「しっかり頭を使う」ゲームの代表格であるライナー・クニツィア氏は、我々のメンバーの中でも信頼が高い1人なので、今回ふとしたことから入手し、そのまま実行へ。
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今回のテーマは競馬!ボードにはマス目でコースが描いてあり、出走馬は色別に7頭。
それぞれ色ごとの名前が付いていて、白なら「スノーホワイト」、黒なら「ブラックストーリーズ」(わかる人にはわかる。笑)、赤なら「レッドカーペット」といった具合。
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すべてスタンドに立てるコミカルな駒になっているので、箱を開けて説明を始めるそばから「きゃー私この馬がいい~♪」と取り合いに。
いやいや待て待て(笑)、そうじゃないから、といったんストップ。
確かにコンポーネントだけ見ると自分の馬をサイコロで走らせて先にゴールした人の勝ち…に見えますよね。
でもこれはクニツィア先生の作品。
そんな単純なすごろく勝負のわけがないじゃありませんか。
馬は誰の担当でもなく、プレイヤーはあくまでも競馬でもうけようと馬に賭ける人の役割なのです。(したがって、ゴールがどうとかではなく、それによる配当金で最もお金を儲けた人の勝ちになるゲームなのです。うん確かに競馬だ。)
じゃあ、馬たちはサイコロでランダムに走る運任せ勝負か?と思うと、これもクニツィア先生、確率論を考えたひねりが加わっており、見事にしっかり考えるゲームとなっています。
各馬カードには4種類のマークが描かれていて(馬、乗馬ヘルメット、ニンジン、蹄鉄)それぞれ進める数が書いてあります。
サイコロにも対応する4種類のマークがあり、出た目によっていくつ進めるかが決まるわけですね。
ここに仕掛けがあります。
サイコロは6面ですが、馬のマークだけが3面に描かれていて、残りはすべて1面ずつ。つまり確率は圧倒的に馬マークが大きいのがわかります。
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それに対し、各馬のデータは、基本的に馬マークでは数マスしか進めず、そのほかのマークが出ると一気に10マスとか進むのです。
このデータのばらけ具合がうまく調整してあり、馬のクセを表現しています。(例えば、1番枠のスノーホワイトは、馬マークでは1とかしか進まないくせにその他のマークを出すと一気に10マス以上走ったりするのに対し、7番枠のオレンジ―ナだと、馬マークでは安定して7進めるのに、他のマークが出ても逆に大したことありません。安定性はあるものの爆発力に欠けるのですね。)
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そして重要なルールは2つ。
①各自が順番にサイコロを振っていくのですが、出た目を見てその時その時に好きな馬を1つ選び、その数字ぶん進ませます。全部の馬がそれぞれ一通り走ったらラウンド更新。
そうなんです、どの目が出るかによって、次にどの馬を走らせるかを考える必要があるのですが、だんだんと選択肢が無くなっていきます。
必ずしも自分の好きな馬がいい目で走れるとは限らないのです。
②馬は同じマスには止まれません。
追い抜くことはできますが、もし止まるはずのマスに他の馬がいたら、必ずその手前で止まらなければなりません。
各プレイヤーはレース前に3頭の馬を選んで賭けますが、互いに同じ馬を選んでも構いません。
その推し馬がそれぞれ異なってくるので、みんな思惑が交錯し、カオスなレースになるのです。
ここが楽しい。
自分の賭けていない馬は小さい目で進ませてしまい、自分の賭けた馬はできるだけ大きく走らせたいわけです。
こうして3着まで配当金がもらえ、これを3レースやって合計金額の大きい者が勝利!となるわけですね。
非常に完成度の高いゲームだと感じました。(同じデザイナーなのでしょう、『ドラゴンの宝石』とよく似たシステムを採用しています。が、圧倒的にこちらのほうがテーマとの合致性は高いですね。)
あえて難点を挙げるなら、やっぱり日本版になって、もとの渋いグラフィックがコミカルになり、重厚さが無くなったこと。
そのコミカルな印象とは裏腹に、すごく頭を使うじっくりゲームなので、みんな「もっとノリで走れるパーティ系だと思った。」と言います。
あまりにみんな考え込むので、大笑いで盛り上がるというより、うめきながら考える時間がかかるゲームになっています。
最初のゲームではインスト抜きで1時間半以上かかってしまいました。
なのであくまでガッツリとクニツィアゲームになっている事を承知でやるなら素晴らしいゲームだと言えるでしょう。
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もう一つ、
やってて思ったこと。
馬の駒はスタンドに立てるのだけど、コースを周回するから、向きによっては色が全然見えなくて、とっさの判断に困る事しばしば。
対処として、白いプラスチックスタンドを塗りました。(^^)
さらに追記
このパッケージには、架空の馬バージョンである『ロイヤルターフ』版の馬カードだけでなく、過去に実在した馬バージョンである『ウィナーズ・サークル』版の馬カードも付属しています。
お好みで好きな方を使えばいいと思いますが、『ロイヤルターフ』版のほうがゲームとしてのバランスは調整されているようです。
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