- 2人~4人
- 60分~120分
- 12歳~
- 2019年~
クーパー・アイランドissei2tabata826さんのレビュー
記事構成は以下の通りです。
1、ゲーム紹介<テーマ><ルール>
2、ゲーム評価<5項目><総括>
1、ゲーム紹介
2~4人 75~150分 12歳以上 作者:Andreas "ode." Odendahl(Twitter:@AndreasOdendahl)
ワーカープレイスメント、タイルプレイスメント、拡大再生産、リソースマネジメント
<テーマ>
船旅の途中で愛犬が導いてくれた島をその愛犬の名にちなんでクーパーアイランドと名付け、数年後に開拓のために島に戻ってきたという物語。プレイヤーは新しい住処を探検し、その場所での繁栄を築こうとする。
大きな島(ワカプレスペース)に個人の島(開拓スペース)が繋がっている。個人の島の端には船が2隻あり、これらが島の周りを周回してそれが点数となる。
<ルール>
収入とワカプレで資源を生産したり、その資源を使って建築物(ボート、建物、彫像)を建造したりする。建築物の建造は島の開拓を意味するので勝利点に繋がるシステムになっている。
ゲーム終了時の図。島も華やか、船は島全体を周回するので、プレイヤー同士の船が入り乱れていて賑やかに見える。
1ゲーム5ラウンド、1ラウンド3フェイズ(収入、ワカプレ、中間決算)
①収入
ゲームスタート時の個人ボード。
中央の各マスを覆っているコマが小建物、大建物、要塞。建築をするとマスが解放されたり、建物効果(対応するカード効果)を得られたりする。
右側の円形コマが通常ワーカー、正方形コマが特別ワーカーで、最初は通常ワーカーが2体いる。特別ワーカーを増員したときには通常ワーカーと入れ替わるだけでワーカー数は増えない。よって、最大で4ワーカーまで増員できる。
左に並んだボートは建築するとラウンドごとにもらえる収入が増える。
ゲーム中の個人ボード。左列が収入を表している。各ラウンドの最初に各プレイヤーは風景タイルと島タイルを1枚ずつ自分の島に配置できる。さらにボートを建築しているプレイヤーはその収入も得られる。
ゲームスタート時は食料を生み出す草原1マス分しか開拓できていない。
島タイルを配置した図。島タイルは配置したときに描かれたボーナスを得られる。船が島タイルを飛び越えて進んだ時にもボーナスが得られる。
風景タイルはどちらも地形(森(木)、山(石or金)、草原(食料)、集落(布))が描かれている。ダブルタイルが基本なのだが、常時アクションを挟むことによってタイルの段差を埋めるために使うことができる。
このようにタイルは重ねておくことができる。タイルを配置したときに資源が発生するのだが、資源量はタイルの段数に等しい。つまり、図の場合は食料(ピンク)が1つ、石と木(グレーと茶)がそれぞれ2つずつあることを示している。このシステムが本作におけるリソースマネジメントの根幹となる部分である。なぜなら個人ボードの資源保管場所は狭いからだ。
個人ボード中央上に資源が保管できる。1マスに1つしか保管できない。小建物を建築すればスペースが開放されるが、それでも最大2マスまでしか増えない。建築物のコストは中央上に描かれているが、どれも合計で4資源以上を超える。要塞なんて合計15資源も必要としている。
しかし、これらの資源は島の資源を使用することができる。つまり、島も保管庫の役割をしてくれているのだ。しかし、島にタイルを配置するときに、そのタイルに資源が乗っているとタイルの配置はできない。このときに個人ボードに保管できるのだが、島で複数を示す資源だったものも個人ボードに配置してしまえばその数は1になってしまう。めっちゃ取りこぼしてしまうのだ。じゃぁその資源を使ってからタイルを配置すればいいじゃないかと思うかもしれないが、そうもいかないのが本作なのだ。このジレンマはぜひプレイして体験してほしい。
②ワカプレ
中央ボードにワカプレスペースがある。可能なアクションは8種類のみ。資源を1つ支払えば既にワーカーが置かれたスペースにワーカーを配置してそのアクションを行うことができるので、ワカプレ特有の苦しさはほとんどない。各アクションのアクションスペースは2か所(円形と正方形)ある。それはワーカーには円形の通常ワーカーと正方形の特別ワーカーがあるからである。特別ワーカーのアクションは通常ワーカーの2倍程度の性能を誇る。この点で言うとカヴェルナの「増員プレイ」か「武装プレイ」かでプレイヤーごとの差が生まれるようなイメージだ。
アクションは大きく分けて2種類。上記図のベージュの4スペースは「風景タイルの配置」系統(資源の生産)でブラウンの4スペースは「建築」系統(資源の消費)になっている。
小建物を建てると保管庫が広くなるし、図のような建物カードが得られる。小建物カードは誘発効果や常時効果が描かれている。ゲーマーならば序盤に建てるべき建物ということが理解できるだろう。
大建物を建てると彫像の保管場所が開放され、図のようなカードが得られる。内容は基本的にワカプレ1アクション分の効果を発揮してくれる。1ラウンドに1回だけ使えて、次のラウンドも使用するためには2金払う必要があるが、それでも効果は絶大だ。
他にもボートの建造(収入を強化)や彫像の建造(中間決算ごとに点数が得られる)、貨物船の補給(常時アクションが強化される)がある。
建物は島に建てるのだがこの際のルールも悩ましいものになっている。建物は島の一番高いスペースに配置しなくてはならない。建物があるスペースに風景タイルを重ねることはできないので、資源生産が遅くなってしまうのだ。
建築アクションはそれぞれ建築をすると舵ポイント(勝利点)を得られ、5歩歩くごとにミニボーナスが得られる。
③中間決算
中央右側にa→b→cの順で縦にアイコンが並んでいる。aは収入、bはワカプレを示している。cは中間決算である。まずはワカプレなので食料を払う。次に大建物か貨物船の蓋を再度使えるようにする(要塞を建築できていれば両方回復させられるしコストもかからない)。その後で彫像や島の開拓具合によって勝利点が得られる。
〇ゲーム終了時
得点はゲーム中に船が旅した距離と個人目標の合計得点となる。
特別ワーカーを増員する際には通常ワーカーと入れ替わりで増員するというのを序盤の方に述べた。入れ替わった通常ワーカーはどこへ行くかというと、図の個人目標スペースに行くのだ。つまり早取りになっていて、先に特別ワーカーを増員したプレイヤーの方が選択肢が多い。ゲーム終了時に各項目の必要条件(3段階設定されている)を達成していれば得点が入る。
2、ゲーム評価
①盤面が賑やかになる、開拓の臨場感がある
本記事の画像から見てもわかるとおり、ゲームの世界観の再現度はかなり高い。各プレイヤーが島に上陸して未開の地を開拓し、生活をしながら拠点を作っていく流れは生活が豊かになっていく体験ができる。筆者がこのゲームに目を付けたのはInstagramで海外のプレイヤーがアップしている様子を見て、その盤面の賑やかしさに惹かれたからである。実際にプレイしていてもこの臨場感は期待通りだった。
②リソースマネジメントの代表格
本作はワカプレのアクション数こそ少ないが、常時アクションを挟むことによってタイルの配置はかなり自由が効く仕様になっている。タイルに乗っていた資源を保管し、その資源と乗せたタイルが生産する資源とを合わせて次のアクションで建築をするというような計画を立てることもできる。資源は「木、石、黄金、布、食料、お金」の6種類だが、これらをこねくり回すのがとにかく楽しい。
逆に言えば多様な選択肢があるということで、ダウンタイムが長くなる可能性もある。
③ゲームプレイ中の目標が見えやすい
選択肢がかなり多くてルールを理解しただけでは何からやっていいのかわからない。しかし、ワーカーの増員には「ボートを2艘建造する」「貨物船を2隻補給する」「彫像を2体建てる」「建物を2軒建築する」という条件があるので、序盤はその目標を達成することを意識するとプレイにブレが出なくなる。中・終盤は建物カードの効果や特別ワーカー増員の際に決めた個人目標によってプレイの方向性も固まってくるので、慣れればゲームを通しての各時点での目標が見えやすくなっている。
一方でプレイを重ねていくと、意外とプレイルートが少ないことに気づくだろう。個人目標は上記の画像で示した8枚しかないし、建物カードの効果もあくまでワカプレアクションの強化くらいだ。オーディンの祝祭と同じくらいのプレイ時間だが、オーディンの祝祭は探検する島やアクションの豊富さからルートが多岐に渡るのを目の当たりにしていると本作のルートの本数に少し物足りなさを感じるかもしれない。
④アクション対効果が感じやすい
建物を建てたときに得られるのはアクションを強化する建物カードだけではない。舵ポイント(勝利点)も得られるのだが、この舵ポイントで船を進めたときに島タイルを飛び越したり、5歩ごとのミニボーナス地点を踏めば資源を得られたりする。アクション自体は単純なのだが、ミニボーナスを得られることで「お、ラッキー!」と感じる場面が多々あるのは筆者が本作を好きな大きなポイントになっている。
⑤インタラクションは弱め
ワカプレスペースも1資源を相手プレイヤーに支払うだけで踏むことができる(たまには致命的になるときもある)し、個人目標の早取りもそこまで影響力があるわけでもない。基本的には自分の島の開拓に集中できて、邪魔が入ることもない。他プレイヤーの島まで船を進めていったときにもそのプレイヤーの島タイルであっても飛び越えボーナスを得られるのだが、特にコストを支払う必要はない(5歩のミニボーナスは1資源の支払いがある)。そういったときにふと他プレイヤーの盤面を見て自分のルートとは違うプレイをしていてそれが羨ましく思えたりする程度だ。よって肉を切らせて骨を切るようなゲームをプレイしたい人には本作はおススメはできないといえるだろう。
<総括>
資源をこねくり回すゲームが好きなプレイヤーには刺さるゲームだろう。筆者の妻もリソースマネジメント系のゲームが好みで、最初はプレイ時間を見て敬遠していたものの、試しにプレイしてみたらドハマりした。1プレイが終わった後に「次はもっとうまくやれる!」と感じさせる良作である。最初の数回は常時アクションの使い勝手に慣れていないこともあり、ルール把握に時間がかかるかもしれないが、理解したプレイヤー同士でプレイするのであれば長くプレイできるゲームとなっている。
2020年9月26日にArclightGamesから日本語版が発売されるが、こちらにはソロプレイ用ミニ拡張もついている。筆者は原語版を入手し、和訳データはkoh.さん(Twitter:@sink1234)が作成されたものを利用させていただいた。
余談だが、個人的には2,3人プレイの際にもホームボードが綺麗に形成されるつくりになっている点も評価が高い。2人プレイだと隣に島を配置することも可能(プレイに支障はない)。
※この記事は筆者自身のnoteの記事(https://note.com/issei2826/n/na561297728aa)を転載したものである。
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