★6(個人的10段階評価)
進むか引くか。酸素の共有というシステムがポイントな佳作小箱ゲーム!
ダイスを振って海底を探検し、ある程度のタイミングでお宝を持ち帰って得点化、最終的に点数が高かった人の勝ち。
ただし当然ながら探検は無尽蔵に出来るわけではなく、全員で共有している「酸素」ゲージが尽きた時点で船まで戻れていなかったプレイヤーは、今回のお宝を落としてしまいます、という話で。
要はチキンレースであり、ボードゲームとしてもままあるシステムです。有名どころだと「インカの黄金」なんかが、一番プレイ感が似ているでしょうか。
個人的に考える今作の白眉は二つ。
一つは、酸素が共有というシステム。他者の抱えている宝物の量によって酸素の減りも変わってくるので、進むか戻るかの駆け引きが、完全に運任せのルールとは少し違ってきています。
そしてもう一つのポイントは、なんといってもこの小箱サイズ。
喩えにインカの黄金を挙げましたが、この遊びをこのサイズで表現出来るなら、それはもうとても優秀と言って差し支えないでしょう。オインクゲームスさんのサイズ感は、やはりとてもいいです。
しかしながら、じゃあこのゲームが「マストバイ!」と胸を張って薦められる程に楽しいのかというと、残念ながらそこまでではないのかな、という印象です。
先程は評価ポイントとして挙げた「酸素ゲージ」による「引き際」の決定ですが、これが運任せすぎない独特なシステムを構築している反面、だからこそ「定石」とも呼べる「引き際」が明確にあり、結果として毎ゲーム似たようなゲーム展開を辿ってしまいがちです。
しかも、運系チキンレースの盛り上がりポイントたる、
「このままじゃ負けるから……今回は思いっきり踏み込むぜ!」
みたいな大胆な動きが、取りづらい。というか、それをやっても基本的には勝ち目が大分薄い(戻れない)。
結果として終始「こじんまり」とした動きを重ねることこそが最適解になってしまい、皮肉なことにチキンレースの醍醐味をかなり損なってしまっている部分があるのです。
かといって、じゃあ「頭脳が勝敗を決する戦略的ゲーム」と呼べるかというと、ダイスや人数による運部分がかなり大きいため、そうとも言い切れず。
結果、なんだか「パーティ系」でも「思考系」でもない、中途半端なゲーム性になってしまっている印象です。
勿論、決して悪いゲームではないです。バランスが取れたゲームとも言えます。これが大好きな方がいたり、評価されること自体に文句は全くないのです。
ですが個人的には、海底探検をするなら、他のゲームをしてしまうかなぁ、という最終評価だったりします。
これはオインクゲームスさんのゲーム全般的に言えることですが、このサイズ感は本当に素晴らしいので、そこが気に入っている方にはオススメです。