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  • 2人~4人
  • 60分~90分
  • 8歳~
  • 1992年~

ホーマスツアーMC流れ弾さんのレビュー

350名
2名
0
約6年前

ドイツ年間ゲーム大賞(1992)を受賞している"Um Reifenbreite"。サイクルレースという名前で知っていたが、ホーマスツアーというバージョンもあるようだ。原題はタイヤ幅のことを指す模様。

まず一言。面白さは保証するのでとにかくやってみてほしい。国内ではほとんど出回っていないが、ドイツAmazonを検索する労力をかけるだけの価値はあるゲームである。赤ポーンを信じよう。


さて、このゲームでは1チーム4人の選手を操り、ツールドフランスなどの有名なロードレースを模したコースですごろくをする。ダイスをふたつ振って、出目に応じて山あり谷ありのコースを進んでいくわけだ(7を出すと特殊カードを引いて、パンクしたり加速したりといった出来事が起きる)。基本的にはそれだけだが、前の選手を「風よけ」にして力を使わずついていくロードレースの基本戦術が再現されており、前の選手が動くとそのままついていくことができる(代わりに自分のターンでは動けなくなる)。仕掛けはそれだけといえばそれだけなのだが、これが面白い。

たいていの場合、最後までついていくことはできない。というのも、「まったく同じ動きで」ついていかなければいけないルールになっているからだ。これによってコーナーの入口や出口などで、後続をシャットアウトするような進み方ができる箇所が発生する。後続としてはこれをやられるととても悔しいのだ。同じことはエリアの境界線でも言えて、境界をまたぐ場所から動く場合、後続はついていくことができない。

戦略としてはもうひとつ、スパートカードの存在がある。これは出目を5か6で確定させるもので、出目が強制的に減る山などで活躍する。山ではコースに「3」などと書かれているのだが、これは出目を3減らすことを意味し、したがって3以下を出した場合は進めなくなってしまうからだ。ちなみにスパートをかけた際には後続を振り切って、ついてこれなくすることが出来るので、使いどころが重要となる。

スパートカードを使わずに同じ効果を発生させることも出来る。選手たちを支えるチームカーにつかまって、車の力で加速するのだ。もちろん反則である。ただ、テレビカメラがそれを映すかどうかはわからない。要は賭けで、ゲーム終了時にそれがバレたかどうか、カードを引いて判定する。バレなければいいのだ。実際にロードレースでは「魔法のじゅうたん」と呼ばれるこの手の行為が頻発している。

チーム全体の順位で点数計算をするので、途中にある最下位の足切りで選手が減っているとたとえ1位を取っても総合的に負けることになる。あるいは、反則がバレまくってももちろん負ける。そのあたりのバランス感覚がなかなか難しく、単なる出目の勝負にはなっていないと言える。


落車の処理など少し複雑なところもあるが、たとえ少々間違えていても上記の風よけルールが分かれば面白さは十分に味わえるはずだ。自転車ロードレースを模したゲームは他にもあり、もっと再現性の高いものもあるが、個人的にはこのくらいがちょうどいいように思う。酒を飲みながら楽しくできてロードレースファンもうならせる。ロードレースを知らない人にも魅力が伝わるかもしれない。そんな幸せを約束してくれる最高のボードゲームだ。

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