- 4人~10人
- 30分前後
- 14歳~
- 2021年~
クエスト:永遠の王の物語na_op_oo_naさんのレビュー
前作にあたるレジスタンス:アヴァロンとの違いという観点でレビューします。
より楽しむためのルール考察も付記しています。
Questとレジスタンス:アヴァロンの違い
クエスト参加者決定の多数決の有無
アヴァロンはリーダーが選出したクエスト参加者の承認/否決を多数決で行いますが、Questはリーダーの選択が絶対であり、否決されることがありません。よってアヴァロンの「できるだけ否決し様子見で情報を集める」という常套手段は通用しません。そのためゲームスピードが速く、そのスピード感を良いと感じる人もいれば、速過ぎて思考と情報整理が追いつかないという人もいるかもしれません。
リーダー実施回数の制約
アヴァロンはリーダーによる選出が否決されることがあるゆえに、複数回リーダーをやることがあるが、Questではリーダーをやるのは1ゲームにおいて1人1回のみ。このため「邪悪だけでリーダーを回し全てのクエストを失敗させるパワープレイ」が可能にも思えますが、それを抑制する制約もあります。その内容は、邪悪の勝利時に、リーダー実施済のプレイヤーを指すベテラントークンの保有者が邪悪のみであった場合、正義の逆転勝利となるというもの。(これが複雑度を高めているのは否めません)
適正プレー人数
アヴァロンは5〜10人で遊べるとされていますが、実際に遊んでみると5,6人では暗殺者がマーリンを運で的中させる確率の高さからゲームバランスが良いとは言えず、筆者は個人的に7人以上でのプレーを推奨しています。Questは3回遊んだのみですが、4人でも充分に正体隠匿の醍醐味を味わえる作りであると感じています。
ルールの複雑度
Questはアヴァロンと比べると複雑なゲームであることは間違いありません。
アヴァロンは正義にしろ邪悪にしろ「誰が邪悪かor邪悪かもしれない」程度の情報を持っているに過ぎません。(一部追加役職を除く)
しかしQuestは、役職の能力によって「能動的に判断しなければならない場面」が頻繁に訪れます。モーガン・ル・フェイはマジックトークンを持たされても失敗を出してよい、ユースはマジックトークンを持たされたら失敗を出さなければいけない、トラブルメーカーは第1クエストのリーダーのときやアミュレットを渡されたときに邪悪と表明しなければならない、など…。
これは正体隠匿ゲームの練度が高いプレイヤー同士で遊ぶ分には問題ないでしょうが、初心者にいきなりQuestを遊んでもらうのはややハードルが高いと言えるかもしれません。
ルール考察
ディレクターズカットルール
本作にはあたかもオマケのように別紙が同梱されており、そこにディレクターズカットルールが記載されているのですが、Don Eskridgeは最も推奨するルールがこれであることをBoardGameGeekにて複数回明言しています。
またDon Eskridgeは同様に、本作の出版にあたってパブリッシャーによるルール改変があったことも明言しています。そのひとつが「ブラインドハンターをオプション役職とするルールブック表記」のようです。
ルールを読みこんだり何度か遊んでも感じますが、ブラインドハンターによるハントは標準でゲームに組み込まれていなければゲームバランスが著しく悪くなる懸念があります。具体的には、正義側の役職者が早々に役職をカミングアウトし、正義だけでリーダーを回すことでゲームを決着させるのが容易であるというものです。
これを抑制するためにブラインドハンターの存在は必須であり、また正義の勝利後にもブラインドハンターのハントの機会を設けるバリアントも提案されているようです。
基本的にはディレクターズカットルールを標準として、そこから投入する役職の種類や数をアレンジするのが良さそうに思えます。
バリアントルール
前述のように、正義の役職カミングアウトにより、ファイナルクエストへ持ち込むまでもなく3回クエストを成功させる戦術は強力に見えます。(個人的にはメタゲームで対応できる範囲内にも思えますが、邪悪側が正義役職の騙りを要求されるため熟練者でなければ対応が難しいのかもしれません)
そこでDon Eskridgeが提案しているのが「ドロップシステム」というバリアントルールです。
正義の役職にはデューク、アーチデュークなどファイナルクエストでの指差しを操作するものがいくつか存在しますが、これらをゲームに投入する役職から排し、ゲーム全体のシステムとして事前に合意をしておくものです。具体的にはプレイヤー数が6人ならば1人、7,8人ならば2人、9人以上ならば3人が、片手を降ろす権利を得るというシステムです。
参考URL:
★2022/12追記:ディレクターズカットルールにおける人数ごとのゲームバランス考察
9~10人戦を20回程度、7~8人戦と4~5人戦を数回遊んでみて、どのように役職やバリアントルールを適用すればゲームバランスが取れると感じたかの考察です。
共通:奇数人数=邪悪が多いため邪悪が強い。偶数人数=正義と邪悪が同数のため人数が多いほど正義が強い。
10人:正義がかなり強い。邪悪に有無を言わさず正義が3タテすることもしばしばあるため、正義勝利後のハントを入れても良い(が、それでも邪悪がクレリックを当てるのは困難で運次第になることが多い)。ArchDukeをDukeに差し替えても良い。また、邪悪の能力無しを1枚「Trickster(トリックスター)」に差し替えるのも面白い。Tricksterの「正義か邪悪かの申告を偽れる」能力により、クレリックの持つ情報やアミュレットで得られる情報の信憑性が落ちることで相対的に正義が弱体化する。
9人:やや邪悪が強くも感じるがちょうど良い。特段、役職差し替えでの調整の必要性も感じない。
8人:ちょうど良い。特段、役職差し替えでの調整の必要性も感じない。
7人:邪悪が強い。試してはいないが、邪悪の動きが一部限定されて邪悪が弱くなるような邪悪役職を採用しても良さそう。
6人:未プレー。
5人:邪悪が強い。7人同様、邪悪が弱くなるような邪悪役職を採用しても良さそう。ファイナルクエスト前に役職が公開されるRevealerを入れるくらいでちょうど良いかもしれない。
4人:バランスがどうあれ、役職の差し替えが困難で調整の余地は無いに等しい。遊べるには遊べるが運要素も多分に含まれる。
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