簡易版チケットトゥライド。15分前後で手軽にチケライを遊べます。
(非常に私怨が入ったレビューとなります、ご了承下さい。)
個人的にチケライシリーズを過小評価する原因となってしまったゲームです。
ボードゲームにはまり、しばらくした頃、チケットトゥライドシリーズに興味を持ちました。手軽なルールで評価も高く、カタンやカルカソンヌと並ぶ代表的なボードゲーム。拡張やバリエーションが豊富で、どれを買おうか悩んだ時に「チケットトゥライドロンドン」を見つけました。チケライの簡易版で価格が安く、ルールはほとんど本家と同じ。コンポーネントの質も良く、これでチケライを試して、面白かったら本格的にアメリカやヨーロッパにも手を出そう、、、そう思って入手したのですが、失敗でした。
プレイしてみたところ、全然楽しくなかったです。
ルールは簡単ですが単純で単調、運要素が非常に強く、戦略も選択肢もそこまで多くなさそう。淡々とカードを引いて、集まったカードで路線を引くだけ。運良く目当てのカードを引けて、運良く邪魔されずに行き先を繋いだ人が勝つ、そんな印象を受けてしまいました。ゲームがすぐ終わるため行き先カード1枚の点数比率が高く、たまたま自分に合った行き先カードを引ければ良いですが、難しい行き先カードを引けばその失点でほぼ勝負が決まってしまいます。ほとんど運では、、、そんな浅いゲームだと感じました。
チケライ自体がファミリー寄りみたいだし、そんなものか、、、と、シリーズそのものに興味を失い、2年以上本家もスルーしてしまいました。
最近「チケットトゥライドヨーロッパ」をプレイして、チケライシリーズに対する印象は大きく変わりました。面白いです!ルールはロンドンとほとんど同じなのですが、単純にマップが広く複雑になりゲームが長期化しただけでも、ロンドンの不満点が解消されていました。
まず運要素。相変わらずカード運の比率は高いですが、ゲームの長期化→試行回数の増加により、プレイングが結果に反映されやすくなっています。また、行き先カードをたくさん達成する時間があり、カード1枚の点数ウエイトが下がっていることにより、行き先カードはリスクよりリターンの方が上回り、ロンドンより活発に引かれるようになったと思います。地図の複雑化により選択肢は増加していますし、他のプレイヤーの狙いを推測する余裕、妨害からリカバリーする余裕ができたので、戦略性もかなり上がっていると感じました。
簡単なルールでしっかり悩ましく、運要素により幅広いプレイヤーに勝機がある、本家チケライはまさにファミリーゲームの傑作だと思います。
本家をプレイしてから改めてロンドンに戻ると、少し見方が変わりました。ものすごい短時間でチケライの雰囲気、エッセンスを体験できるのは間違いないです。本家チケライファンがプレイすれば十分楽しいゲームだと思います。また、本家チケライすら重いと感じる子供やボードゲーム初心者には良いのではないでしょうか。
コンポーネントの品質は今見ても十分素晴らしく、行き先カードのチケットのようなイラストや得点マーカーのユニオンジャック、パンフレット風の説明書と、随所にこだわりを感じます。この品質でお手頃価格なので、チケライファンなら持っていて損はないです。
ただ、まったくチケライの事を知らないボードゲームオタクがこれからプレイしたら失望する可能性があると思います。やはり簡易版だけあって、ゲームとして物足りなさはありますね。
最初から本家のアメリカやヨーロッパを買っていれば良かった、2年以上もチケライとの出会いが遅くなってしまった、そんな後悔のレビューでした。