推奨年齢が50歳以上という奇天烈な共産党覇権争いゲーム。もちろん50歳以下で全く問題なく楽しめます。50歳を超えるとまた違った感想が出てくるのかもしれない。
なぜレビューが無いのか不思議に思うくらい面白い。細かいルールは割愛するが、基本的には共産党の幹部たちに対して影響力を(密かに)割り振り、自分の推しが書記長となって長く政権を維持すれば勝ち。同じキャラに同じ分だけ影響力を振っていたプレイヤーがいた場合、影響力の宣言を後出しした方が勝つようになっている。このため、勝った!と思ったら実は他のプレイヤーが強力に推していたことが判明し、負けることもある。
ただ、クレムリンの魅力は勝敗というよりも、政権争いのドタバタ劇そのものにある。今年は実際のソ連を舞台にした「クレムリンの葬送狂騒曲」という映画も公開されたが、やはり政治闘争には喜劇的かつ悲劇的な引力があるのだろう。
ゲームに即して言えば、KGB長官のポストを押さえるとダイスの目次第で誰でもシベリア送りにできるのが面白い。高級官僚は出目の設定が厳しいのでなかなか死なないのだが、ダイスの神が微笑めば一気に共産党を全滅させることもできる。モスクワの冬はかくも厳しいのだ。
誰も操作できないと面白みが激減してしまうので、プレイ開始時に役職についていないキャラにも影響力をまんべんなく振っておくのがベターか。基本ルールが重く、かつそれだけで面白いのでなかなか拡張を導入できません。
2021/4/17追記
拡張ルール「長所と短所」「協力勝利」(5-6人時推奨)「影響力の追加配分」を入れて久しぶりにプレイ。
「協力勝利」は入れてもいれなくてもという感じ。5人だったからかもしれない。
「長所と短所」はキャラクターの差別化と生き残り/排除戦略に幅が出てとてもよい。「影響力の追加配分」も途中での方向転換や補強が効くので素晴らしい追加ルール。追加分は宣言しなければならない、というのもよくできている。
改めて最高すぎるゲーム。マジでなんでみんなやってないんだろう……。