ワレス顔負けの借金上等のシステム、アクション奪取も可能なダイスプレースメント。最近のぬるま湯の様なゲームの台頭に飽き飽きしている諸兄に打ってつけの作品です。
といっても基本的なパーツは伝統的な様式に則っています。
ダイスをワーカー代わりにアクションスペースに配置し、アクションを実行します。
アクションはリソース獲得、特許カードや人物カードの獲得、各種パラメータの上昇など。
カードやパラメータの内容がリソースや勝利点と細かく絡み合っています。見通しは良いため、初回のゲームでも何をすれば良いのか分からないってことはありません。
大部分が公開情報のため、運要素は少なめですが、カード間のセットコレクションもあり、全くない訳でもありません。
アクションスペースの早取りは、配置したダイス目によります(ダイス目が同じ時は先着順ですが)。
そのダイス目は毎ラウンド初めにプレイヤーが任意に決定出来ます。そしてダイス目の合計分の金を支払わなければなりません。
各プレイヤーのアクションを先読みして、ダイス目を決定するこのプロセスは、最初は相場が分からないものの、2-3ラウンド目以降が読みあいとなります。
このゲームでは金の重要性が非常に高いです。大体のリソースは金で代替出来ます。しかもダイス代を始め、人物カードの維持費や、特別経費?など、出費も多いわけです。そこで借金の出番となるわけですが、この借金はいつでもでき、利息や定期収入からの相殺などはありません。いわばライト感覚な借金なわけです。ワレスの作品は借金前提に作られているものも多いですが、このクリスタルパレスも同様の意図を感じます。
アクションそのもので得られるリソース量はあまり多くはありません。アクションに付随する効果などをうまく利用して、必要なリソースを獲得しましょう。余剰なリソースはあまり発生しないため、このあたりはややパズル的な要素もみることができます。
オーソドックスと言えるワーカープレースメントにハードコアなインタラクションの融合。BGGでのウェイトは3,73ですが、やるべきことの見通しはつきやすいので個人的にはそれよりやや軽めに思えます。とはいえ、勝利点を獲得する手段は多岐に渡り、あるアクションからリソースをとるのか、パラメーターを改善するのか、勝利点を得るのか、よく考えなければなりません。当然カードや評判は勝利点への影響が大きいのでおろそかにはできませんが、ある程度特化する必要もあるでしょう。
最近は西フランクやバラージなど、インタラクションを前面に押し出したワーカープレースメントも見かけるようになりました。クリスタルパレスは知名度ではそれらの作品にはやや劣りますが、ダイス目のプロット、お金のマネージメントの面白さが光っています。2人プレイではカツカツ感もやや和らぎ、違ったプレイ感を堪能できます。機会があればぜひ。
評価7/10 重さ8/10