もともと2010年にロシアで考案された生物進化と種の変遷をテーマにしたゲームでしたが、2014年にアメリカで改訂版が発売され、これが非常に好評でゴールデンギーク賞を受賞しています。さらに2017年にさらなるリニューアルした第2版が発売され、今回アークライトから日本語版として発売されたのはこの第2版となります。
科学雑誌『ネイチャー』にも取り上げられたことがあるらしいです。それだけ科学的に準じているって事ですね。
もともとテーマ的に非常に興味があったのですが、テキストのあるカードゲームなので、購入を長らくためらっていたところ、晴れての完全日本語版としての発売に、大喜びで速攻買いをしました。
(6人プレイまで対応できるというのも重要な購入要因です。最近は4人までのゲームが多すぎて、購入を泣く泣くあきらめるケースが多いのです…)
■基本的なゲーム内容
基本的には《カードゲーム》であり、全17種類129枚の《特徴カード》を組み合わせることで、様々な生態を持つ生物種を作り出していきます。これらが全員を相手にシビアな《生存競争》を繰り広げていき、自分の種がより繁栄したプレイヤーが勝利します。
例えば、亀のような《甲殻》を持ちながら、キリンのように首が長い《長頸》を持ち、さらに猿のように《知能》を持っている、なんて珍妙な生き物が続々誕生するのです。(そもそもここが楽しい)
各プレイヤーは最初に1種類の生物を持った状態からスタートし、《保有している生物種の数+3枚》の特徴カードを持ちます。
面白いのは、必ず1枚は中央へ捨てねばならず、全員が何を出したかでそのターンの餌の数が決まります。(なので、今回どのくらいの餌トークンが場に出るかは、全員の思惑によるのです。この餌が満足に行きわたらないと、個体数が減っていき、ゼロになったら絶滅してしまうので注意が必要です。)
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そして、手番には《好きなだけ》カードをプレイします。
自分の生物種に付ければ、その特徴を持つことになりますし、1枚捨て札にするごとに《個体数》が増えたり、《サイズ》が大きくなったりします。(このように、自分の好きなようにできる、という部分が非常に心地いいのですね。オリジナルの種を育成している感じです。しかも、基本的に不利な条件は無いので、どんな育て方をしてもいいんです。ここ大事です。)
さらには、やはり1枚捨て札にすることで、《新しい種》が1つ誕生したりもします!
まさに自分だけのオリジナル野生王国ができあがるのですね。(非常に心地いい)
みんなでこれを繰り返していきます。
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■弱肉強食の世界
こんな風に書くと、インタラクションの無い平和な動物ゲームのように思われるかもしれませんが、生物の世界はそんなに甘いものじゃありませんでした。
ゲーム中盤頃、状況は一変します。そう、《肉食動物》の登場です!
特徴カードには《捕食》というものがあって、これを付けた動物は次から餌場の植物を食べません。
そうです、他の動物を襲って食べちゃうんですね!
ここから一気に弱肉強食の世界に突入します。
捕食動物は、自分よりサイズの小さい動物を捕食し、そのサイズぶんの餌を食べます。(生きるためには食べなければなりません。襲える餌があるのに「かわいそうだから襲わないね」などという事はあり得ません。シビアです。)
食べられた側はすぐ死亡(除去)してしまうわけではなく、その個体数が1レベル下がってしまいます。(餌不足の場合と同じくゼロになったら絶滅です。)
ここで色々悩みどころというか、様々な戦略が生まれるスタイルなんですね。
《甲殻》をまとえば、サイズが+4あるものとして扱われるので、食べられにくくなるとか、《登攀》を持てば木にのぼれるので襲われなくなるとか(相手も登攀を持っていると襲われちゃいますが)、《知能》があれば、相手の特徴を1つキャンセルできる(これ強いです。やっぱり知能は偉かった!その代わり手札を1枚消費しなければならないので、ちゃんとバランスは取れています。)とか、最強の組み合わせは無いようにできているので、周りの動物の様子をうかがいながら自分の動物の戦略を考えていかなければなりません。
このへんが我々チームには非常にツボでした。(なぜか非常に女子ウケが良かった♪)
「私はね~《穴居》を付けて巣穴で暮らすの♪カメさんみたいな甲羅(《甲殻》のこと)も付けちゃいましょう」
「おー、だいぶ襲われにくくなるなー」
「だって食べられちゃったらかわいそうじゃない」
「じゃあ俺は、サイズを1増やして、個体数も1増やすわ。食われてもすぐには絶滅しないように」
「ううむ、それもいいなあ。どうしようかな。これ組み合わせにすごく悩むな。」
「じゃあね、私はこの子にこれを付けまーす!ついでに《群猟》も付けちゃいます!」
「きゃーー!!ついに来た!肉食動物!」
「いやー!私のを食べないで!」
「いや…この組み合わせだと、捕食できる相手は〇〇ちゃんしかいないんじゃないか?」
「サイズを1上げれば、たとえ食われても《個体数》で残るんじゃない?」
「ううう、どうしよう…。ツノ生やすしかないかな」
「個体数多いから《集衛》を付けて集団で守るって手もあるぞ。」
「だーかーらー手札に来ないのよっ!」
実際にこんな感じでした。
非常に満足感高いです。
山札が尽きるとゲーム終了なので、6人でプレイするとけっこうあっという間に終盤になりますので、途中ダレることも少なく、いい雰囲気でゲームができました。
1ゲームやって40~60分くらいでしょうか?
■余談①
このゲームでは各生物種ごとに、最大で3つの特徴を付けることができるので、例によって組み合わせ(重複は無い)を計算してみると…
特徴0個…1種類
特徴1個…17種類
特徴2個…136種類
特徴3個…680種類
ということで、計834種類の特徴を持つ生物種が作れる計算になります。
(※パッケージには4000種類の生物種が作れるとあります。《順列計算》では確かに4000通りを越えるのですが、このゲームのルールでは特徴を付ける順番が違っていても性質は同じなので《組み合わせ計算》が正しいため、正確には上記の通り834通りが正解です。)
個体数やサイズの違いも、別種ってことなのかな?
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■余談②
このゲームには面白いオマケ(?)として、特徴を2つ選ぶと《名前》が決まる、という一覧表が付いてきます。(今回は日本語版なので《学名》だけではなく《和名》も付けられるようになっています。
《長頸》で《有角》だと、『クビナガツツキ』など、あんまり面白みはないですが、名前が付くとちょっとだけ親近感がわくじゃないですか(笑)
■余談③
英語版では、ポイントとなる獲得した《餌トークン》を非公開で手元に管理するために、ちょっとオシャレでカラフルなな小さい布バッグが付属していたようですが、このアークライト版ではコスト対策なのか、紙製の単なるついたてになっており、ちょっと寂しいですね。
■余談④
各特徴カードの効果を理解するのは非常に重要なので、付属する『手順表&カード効果一覧表』はとても重要です。
しかしなぜか箱には2枚しか入っていません。(これもコスト問題か?)
なので仕方なく、高画質で上質紙にカラーコピーしました。
やっぱり人数分は付けて欲しかったなあ…。