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  • 1人~4人
  • 60分~120分
  • 12歳~
  • 2023年~

ナイトフラワーズkanamatanさんのレビュー

2090名
17名
0
1年以上前

異世界キャバクラのエンジンビルド系ワーカープレイスメント。


メインキャスト+メンター、黒服3人で派閥を組んでクラブ『ナイトフラワーズ』の覇権を争う。

キックのロンチ時にキャッチーな外見と奇抜なテーマで話題になった作品。

プレイ風景。アクスタがワチャワチャしていて華やか。
未プレイ向けに説明すると2R目に向けて小銭稼ぎをしている場面。一見華やかだが、やってることはコスい。

しかし、プレイすると蠱惑的なアートワーク以上に秀逸なゲームデザインの方に度肝を抜かれた。リソース変換のメカニクスが抜群に良く出来ているからだ。

メインシステムはワカプレ、ワーカー5人×4Rで全部20手番(+α)でここに資源を獲得するためのリソースマネジメントが付随する形になっている。

やることはチャームと呼ばれる資源4種を集めて一般客(エンジン)、VIP客(終了時得点)、パトロン(高得点の目標カード)を獲得することに集約されていて分かりやすい。

また、コンセプトを活かして資源の消費先を接客スペース、資源の獲得先をバックヤードに集約されている。これはストーリー、ビジュアル、メカニクスの全てに必然性があり、デザイナーのセンスの良さが伺える。

プレイ終盤。キャストは左側、黒服はボードの右側に偏っている。左側がカード獲得の接客スペース、右側が資源獲得のバックヤードのため。ワーカー毎に役割が明確になっていることが視覚的に理解しやすい作り。

エンジンの補助となる客カードは上部に集約されている。どの客を狙うかのインタラクション、一時的に効果を使えるワークエリアは本作の華の1つだ。

ボード上部の待機エリア。左側にラウンド数に応じて配置数が変化するVIP,右側に一般客が並ぶ。カード下のスペースにワーカーを配置することでカードを獲得せずに一時的に効果を使える。

メインボードに加えて進行管理のサブボードもある。左側がゲージ管理、右はボーナス管理だ。左上から貢献度、出勤順、ラウンドオーダーだ。

貢献度は次Rの手番が早くなり、数値分のお金が貰える。手番順はワイナリーの四季システムで手番を遅くすればするほど強力なボーナスが得られる。

右側はボーナス。上はイベントでラウンド毎に追加ボーナスを得る手段が変わる。下は早取りボーナスと最多ボーナス、いつものヤツ。

パトロンは大目標、大量のリソースと引き換えに高得点を貰える。

サブボード+パトロン+スコアパッド。左はゲージ管理、右はボーナス管理でメインボードとは対象的にシンプルな作り。ここまでガチャガチャされると煩いので良い感じ。パトロンは本来客カードの上に配置するがスペースの都合でお引越し。

ここまではワカプレの話。ここからはこのゲームをこのゲームたらしめるフリーアクションの話。

このゲームのフリーアクションは資源の変換だ。資源の変換は、メインキャストの効果、メンターの効果、一般客の効果の3種類がある。主となるのは派閥ボード上のスキルとタレントである。

派閥ボード+獲得したカード群。個人ボードの上のカードがスキルとタレント。この上を資源が超動き回る。メンター(ボードすぐ左)は金を払うと使用可能。一般客カードはワーカーを置くかフリーアクションで効果を発動する。

このゲームの凄まじい点は資源変換の勢いだ。左に書かれた資源で中央に書かれた資源をカードの上に配置する、そして、カードの上に資源が置いてない限り何回でも実行できる。

そのため、簡単に資源変換はループしてメインキャストの能力だけで1手番で10回くらい資源変換をして大量に資源を作れる。1個、起点となる資源があれば10倍に出来るくらい激しい変換が出来てしまう。

ここにメンター、一般客のリソース変換を組み合わせることで他のゲームでは体験出来ないハイレベルな自由度を持つ変幻自在の資源変換を楽しめる。 

基本的に超性能のエンジンが出来るので味付けをパトロンに向けた特化型にするのか、太客化に向けて汎用性を高めるのか、方針を上手く定めて味付けしていくことが勝利を目指す上で重要となる。


一応、強いアクションを取るとストレスというドクロの資源が場を埋めてしまうので上手くリソース管理をしていきたい。

作ったリソースはカードの獲得、得点の獲得に用いる。カードによる得点獲得はパトロン、VIPまでは取得すれば得点だが、一般客は太客化しないと得点にならない。他には派閥効果の解放、店への上納、ボーナスでも獲得可能だ。

エンド時の派閥ボードその2。満遍なくやった場合。得点はシャンパンが置かれた客、王冠マークのVIP客の効果、パトロンから主として発生する。そこに付随してタレントボーナス、派閥ボーナス、早取り、最多ボーナスがある。得点手段は多そうに見えるが基本は客の獲得+αになるので案外分かりやすい。

最後に良い点と悪い点。

◎良い点

・ビジュアル

 ここまでビジュアルにほぼ触れなかったが、ビジュアルは文句なく素敵。異種族大好きなので蹴った。デザインだとヘレナ、クレナイ、性能だとクレナイ、ユウリがオススメだ。

・突き抜けたエンジンビルド&リソース管理

 上でも触れたが資源変換をフリーアクションで凄い回数出来る。上手いエンジンを組めば何か資源が1つあれば全ての資源を作れるわ、10倍に増やせるわとなんでも出来てしまう。

自分のキャラやパトロンから作りたいエンジンを考えてビルドする楽しさ、エンジンを回しているときの楽しさにおいてはこのゲームの右に出るものは無いだろう。

10年、1200種類くらいボドゲをプレーしたがこのレベルの作品は殆ど無い。

・デザイン、ルール、ストーリーのビジュアル面への落し込み

 これもかなり凄い話。上で触れた通り資源を使う場所、貰える場所についてそれぞれにワーカーの種類、スペースの名前、イラストの全てに説得力があり違和感が無い。

 海外の著名なデザイナーの地名系タイトルのボドゲをプレイしていてもゲームのためにあるスペースだよなコレ、というチグハグなエリアはちまちま見かける。

 そのことを考えると重量級ゲームで全ての面に必然性を持たせたデザインはデザイナーのバケモノじみたセンスの賜物だろう。


◎悪い点

・ダウンタイム

 資源変換が激しすぎて冗談抜きで次手番までに資源変換が終わらない。説明書でもメインキャストの資源変換は手番外の実施を推奨しているが、他人の手番中に変換しても終わらない事がある。変換し終わったら自分の手番が来ててそこから考えるハメになることも。


・コラボカードの性能

 魅力と紙一重な点。一般客の中に他サークルとのコラボカード、キックのコースのカードがユニーク能力で混ざっている。これが全体的に強力。特にストレスを一気に削るカッパ、酒を売って大金を取るラセツ、手番超圧縮のアオイ&カナデあたりが頭1つ強い。

 通常の一般客と異なり上の一部のコラボカードはエンジンを組むのでは無く、1枚で形勢逆転するポテンシャルを持っている。これは人によっては気になる点になるだろう。ただ、このくらいの荒削りさは有った方が人を引き付ける魅力足らしめると個人的には思っている。


・キャラの個性がやや弱い

 イラスト面の話ではなく性能面の話。個性豊かなキャストが12キャラいるがメインキャストととしての差分は主にスキルのみ。タレントは各2枚あるので他キャラでも獲得可能。

 他は各キャラ共通のため、クセの強めな見た目に反して能力格差は意外と少ない。一方でメンターは指定ラウンドにボーナスが貰えるのだがコチラは結構個性的なのでメインよりもメンターのが個性を出しちゃってるのがやや気になるところ。

以上。

総合的にかなり完成度の高い作品。エンジンビルディング+ワーカープレイスメントとしては1つの到達点を示しているように思う。

デザインは人を選ぶがメカニクスは万人受けする完成度なので是非遊んでみて欲しい。


余談だが、ナイトフラワーズの箱はかなり空きスペースがあるので拡張に期待。

拡張なキャラ毎にささやかでいいから固有能力がつくといいな。

  

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