今考えると、よくこんなゲームがドイツ年間ゲーム大賞になったな、という。
ちょうど自分がボードゲームにはまり始めたころの作品で、当時は大賞については特に
思うことはなかった記憶があります。
陣取り、アクションポイント、建築、カード運用
といった要素を見事に組み合わせた傑作。
カード関連の部分にランダム要素がありますが、それ以外はアブストラクトもいいところです。
ただ、憎めない形状のコンポーネントや、適当に強弱のあるアクションカードによって
ガチな感じがうまく緩和されているとは感じます。
といっても、本質的には遊びの要素のない、モノクロームなイメージのゲームです。
ルールは複雑ではないものの、ボードゲームに傾倒した人でないとなかなか面白さは
理解できないのじゃないかと思います。それが冒頭での考えにもつながったのですが、
逆に2000年代に入って本当にボードゲームのシステムは多様化したということも
改めて考えさせられました。
アクションポイントはもうほぼ見かけることはないですし、陣取りも明らかに主流の
メカニクスとは言えないものになっています。
そう考えるとトーレスはこの時代だからこそ生まれた、奇跡的な傑作だったような
気がしてなりません。
ダウンタイムの長さはティカルよりは明らかに短くなっており、また、ランダム性を嫌う
のであれば、アクションカードについてヴァリアントルールも用意されています。
相手の設置した建物を利用するため、どうしても先手版が不利となりますが、そのあたりもルール変更による調整も可能。
たびたび再販され、比較的リーズナブルに入手出来ることも嬉しいところです。
今後おそらく新作を目にすることのないシステムを備えた傑作として、その名前は刻まれて
いくに違いありません。