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  • 2人~4人
  • 30分前後
  • 10歳~
  • 2019年~

フォグサイト愛餓え男さんのレビュー

932名
11名
0
約4年前

本作のイラストを担当した中村尽です。
イラスト担当なのでゲームシステム面にはあまり関わっていませんが、共同制作者として本ゲームについて抱いた感想を書かせていただきます。


【このゲームについて】

GMが作った地図を他プレイヤーが手探りで攻略していく探索ゲーム。【2019ゲームマーケット大賞】受賞作。
ゲームマーケットでは私が売り子をやりましたが、開始1時間半で200本が完売しました。


まるで霧の中をさまようようなプレイ感覚だったので、【FOGSITE】というタイトルになったそうです。

ルールが複雑で覚えにくいので、できれば一人は経験者が入った方がスムーズに始められるでしょう。

プレイ時間は初回1時間、慣れれば30分ほど。ゲーム中にタイルを配置していく関係上、ガーディアン側の地図の制作さえできれば、セットアップは簡単な部類に入ります。一度作者と私でタイムアタックをやりましたが、セットアップ含め10分ほどで試合が終わりました(探索者側の勝利)。



【こんな人におすすめ】

〇ゲーム会でカード系、アクション系以外のゲームをやりたくなってきたけど、セットアップがダルい
→本作は軽ゲーと重ゲーのつなぎに最適


〇勝ち負けで場の雰囲気が壊れない、和やかなゲームがしたい

→協力ゲーなのでだれも傷つけないでゲームが終わります


〇仮説検証や戦略を立てるのが好きだ

→自分の推論能力を友達に見せつけることが出来ます


【問題点・懸念点と対処方法】

◆探索者側に仕切りたがるヤツがいると非常にめんどくさい

→縁を切るか、適当に流しましょう。あるいは、非の打ち所のない論理武装をしましょう。


◆ガーディアンがズルをすると、絶対に誰にも指摘できない 

→ガーディアン側の人間性は本作品の最も大事な要素です。信頼できる人物を選びましょう。


◆探索者側が長考すると、ガーディアンは猛烈に暇になる

→本作品はそこまで詰めて考えなくても、おおむね探索者側が勝てるようになっています。テンポのよいプレイを心がけましょう。あなたがガーディアンなら長考禁止のルールを足すか、暇つぶしできるものを用意しましょう。おすすめは、ガーディアン側もヒントにならない程度に相談に参加することです。そうすると、負けたのに自分も一緒に勝ったかのような感覚が味わえます。



【テーマについて】




【FOGSITE】の『地図を作る』というテーマは、今考えると、とてもいいテーマだったと思います。

 なぜなら、知らない場所の地図を自分で埋めるのはそれ自体が楽しい体験だからです。
 現実世界の地図はほとんど埋まってしまっていて、『誰も行ったことがない場所』はほとんどありません。あったとしてもそれは宇宙とか深海とか、密林の奥とか地下とか気軽に行ける所ではないでしょう。


 だからこそ、『知らない場所を探検する』ことは多くの人があこがれる要素で、需要があったのかもしれないと思いました。

 しかもこのゲームの迷宮は毎回形が変わります。そうでなければ、このゲームの地図もすぐに『知らない場所』ではなくなってしまうでしょう。

 迷宮はプレイごとに、ガーディアン側が必死に考えて作ります。つまり、このゲームで探索する【霧の洞窟】というのは、【見通せない他人の考え】のメタファーであると言えます。

  また迷宮を作るガーディアン側でプレイした時、不思議と負けてもさほど悔しく感じないのがこのゲームの大きな特徴です。
 それというのも、『自分の作った地図を解いてもらう』ことが快感になっているからです。

 相手が真剣に自分の考えを読んでくれたからこそガーディアン側は負けるわけで、終盤になると、探索者側を応援したくなる気持ちが芽生えるほどです。
 おそらくテストプレイを重ねるうちに自然とこの形に辿りついたのだとおもいますが、この構造はとても良くできています。
 なお本作は人力で70回以上テストプレイが行われており、その度にプレイヤーに率直な感想を求めています(私も数回テストプレイを行い、はばからない意見をぶつけました)。


 地図を作る側、『探索者』は圧倒的に不利に見える場面からゲームを始めます。すなわち、仲間とはぐれ、どこかに【敵】が潜む洞窟の中です。
 現在地以外は一切地形が分からない洞窟を手探りで進んでいく中、ガーディアンから『攻撃』を受けて制限時間が減ると、一度は『もうダメだ!』と思わされるバランスに調整されています。

 ですが一見難しい状況に見えても、探索者側は次第に明らかになる周辺の地形を推測、照合することで一気に視界が開けます。また、意外に強力な『遺物カード』を使うことで、探索に明確な道筋が与えられます(若干の運要素もあります)。

 探索者側が得る最も大きな快感は、【仮説・検証】の楽しさです。これは科学実験を始めとした研究の楽しさでもあります。
「もしかしたらここはこうなっているのかも?」と推論し、それを手軽に実験できる。これがこのゲームの持つ、最も優れた点だと私は思います。ロジカルな『トライ・アンド・エラー』を気軽に楽しめるゲームとして、本作はかなりレベルが高いのではないでしょうか。


 話をまとめると、【FOGSITE】は『見通せない他人の考えをみんなで解き明かす』ゲームであって、ゲームを通して相互理解が深まることで快感を生んでいるんじゃないかというのが私の考えです。
 また、プレイすると感想戦が盛り上がるのもこのゲームのいいところで、「私はこう思った」「こう考えて迷路を作った」など、全員が共通の話題を持って盛り上がれます。


 余談ですが、本作の製作者は暴力的な表現が嫌いで、そのためそういった表現や要素が一切ないのも地味にすごいです。ガーディアンの攻撃で時間が減るのは、『攻撃を受けて、逃げたり隠れたりするから』ですし、遺物カードにもガーディアンを攻撃するようなカードは一枚もありません。




――――番外編――――

【インスピレーションを受けた作品など】
本作品のアイデアの元になった作品について。直接本作のレビューとは関係ありませんが、下記作品の雰囲気が好きな方は入り込みやすいかもしれません。



『メイドインアビス』つくしあきひと作(漫画・アニメ・映画)
本作の世界観、遺物カードの名前などに強い影響がみられます。製作者のススメで私も漫画を読みましたがとても面白いです。

『世界樹の迷宮』シリーズ アトラス作のビデオゲーム
世界観に若干の影響

紙ペンゲーム(バトルシップゲーム)

ラビリンス

スフィンクス


このあたりは私やったことないので分かりませんが、ゲームシステムに影響を受けているとのこと。





・本作は再販の度に一部のイラストを描きなおしています。複数版もっている方は、ぜひ比べてみてください。

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