TRPGの老舗メーカー グループSNEが作成した、6~7人用のマーダーミステリーです。
舞台は17世紀イングランド。白魔法使いが人々を助け、黒魔法使いが人々を呪うのが、当たり前の常識として存在した時代の話。
都で大成功を収めた劇作家が、地元に凱旋して、ネタ発掘を兼ねた口演会を主催する、というので、旅籠に人々が集まっているその裏で、書籍商の死体が発見された。
被害者の足取りが怪しい時間帯は、たったの3時間。その3時間のアリバイが不確かなのは、たったの6人。お互いに治安官に取り調べを受けたくない、後ろ暗い所のある人々は、劇作家を7人目の演者に加えて、独自に犯人を捜し始めた……というストーリーです。
まず印象として、導入の物語・設定書と、とにかく文章が多い。設定書に至っては、小説が始まったのか、と思うぐらいです(見開き2ページではあるのですが)
設定書の裏には、「17世紀のイギリスを舞台とするので、これぐらいの世界背景は知っておくといいかも」と言わんばかりの用語説明もあり、「中世ヨーロッパ」と、ひとまとめにして放り出すことのない「丁寧さ」があります。
ルール的に特殊処理を行う必要のある局面も数あり、総じて、同シリーズの「九頭竜館の殺人」「人狼村の祝祭」辺りのマーダーミステリーをプレイ済でも、面食らうことがあるかもしれません。
得点計算にも仕掛けがあり、設定書の記載を文字通りに受け取っていると、エンディングで「実はその項目は点数にならない」と指摘されるキャラもいます。積極的に自分の疑問点を解消していかなければ、そのことに気付けない仕掛けになっていますので、理不尽と感じると同時に、トリックが凝っているとも言えるでしょう。
ただ、設定書には「きみの行動方針」として、各キャラが、どう立ち回ればいいのかのヒントも記載されており、決して「マーダーミステリー初プレイの人はお断り」というゲームではありません。
GMなしでも充分プレイできますが、文章量・特殊ルールの多いことから、第1・第2調査フェイズの後などで、トイレ休憩や、設定書/ルールブックの再読み込みタイムを数分用意するのがよろしいかと感じます。
プレイヤーは、6~7人のどちらでもプレイできますが、強いて言うならば、劇作家を加えた7人でプレイすることをお勧めします。
文章量や特殊カードが多いだけの没入感は保証できます。プレイ+感想戦で4時間と見て、是非、プレイしてみてください。