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アークライトArkwright

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産業革命のイギリスで、人を雇用しては機械化とリストラを行って利益確保する経営ゲーム

3人戦、基本(ジェニー紡績機版)ゲームでプレイ


写真1:ゲーム終了時の状態。八角形のトークンは機械。大量解雇待ったなし


【どんなゲーム?】

イギリス産業革命時の投資家兼経営者となって、自社の時価総額(所持株式x株価)の最大化を目指す。

4種の工場の中から2種の工場と、15株、£20をもって経営開始。

手番ではアクションと、そのアクションにいくら使うか(£2~£10の2刻み、5枠)を選択する。アクション実行にはアクションタイルが必要であり、4アクション実行するまでそのタイルは帰ってこないので同じアクションを何度も実行できない。また、いくら使うかの枠も別のアクションで埋まっていた場合、なぜかコストを上乗せして支払う必要がある。

プレイヤー全員が1アクション実行するたびに1種類の工場の決算が行われる。

工場はそれぞれ「食品」「衣服」「食器」「ランプ」の4種があるが、1ターン目は食品工場の決算、2ターン目は衣服工場の決算、、、と順に行われる。ランプ工場の決算が行われたらラウンド終了となり、次のラウンドの開始(食品工場の決算)と続く。

基本ゲームだと3ラウンド12ターンしか行わないため、それぞれの工場で3回決算が行われるが食品工場は1,5,9ターン目と早い段階で決算が行われるのに対して、ランプ工場は4,8,12ターンと遅くに決算が行われるのでいろいろな投資を行う余裕があるといった違いがある。


さて決算のやり方だが、ナショナルエコノミーよろしくこのゲームもマクロ経済のモデルを利用しており、雇用が進んでいればいるほどものが売れる という風になっている。

メインボード右側(写真だと真ん中の大きいボードの奥側)に求職者の列があるが、雇用するたびにそこに枠が空いて、生産した商品を決算のタイミングでそこに置いていく。置けた個数分「物が売れた」として、売れた個数x商品単価(自分で決定する)だけ収入を得て、その工場に置いている労働者に人件費を払う。

この人件費が馬鹿にならなくて、あっという間に売り上げを吸い尽くし、ともすれば簡単に赤字になる。何せ工場のラインをフルに稼働しても労働者数分商品を生産しないのだ。普段ブラック企業に色々と言う人も、このゲームのプレイヤーになったらブラック企業経営者のごとく「怠けるな!働け!」と言い出すようになるだろう。

また需要の数が決まっているため「誰から売るのか?」が重要になるが、これは「基本品質+品質改善+販促効果ー商品価格」で計算される「アピール値」で決定される。アピール値が他のプレイヤーより多ければそれだけ相手より先に多く売ることができる。そしてアピール値が高い状況で沢山モノを売れればそれだけ他社よりも株価が上がる。

なので基本ゲームだと 宣伝バンバン打って廉価で大量販売する という、どこかのフードチェーンをマグネイトするゲームを彷彿とする販売方針が基本となる。


ゲームの最終目的は時価総額の最大化のため、自社株買いをして増資(といっても実際には銀行に払う)をし、モノをたくさん売って株価を上げる必要がある。

たくさん売って収益を上げたいがそうすると株価も高くなるので自社株買いがやり辛くなる。大量生産した上で多額の利益を得たい。そのためにボトルネックとなっているところはどこか? 労働者だ。そしてこのゲームは産業革命がテーマだ。

そう、経営を改善するために労働者を導入コストもメンテナンス費も安い機械に置き換えるのだ。置き換えて不要になった労働者は解雇をする。配置転換?不当解雇?19世紀にそんなものあるわけないだろ!ラッダイト運動待ったなし

解雇した労働者は一定人数次のターンに求職市場に戻ってくる。失業者の増加により需要が減る。売れる量も限られてくるので猶更アピール値合戦になる。レッドオーシャンに未来はないぞ。


そんな嫌な現実を味わいつつ、頑張って株価と株式総数を増やす経営に明け暮れるゲームである。


【感想とか】

購入した2016年からずっとプレイする機会を得られず、先日その罪(積み)を懺悔(残ゲ)することができました。懺悔に協力してくれた友人に感謝。

5年越しに完走した感想ですが、ゲーム紹介分の長さで想像がつく通り重量級のゲームで、当時の自分では重すぎて手に負えなかったと思うが、今ならすっきりプレイできるなぁと自分の成長を感じるところです。単に重ゲー慣れしただけとも言いますが。

このゲームいろいろ処理が多いのですが、経営ゲームとしてはオーソドックスなものです。

工場を新築・改築する、雇用する、宣伝を打つ、カイゼン活動をする、機械化する、株式の売買をする、とアクションは6種類しかなく、やることは時価総額の最大化のために「相手より多いアピール値で」「相手より多く自社製品を売り」「株価を上げて」「多額の利益を上げたら自社株買いをする」だけです。  いややっぱりやること多いな...

問題は様々なところに多額の費用が掛かること。ゲーム開始時に自社株を何株売るかをスタートプレイヤーから決めますが(蒸気の時代かよ!)、初期£20は1ラウンドで露と消えて、各工場の利益は人件費を差っ引いたら雀の涙になります。自分は最初5株売りましたがそれでも資金はショートしかけました。10株は売るべきです。

基本ゲームは12ターンしかありません。プラハよりも短いです。しかしその12ターンにインスト抜きで2時間はかかる濃密な経営ゲームがありました。最初「軽ゲーかな?」とか軽口言ってごめんなさい。

ランニングコストを計算し、設備投資を回収できる期間を計算し、そのうえで他プレイヤーを出し抜いて多額の利益を確保する算段をつけるにはどうすればよいか? ジレンマなどというものはありません。必要なものは何が一番売れるかという経営センスと利益を確保する計算力、そして決断力。

公称120分~240分は伊達ではなく、誰彼問わずおススメできるゲームではありませんが、重量級ゲームに忌避感がなく、経済ゲームがお好きなようであればぜひ一度プレイしてみてください。

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  1. 投稿者:sopra
  • 55興味あり
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テーマ/フレーバー
メカニクス
作品データ
タイトルアークライト
原題・英題表記Arkwright
参加人数2人~4人
プレイ時間120分~240分
対象年齢12歳から
発売時期2014年~
参考価格未登録
レーティング
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10点の人0
9点の人1
8点の人0
7点の人3
6点の人1
5点の人0
4点の人0
3点の人0
2点の人0
1点の人0
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交渉・立ち回り4
心理戦・ブラフ1
攻防・戦闘0
アート・外見1
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レビュー 1件

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