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  • 1人~4人
  • 60分~120分
  • 10歳~
  • 2023年~

eミッション白州さんのレビュー

1377名
8名
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6ヶ月前
レーティングが非公開に設定されたユーザー

8/10

2024年ドイツ年間エキスパートゲーム大賞最終ノミネート作品。

2024/7/22追記:2024年ドイツ年間エキスパートゲーム大賞受賞!リーコック、初大賞おめでとう!

パンデミック作者による地球温暖化をテーマにした協力ゲーム。BGAでプレイ。

拡大再生産のカードコンボがメインの協力ゲームで、各プレイヤーはアメリカやヨーロッパ、中国などを担当。

手番では、各プレイヤーにカードが5枚補充されて公開。

これらのカードを同時に各プレイヤーがプレイしていく。公開されているので相談も可能。

各プレイヤーの前には手札とは別に最初から5枚のカードが公開されており、カードのアクションも実行できる。

このカードの上に手札を出して重ねることで、新たなアクションができるようになる。

ただし、下になってしまったカードのアクションはできなくなる。だが、右上にあるアイコンは世界の七不思議のように積み重ねられていくので、後に有効的に使うことができる。

このアイコンが結構重要で、多くのカードに「◯のアイコンだけアクションできる」とか「◯が4個ないと発動しない」とか様々な条件が設定されているため、適当に置くわけにはいかない(当然、一度置いたら移動できない)。

ゲームの最初、パンデミックをはじめとする協力ゲームを代表する問題である「奉行問題(1人のプレイヤーが他のプレイヤーに指示しすぎてしまう)」があるんじゃないかと思っていて、実際、コンボ慣れしていない人にアドバイスしただけで、これって奉行問題になりかねないんじゃないかと感じていたのだが、杞憂だった。

このゲーム、すさまじい種類のカードがあり、それだけでなく、右上にあるアイコンの種類や数の多様さ、アクションの効果、それを使うための条件、各自に5枚ずつ公開されている初期アクションカード、他にも危機イベントカードやお助けカードなど、かなりの情報量があるので、1人が奉行になってまとめあげるよりも、みんなに話しかけた方が結果的にスムーズになるように設計されている。

「◯のアイコンを持っている人いない?」「カードをあげるアクション残ってるけど、誰か◯のアイコンほしい人とかいる?」「この危機カード、解決したほうがいいと思うけど、どうかな?」などなど、ちゃんと協力して話し合って遊べるところが良い。

そして、全員が手番を終了(手札を全て使わなくても良い)したら、ここから、パンデミックを思い出させる地獄のお時間(笑)

まず、炭素量のチェック。ゲームの最初、各自は排出量と自国を保つためのエネルギー量から算出されるのだが、これがすさまじい勢いで炭素が増えていくw

15個貯まるとレベル1が上がり、どんどん地球がやばくなって、8段階レベルがあがると負け。ここらへんはパンデミックっぽいね。

今回、3人プレイだったが、初期状態から30個近く、炭素を排出するので、一気に増える感じがヤバすぎるし、地球温暖化がヤバい感も演出されていて、なかなか緊迫した。

ちなみにこの増える炭素を0以下にして、そのラウンドを生き残らなければ、勝利できない!キッツイ!

さらに各国は、自国を保つための必要なエネルギー量が設定されていて、アメリカとヨーロッパ以外は発展が目覚ましいためか、この必要なエネルギー量の増加率が毎ラウンドヤバくて、地球のことを考えている余裕がないw

ちなみにエネルギー量が足らないと社会的危機トークンというものが増やされて、これが15個たまっても負け。

さらにこの危機トークンが4個貯まると手札1枚、10個貯まると手札2枚が毎ラウンド削られていくため、拡大再生産的にマイナスが増えていくので、非常にまずい(笑)

これだけでもキツイのに、次に危機カードという悪いイベントも襲いかかってくる!

これがやばくて、初期状態から3枚あって、危機カードは特定のアイコンのカードをプレイすれば解決できるのだが、なんと1枚しか表になっておらず、他の2枚は何が起こるかわからないし、解決することもできない!(カードには裏側の危機カードを公開できるものもあるが条件がキツイ)

これがパンデミックよりも不確定要素を高めており、奉行がどんなにがんばっても計算しきれないようになっている(笑)

そして、トドメの危機ダイス!危機カードが並べられている数だけ振って、出た目によって、悪いイベント発動!

目が出れば発動じゃなくて、目が出た回数によって、起こるイベントが調整されているのは、さすがリーコック!普通のデザイナーだったら、ただの運ゲーにするところを絶妙なゲームバランスに仕上げている!

ただ、パンデミックのデザイナーなので、調整されているとはいえ、油断すると一気にゲームオーバーになるので、緊張感はなかなかのものだ。

これを6ラウンド繰り返して、それまでにクリアすると勝ち。逆に6ラウンド過ぎても負け!キッツイ!

といった感じのゲームだが、なかなかのやりごたえがあるゲームで、正直、初回プレイの感想では、パンデミックより難しいと感じた(笑)

特に「その他」という国を担当すると毎ラウンド、電気量が3ずつ増えてくる(他の国は1か2なのにw)し、排出量もヤバいから、初回でクリアするのはめっちゃキツイと思う。

逆にこの「その他」がなくなるだけでだいぶクリアしやすくなるから、最初は「その他」なしで、全体をなんとなく把握してから、本番ともいえる「その他」に挑戦するのが良いと思った。

最初、「その他」が通常ルールで入ってるけど、後半のクリアできないときの絶望感&無力感半端ない(笑)

パンデミックは、もう何をしても終わりだ・・・感をそんなに感じたことなかったけど、このゲームは、各自が適当なプレイしてると、後半の絶望が半端なくて、「これどうしようもなくね?」感がすごいので、「その他」は慣れてからいれたほうがいいと思う。

さて、地球温暖化をテーマにしたゲームは地味にいろいろあって、どれも「心の綺麗な人がこういうプレイをすればクリアできますよ」みたいなプレイ押し付けがましいゲームか「いやいやどんなことをしても、この環境問題って、めっちゃ大変なんですよ(笑)」を再現するためだけのキツいバランス調整・・・というか、シリアスゲームとして、無理ゲーシミュレーションしているゲームのどちらかしかないと思っていたが、このゲームをやって、改めて、パンデミックのデザイナーのマット・リーコックは天才なのだと思った。

押し付けがましい感は一切ないし、好き勝手プレイすれば当然クリアできないバランスだし、だからといって、絶対クリア無理のバランスになっていない(ボードゲームとして、当然ではあるが、これができていない環境ゲームは多い)し、それだけに飽き足らず、ノミネートされるほどの斬新感と安定感を生み出しているのは、すごすぎ。

マット・リーコックって、カタンの作者のトイバーみたいにずっと同じゲームつくって、新しいゲームを生み出さない流れになってしまったかと思っていたが、15年の時を経て、このゲームを生み出したのは、ホントに素晴らしい。

これまで、協力ゲームトレンドで「有名システム+協力ゲーム」で、とりあえず安定のゲームが生み出されているよねみたいなレビューをいくつかしてきて、このゲームも「拡大再生産+協力ゲーム」なんだけど、協力ゲームのパイオニアがつくっただけあって、「まぁ、よくできてるねー」じゃなくて、純粋に新しいジャンルの構築といっても過言ではないぐらい、斬新で見事な作品に仕上がっていると思う。

個人的には、パンデミックに初めて出会った感動を久々に感じた気がする点と環境をテーマにしたボードゲームの「どうせ、お勉強ゲームでしょ?」感をなくすことに成功した初の環境ゲームだと思ったので、もともとの出来が素晴らしいゲーム性の評価7に加えて、さらに+1としておく。

多分、日本語版は出るだろうが、BGAにもあるので、興味ある人は、ぜひやってもらいたい作品。

2024/11/7追記:日本語版も発売!めでたい!QRコード先もあるので、日本語化大変そうだけど・・・。

ちなみにBGAでやると炭素量の増加が、デジタルの魅力を活かしたちょっとしたユニークな表現があって「ヤバい」感を演出してくれて面白い(笑)最初、ビビったけどw

余談だが、一部の大賞予想屋がノミネート発表前にこのゲームの大賞を予想していたのだが、たしかに納得だし、個人的にはこれが大賞とっても全然驚かないし、リーコックの初大賞を期待してしまうレベル。

というか、乗車券レガシーもリーコックだったね。今年はリーコックの年といっても差し支えないだろう。

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「パンデミック」のクリエイターによる、気候変動の阻止に関する協力型ボードゲーム!
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白州
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