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  • 1人~4人
  • 45分前後
  • 14歳~
  • 2023年~
583名
5名
0
4ヶ月前

 本家ボードゲーム版のテラフォから数勘定の要素が抜け、盤面点の計算が即時化され、ダイスの出目で資源を管理するようになったダイスゲーム版。
 なまじ見た目が本家に近いがために本家の簡易版のつもりで遊ぶと色々と消化不良になるポイントがあるが、きちんと別物のゲームと認識して遊ぶとこれはこれでなかなか良いので、本家の感覚で手を付けてコレジャナイ感を抱えて帰るボードゲーマーを少しでも救えれば、という趣旨でのレビューとなります。


本文長いので忙しい方はこれだけでも覚えて帰って下さい的なコツや本家との違い 兼 見出し
・拡大再生産ゲームじゃない
・緑のカードは産出増以外の効果がない
・資源をカウントするための手段としてダイスの形を採用しているだけだと思おう
・手札を手なりで出していると色々と伸びない。不要札は産出でガンガン捨てよう
・企業間の差は僅か。○○特化、なプレイはできない…
・産出ターンは手番損にあらず。手札の回転に・戦略的に・意欲的に活用する
・インタラクションは消えたように見えて褒賞や称号はガチガチ、配置ボーナスの取り合いにも残ってる
・緑のダイスはちゃんと焼かれるので覚悟か(余裕があれば)ケアしておく
・ワイルドトークンは最強
・ダイスをじゃらじゃら…というよりは資源のマネジメントを楽しむのがメイン


本作は拡大再生産ゲームではありません
 本家は拡大再生産の要素も強いが、今作はプレイヤーそれぞれが任意のタイミングで産出を行える上、産出に入る時に手元のダイスは3個を除いて全て捨てられるため、産出量を多くし過ぎてもカードプレイの柔軟性を損なうだけであまり良いことが無い。ダイスを振って出た目が資源となる、という不確定性もこの症状の要因となっており、産出と産出の間が長くなって手札の循環性が落ちるのもネック 。
個人的には(出来れば)称号に絡む色をやや厚めに、全部で7~8個くらいで丁度良いと感じている。


プロジェクトカードの色別役割の明確化
 プロジェクトカードはおなじみの緑・青・赤の3色だが明確に役割が分けられている。
すなわち、
 緑は産出量の上昇
 青は常在効果か起動型アクション
 赤は1回使い切りのイベント
特に緑にもグローバルパラメータに触る効果があった本家と違って産出量を増やす効果しか無いのが注意点。
産出量は多ければいいってもんじゃないというゲームデザインも考慮すると、中~終盤の緑カードは基本的に不要札。産出充分と思ったら手札に来た緑のカードはバッサリ切り捨てるのがおすすめ。


資源をカウントするための手段としてダイスの形を採用しているだけだと思おう
 本作はダイスゲームと謳っているもののダイスを振る機会は少なく、資源をダイスの形で獲得するときに各ダイスを1回振るのみである。しかもダイスゲームにありがちな「振り直し」的要素も無い。かと思えばダイスを1個捨てれば別のダイス1個の出目を任意の目に変更できるアクションが標準的に備わっている。
この仕様から察するに、振って欲しい目が出たらそれは「ああ、まぁ良かったねー」程度のラッキーであって勝敗を左右するメインの要素ではなく、基本的に強引に出目を弄ってカードのコストに寄せていくか、ワイルドトークンで適宜補っていくことを想定していると思われる。
 実際振っても振っても欲しい目が出なくても普通に勝てるし、ガンガン欲しい目出してる人が勝ってるかというと戦略が伴っていなければ大した脅威にならなかったりして勝ち負けに占めるダイス運の要素は意外と少ない。この、プレイヤーがダイスゲームという単語に一般的に抱くイメージと本作とのズレが「遊びたいゲームじゃなかった…」とミスマッチを起こしている原因の1つのようで、これを、ダイスはあくまで資源を管理するための手段として採用されただけなんだ、と認識することが本作をより楽しめるようになるポイントなんじゃないかと思っている。


手札を手なりで出していると色々と伸びない
 開始時に手札が5枚配られる。「さて、どうやって出そうかな」…これ、やっちゃいけないんです。
ついつい来た手札は全部あるいは殆どを出そうとしてしまいがち。けれどゲームの流れを整理すると、要るもの・要らないものがその時々で明確にあり、また、コストが自分が用意しやすい色のダイスから出る資源かどうかもまあまあ大事(補助アクションで何色でも取れるので重要度はそこまで高くないが)。まずはしっかり取捨選択して、より自分に都合のいいものや点数に直結するものを1~2枚。ゲーム中~終盤までキープしていくのは1枚程度に抑えて、あとは産出時に手札が5枚まで回復することを活用し、不要札はどんどん捨てて新しいカードに入れ替えて、また効率の良いカードだけを選んで…という流れを作りたいところ。
例えば序盤は緑のカードは最優先ながら終盤は完全に不要。青カードはそのゲームの方針に合っていない効果までわざわざ出すことはないし、赤いカードには特定の資源が得られるカードも多いけど、それが当面不要な資源であれば産出の邪魔にしかならないし、グローバルパラメータに触るカードもそれが上がり切っている状況なら効果半減…など判断基準は色々。「さて、何を出そうかな」の精神で。


企業間の差は僅か。○○特化、なプレイはできない…
 テラフォと言えばユニークな能力を持った多彩な企業と、それに合わせた特化プレイ…を好むプレイヤーも多いと思われる。が、本作の企業間の差異を大雑把にいうと「初期産出のダイスの個数と色が多少違う」くらいで、殆ど差別化されていないと言っても過言ではない。ちょっとしたコスト軽減能力や固有の常在効果を持っている企業もあるが、それぞれ試遊してみた印象としてはゲームに与える影響はささやかなものだった。
 そのため企業を選ぶ基準は初期手札の緑のカードで増えるダイスの色との相性(基本的には色がバラけるかどうか)を見るくらい。なんとも味気ないのだが、本作は前項でも触れた通り、手札を循環させながら状況に合ったカードを臨機応変に、あるいは自転車操業的にプレイしていくスタイルが肯定されている。「植物特化プレイをしたいからエコラインにしよう」と言った所で、標準プロジェクトで森林タイルを置こうとしたら必要な植物資源4個に対して初期産出の緑ダイスが2個、そしてそれが植物資源になるかは半々…たとえその後緑ダイスの産出が首尾良く増えたとしても、分も効率も悪そうなことが感じられると思う。じゃあ森林タイルが絡む赤のカードをプレイしまくるぞ、となると植物資源以外にもさまざまな色の資源が要求されるので、結局産出色のバランスを取ることになり、結果として増える色の順番が前後するだけで他の企業で始めた他のプレイヤーと大差無い状況になってしまう。
そんなわけで企業能力に合わせた特化プレイこそテラフォの醍醐味!というプレイヤーには残念ながら本作はかなり相性が厳しい。覚悟して1度お試し頂くことで新しい視点が開けるかもしれないが、ばっさりダイス版は「ノットフォーミー」として、変わらず本家やカードゲーム版のアレスでテラフォを楽しんで頂くでも全然良いと思う。


産出ターンは手番損にあらず
 全プレイヤーが同時に産出を行う本家では世代が終了して産出フェイズに移るまでにどれだけ動けるかが勝負、みたいなところがあるが、それぞれが任意に産出を行う本作ではむしろ積極的に産出ターンを迎えられるように動く、ということが重要に思える。
というのも、産出ターンに行われる内容が基本的に強いのだ。
まず、不要札は捨てて良い。その後5枚まで回復。補助アクションなら資源を1個捨ててやっと2枚引けるのにノーコストで最大5枚。弱いわけがない。
そして資源産出。さすがに2~3個では物足りないが、5個以上出るならもう有能。
最後に起動型の青カードが再度使用可能になる。特にこれが強い。なぜなら、本家では全員で行う「産出と産出の間に1回だけ」という制約として機能していたが、自由に産出を迎えられる本作では「産出ターンさえ挟めばいくらでも使える」抜け穴というか利点というか、とにかくメリット寄りの挙動になってしまうのだ。青カードの出方次第では「産出ターン」と「アクションターンに青カード起動して勝利点獲得」を繰り返すだけで勝ててしまう展開もあるほど。
 そんなつよつよ産出ターンだが、デメリットもある。産出ターンの初めに4個以上資源があるなら3個になるまで捨てなければいけない。この辺が前述の産出量が多すぎても動きにくいという記述に繋がる。うまく手札と資源を調整して、アクションターン(1~3回)→産出ターン→アクションターン…というサイクルにしたい。
 また、本作は終了トリガーを踏むと自分を含めた全員がもう1手番行うルールである。トリガーになるアクション用とその次のラストターン用の2手番分の資源を都合するための、戦略的産出ターンというのもゲーム終了間際には一考である。


Q.インタラクションは消えた?
 A.ちゃんと居る。
森林・都市の各タイルに所有者が残らなくなったが、海洋も含めその下の配置ボーナスはまあまあ取り合いが熱いし、森林にしろ都市にしろ特殊タイルにしろ配置状況次第でオマケが付いてくる赤いカードも多い。それに何より先取り4点の褒賞やゲーム終了時のプレイ済みコスト合計で競う称号の5点/3点はおろそかにすると勝敗がひっくり返ることもままあるため、他プレイヤーのプレイ済みカードの状況をしっかり見ながら捨てる・取るを選ぶ必要があり、競合相手とはかなりバチバチになることも。この辺は本家に通ずるものがあり、ヒリヒリと押し引きが楽しい部分であり、相変わらずしんどい部分でもある。
また、緑のダイスはちゃんと焼かれるので覚悟か(余裕があれば)ケアしておくことも併せて触れておきたい。なんなら本家では植物を対象にしていた隕石でも、動物を対象にしていたプレデターでも、出目に構わず「緑のダイス」を焼いていくのだ。しかも「誰か1人」ではなく「自分以外全員」である。これによって計算が狂ったゲームもちらほら…トリガー踏んだ後にラストターン用の動物資源が焼かれたのはいまだにトラウマ。


ワイルドトークンは最強
 さて、本作では任意の資源1個の代わりに出来るワイルドトークンというものが存在する。基本的に(選択した企業により多い少ないはあるが)ゲーム開始時に数枚獲得でき、ゲーム中では極まれに緑のカードで産出できたり、青のカードの起動で得られたりするようになる。また、赤のカードの効果で得られる機会がそれなりにある他、タイル配置ボーナスとして火星盤面の数か所に存在する。
通常任意の資源1つを出そうと思ったら、その色のダイスを補助アクションで取り、出目が良ければ1アクションだが、望む出目が無ければさらに1つダイスを取って、その資源も望む出目でなければそれを捨てて最初に取ったダイスの出目を望む出目に変更する、と1~3アクションが必要になる。これがワイルドトークン1枚あれば短縮出来るため、その強さは推して知るべし。産出直後などは特にそうだが、柔軟にその時足りてない所に充てられるのも強い。 インヴェントリクスなんていう企業の基本産出力としてワイルドトークンを出せるやつとかはもう反則。これが上手く回収できなくて周りから遅れていく…という展開もありがちなので、獲得できる時は逃さず獲りたい。


本質は資源マネジメント
 結局テラフォ:ダイスは何をするゲームかと問われたら、個人的にはこう。
産出して手札と資源を用意し、要る資源・要る手札を吟味し、資源を消費して手札から有効札を出し、資源や手札をうまく減らしたのち産出。
これを骨子に、その間を補助アクションでのダイスの色や出目調整で埋めて、時に青カードのコンボで、時に赤カードの連打で、時に標準アクションも交えて、褒賞や称号の条件でバチバチしつつ、といった要素でゲーム毎に異なる肉付けで楽しむ。本作はそんなゲームだと考えています。

ここまで読んで頂いたプレイヤー諸兄諸姉に楽しいゲーム体験がありますように。

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