基本は三人プレイ時の感想ですが、二人プレイ時も併せて書きます。
ウチューカイギは、宇宙人を接待する国の代表となり、バランス良い外交を行って信頼を勝ち取るSFチックな世界観のゲームです。
いわゆるトリックテイキングゲームで、マストフォロー、切り札あり、6スートそれぞれに奇妙な特殊効果のある変則トリテ、といった概要です。
各トリックでは一番高い数字を出した人がトリックを取り、その時使われたカード全てを手元に置きます。ラウンド終了時に集めたカードを使って点数計算を行いますが、特定の色は集めすぎるとバーストとなり、大きく減点になってしまいます。
例えば三人プレイ時は同じ色を4枚集めるとバーストになるため、普通に二人がフォローしてトリックを取るともう3枚。それ以上同じ色でトリックを取れなくなってしまうなど、シビアな展開になってきます。
しかし「その色でトリックを取ると次のトリックに参加できない」効果を持った色もあり、普通に考えればマイナスですが、そもそもトリックに参加したくない場面であえてリードカードに使ったりできます。
「トリックを取ると次のリードカードが手札からランダムになってしまう色」もありますが、バーストのない色なので敢えてそれで勝ったりなど、一見マイナス効果に見えるカードが巧妙にゲームをコントロールしていくキーカードとなり、非常に絶妙なバランスで各スート効果が設定されています。
最初は細かいカード効果がややこしそうだな、と身構えていましたが、初めてみるとこれらの効果にここぞという時の使い所があり、程よく頭を使いながら戦略性を楽しめる愉快なゲームでした。
なかなかバーストのリスクも高く、最後の一手まで逆転の可能性を残したスリリングな駆け引きになるため、上級者にも納得できるゲーム性だと思います。
二人プレイ時は特殊なルールで、向かい合ったプレイヤー(宗主国)それぞれの左隣に「属国」という、プレイヤーを手助けするセカンドプレイヤーを置いて、こちらも手札をコントロールします。
ただし属国の手札は全て表にして公開されていて、両プレイヤーは見える部分と見えない部分を予想しながらトリックを取っていくかなり変則的なゲーム内容を味わうことになります。
しかも属国はあくまで補助なので、自分の属国の得点をトップにしてゲームが終わると相手が勝つという、これまた特殊なルール。普通のトリテと比べるとだいぶプレイ感は違ってきますが、前述のとおりバーストのリスクが高いゲームなので、いかに属国に手伝わせつつも自分だけを勝たせるかというトリッキーな戦略が楽しめる新しいゲーム感に到達しています。
これは本当に他では味わえないので、トリテが好きな人は是非とも挑戦してみて下さい。
コンポーネントはインディーズゲームとしてはかなり高品質にまとめられていて、カードはエンボス加工、得点ボードもエンボス加工の3連結で存在感があり、得点カウンターの木駒も星形の可愛い形です。
宇宙人のいる世界観もしっかり表現されていて、各ウチュージン(本作ではそう呼ぶ)のイラストはゆるキャラっぽく親しみやすいデザインになっていて、至る所に散りばめられたウチュー要素がシビアなゲーム感の中に癒しを与えてくれます。
ちょっと初心者にはお勧めしにくいゲームですが、戦略がモノを言う遊び応えのある作品に仕上がっていると思います。
しっかり悩ましくもワイワイ楽しめる快作なので、トリテ好きには本当にオススメです。