラ拡張で追加された要素は、私にとって「味変」として受け入れられるものでしたが、本作はたとえるなら味ではなく食感の方にテコ入れしたような感じでした。
本作の対象ユーザーのイメージについて、少々雑なまとめ方ですがこんな印象を持ちました。
■本作をオススメできそうな方
・前作を未経験の方
・前作を「拡張なしで」遊んだことがある方
・指輪物語のゲームを遊びたい方
■本作をオススメできないかもしれない方
・前作を「拡張込みで」遊んでいる方
・指輪物語のゲームを遊びたい方
おっと、どっちにも「指輪物語が好きな方」が入ってるたぁ一体どういうことだ?
と思われた方がいるかもしれませんね (笑)
なぜこう書いたかというと、本作における指輪物語要素は「フロドとサムが火口に向かって進み、それをナズグルが追いかける」という追いかけっこ部分のフレーバーと、「カードのイラストが指輪物語のキャラや場面」という点がメインで、ぶっちゃけ指輪物語じゃなくても普通に成立するものでもあるからです。
そもそも前作でもそうでしたが、場でも手元でもカードは重ねて配置しますし、カードを手札として持たないので、イラストをマジマジと見る機会が少ないゲームなんですよね。
色を見て、効果を見て、コストを見て、手元に並べるか捨てるか判断するだけで、カードの絵自体はあまり気にしていない。加えて本作では、カード自体に名前も付いていませんので (おそらく多言語対応の効率化のため)、尚更その傾向が強いかもしれません。
カードの効果が指輪物語の設定と連動している要素も特にないと思うので (たぶん)、指輪物語を体験することが主目的である場合は、肩透かしをくらう可能性はあります。少なくとも私は、フロド&サムとナズグルの追いかけっこ要素以外からは指輪物語を感じることはほとんどないまま遊んじゃいましたね。
もちろん、イラストや設定から指輪物語のフレーバーをきちんと感じ取れる方もいるかとは思います。
そういう方にとっては立派な「指輪物語のゲーム」になり得るはずなので、どっちに転ぶかわからないという意味で両方に書いておきました。
フロドとサム (画像中央) が描かれたプラスチックボードごと右にスライドすることで、2人が火口に向かって進んでいくという仕組みになっています。 追いかけるナズグル (画像左) はプラスチックボードの上を移動してくるため、両者の差が縮まることはあっても開くことはありません。 ゲームが進むにつれて緊迫感もどんどん高まっていく、ゲームを盛り上げるとても上手い仕掛けになっていると思います。 2人の位置を示す金色の輪っかが指輪に見立てられているというのも、何気ないですが気の利いた演出ですね。
とりあえずこんなところで一旦筆を置こうかと思います。もし的はずれな指摘を含んでいましたらご容赦ください。
決して本作を否定したいわけでも、気に入っていないわけでもありませんし、今後もしばらくの間は前作の代わりに本作を遊んで評価していく予定です。
何回か遊んでいるうちに評価が変わることなんてザラにありますので、何か書きたくなるような変化があった場合は追記しようと思います。
現場からは以上です。
(2024/10/30 追記)
評価を7点から8点にアップします。
前作のほうが深みがあるという評価は変わりませんが、本作の軽さによる良さが今のところ遊ぶたびに増してます。
変則ロチェスタードラフトを核としたメインシステムの楽しさを、前作より短時間でサクッと味わえるのが良いですね。
プレイしている最中に、勝利点要素も欲しいなとか、パンテオン的な要素ほしいなとか思わなくもないのですが、
本作の3つの勝利条件が絡み合った攻防もそれはそれで楽しいものであり、下手に要素を足すとこの軽さの良さが
消えてしまう気もするので、これはこれで一つの作品として完成形なのかなと。
あと1点、前作との大きな違いについて追記しておきます (文言は説明書より抜粋)。
前作:各世代の山札から3枚のカードを、表面を見ずに箱に戻します。
本作:残りの3枚のカードを裏向きで捨て札置き場に置きます。
前作では、各世代のセットアップ時に除外された3枚は、「マウソロス霊廟」等の捨て札から拾うアクションの対象から外れていましたが、上記のとおり本作では対象となるため、捨て札拾いアクションの重要性が上がりました。
おそらくですが、前作の科学勝利に相当する「種族支持勝利」 が、勝利条件の3すくみの中にガッチリ組み込まれていて影響度が上がっているので、除外によって「種族支持勝利」 が成立し得ない状況が発生するのを回避するために、このような措置がとられたのではないかと推察します。
(おまけ) スリーブ情報
カードのサイズがちょっと特殊な本作ですが、セリアで売っているこのスリーブがサイズドンピシャだそうです。
本作のカードは全部で69枚、このスリーブは70枚なので、サイズ・枚数ともに奇跡のシンデレラフィット!
確認したところ、どうやら商品名の違うバージョンもある模様。
サイズや厚さは同じようなので、発売時期によるもの? (違ったらすみません)
ちなみに私が見に行った店舗では、残念ながら売り切れでした。
きっと本作が売れに売れまくった影響に違いありません。
→その後入手して付けてみましたが、見事にピッタリでした。
(本レビュー内画像に写っているスリーブは、暫定で付けていたものなので本品とは別物です。念のため)
スリーブを付けた状態での収納も問題ありませんでした。
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