「戦略と地図作成のゲーム俳句」(箱裏キャッチコピー)
「チャーティー」ではプレイヤーたちは中世の地図製作者となって、陸担当と海担当に分かれ、互いに最新の探検による地図の完成を競います。最終的に陸と海、どちらのエリアが多くつながっているかを争い、完成時により多くつながっていた方が勝利します。
…と言ってもコンポーネントはわずか9枚のタイル。できることは山の一番上のタイルを配置するか、場に出ているタイルを時計回りに90度回転させるか。9枚のタイルが3×3に配置し終わったら即座にゲーム終了。最短8手、ちょっと捻っても15手ぐらいで1ゲームが終わります。1ゲーム10~15分といったところでしょうか。
本当にこんなのでちゃんとした戦略ゲームになるのでしょうか?
…なるのです。
クニツィア先生のしかけ
スタートタイルは左右2分割のタイルと決まっていて、水平2分割×2、斜め2分割×2、陸多め、海多め、陸に水路、海に陸橋の8枚が山札からランダムに出てきます。手番アクションが「配置」か「回転」とあれば「相手のタイルを回転させて接続を切って邪魔をしてやれ!」とすぐ思いつくのですが、次の相手手番では相手がいま出てるタイルを自由に自分の好きな位置に置くので序盤はあきらかにタイル配置の方が有利です。山の一番上のタイルを手に取った瞬間に下のタイルがあきらかにされるので、次に相手がそれを置くというのもふまえて自分は有利に敵には不利にタイルを配置していきます。
4枚目から6枚目あたりが中盤になります。このあたりで3×3のマップの制限ができるので相手の伸ばすつもりの方向を潰し、相手のエリアを四隅に追いやる配置と、接続や切断のための回転アクションが選択に入り始めます。「あとはあれとあれとあのタイルかー」と出てない残りタイルが気になってきます。
7、8、9枚目は終盤です。もうマップのおおよその形もわかり、残りタイルも3枚程度と、どこにどれをハメるのか、どこにどれが来たらマズいのかがうっすらわかり、相手と自分の現在の接続エリア数が概算できるようになります。このあたりになると「回転か配置か」という1手単位の競争になります。(中盤で大不利食らってると「あ、もうだめだ…」ともなるのですが(笑))
最終の9ピース目は担当エリアの接続数で負けていると置いた瞬間負けなので「起死回生の回転はないか!」とマップを凝視して逆転の一手を探すことになります。最大接続エリアが同数の場合、ルール上、最後に配置したプレイヤーが負けなので、泥仕合の結果「ぐわ!3エリア同士にしかならない!」で最後のタイルを置かされて負けとかステイルメイトされた気分になれます。
まったく違うものなのですが非常に「囲碁」に近いテイストがあります。双方の手なりでタイルが広がる序盤、先をみて形を作ってゆく中盤、シビアな詰め合いと「うん、なんともならん」という達観で締まる終盤のこの感じ。10分10数手程度のマイクロゲームで面白いこと作ったなあと思います。”A gaming haiku”(ゲームによる俳句)という表現にふさわしいゲームです。
テーマについて
Chartaeはラテン語で「紙の束」の意味で複数形、英語のCards(カード)でもありCharts(チャート/海図)でもあるので、『地図カルタ遊び』みたいなシャレでつけられたタイトルでしょう。
正直な話、システム的には担当してるエリアの接続を競うだけなのでノンテーマで完全なアブストラクトゲームとして出てもプレイ上の問題はないのですが、あえて「地図製作テーマ」にしたことで、「いやいや、この土地はこっちの方向が正しいのでは?」と自分たちでもよくわからない謎の地図製作者ロールプレイが捗るのはわりと楽しいです。
ティップス
・回転は時計回り90度なので、接続が切れるのに2手かかるような接続をするとやや堅固です。
・陸多め、海多めが中央に来ると周り中に接続して多めの側が有利になるので、それは阻止したいです。
・陸橋、海峡は周辺への接続数は最多なのですが分断されるので置き方が難しいです。
・斜め分割は対辺への接続がなく接続が分断されやすいので隅に配置できるといいのですが…
- 投稿者:
きままん
- 26興味あり
- 100経験あり
- 10お気に入り
- 66持ってる
ゲームの基本目的 |
---|
頻出するメカニクス | |
---|---|
得点や資源等の獲得ルール | |
その他のメカニクスや仕組み |
運・確率 | 0 | |
---|---|---|
戦略・判断力 | 7 | |
交渉・立ち回り | 0 | |
心理戦・ブラフ | 0 | |
攻防・戦闘 | 2 | |
アート・外見 | 6 |
レビュー 1件
リプレイ 0件
戦略やコツ 0件
ルール/インスト 3件
掲示板 0件
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