高評価の重ゲー。なんとなく「リスボア」に似ていて、復興、瓦礫の処理、カードマネジメント、半協力要素は同じです。ただ、主メカニクスはタブロービルドで、カードを個人ボードに置いて、「旗」を増やしながらアクションして行きます。
そして、特筆すべきなのは、従来の早取り要素を逆手に取っているようなシステムが隠れていることです。
テーマはエルサレムの復興ですが、
・城門、城壁(灰旗)
・神殿、祭壇(赤旗)
・書記、テント(青旗)
の3つのメインアクションがあります。
10枚の個人デッキの中から4枚を引き、その中から1枚個人ボードに出してアクションし、1枚補充します。これを6枚繰り返したら1ラウンド。全3ラウンドで終了です。カード置き場は3つあり、最初の3周は、基本1枚ずつ重ねずに置き、4〜6周目は、重ねて置きます。3枚重ねられないので、2枚重ねの山が3つになります。
カードには、旗が必ず3つ書かれています。灰灰灰のようなカードであれば建設特化型のカードですし、灰赤青なんていうカードもあります。
アクションは、何色のアクションをするか言うだけです。その時、個人ボードに「見えている全ての」旗を、効果値(AP)とすることができるので、どんどん旗の数は大きくなります。ただし、重ねると、当然ながら下のカードの旗は消えます。
各色の旗のメインアクションは、同時に2つのアクションができると考えてよいです。
灰旗の建設アクションでは、城門や城壁にある1〜3個の瓦礫を撤去します。瓦礫=資源にはランクがあり、黒=1、白・茶=2、黄金=3の灰旗が必要となります。例えば、白と茶の瓦礫が置かれていたら、4灰旗が必要です。
そして、灰旗に余裕がある時は、ついでに城門または城壁の建設もできます。これには、2〜4灰旗必要で、なおかつ、自分のリザーブにある指定の色の資源3つを使わなければなりません。瓦礫の撤去と門壁の建設を一挙に行なえば、撤去した瓦礫をそのまま建設に使うことができます。これが効率的なので、灰旗を大量に増やして「突貫工事」をするのが好手となります。なお、門の建設では終了時4VPと即時ボーナス、壁の建設では終了時2VPと即時ボーナスが貰え、門と隣の壁が繋がると、さらにボーナスが貰えます。
↑ 赤プレイヤーは、今、2つの角門に門番がいて、真ん中の水門(ウォーターゲート)も建設しておきたい。瓦礫(白)の除去で2灰旗、建設に3灰旗、計5灰旗とかなり少なく、突貫工事のチャンスだ。あとは建設に使う資源、茶白白のうち、瓦礫の白石材が1つ重複しているので、茶と白を一つずつ持っていればよい。
青旗のアクションでは、書記の配置とテント移動が行なえます。テント移動は簡単で、市街地にある資源、お金、祝福(祝盃)、祭壇トラック、ワーカー1人増やすなど、ロンデル風な補充ができます。これには2青旗で1マス、4青旗で2マスなど進みます。書記は、最初は3青旗と2金を使って、最下段のエズラ、ネヘミヤ、ゼルバベルの巻物のどれかに置きます。その後、どんどんワーカーに律法を教え、書記を増やしていきます。上の段の巻物に置いていくと、4段目の最上段では、条件付き終了時VPになります。書記を配置するだけでも高さによってVPが貰えますが、コストも高くなり、最上段などは7青旗と2黄金が必要です。
この書記の置き方が特徴的で、「どのプレイヤーの書記を使ってもいいので、必ず最下段から繋がっていれば」置くことができます。その際、通り道で使った書記に対して1金払う(だけ)です。つまり、他プレイヤーの書記を利用して、高い段に配置することが可能になります!
青旗が大量にあれば、書記とテントアクションを好きなように分配できます。
↑ 下から2段目3段目の巻物は永続効果。今、赤プレイヤーは、3段目の永続効果、「安息日の書記へのパン配給免除」という巻物に新しい書記を置いた。コストは6青旗と1黄金、そして、ゼルバベルからスタートして、途中2段目の青プレイヤーに1金を払う。この効果は強いので、即時で−1VPを払うことになっている。この他、2段目にある「安息日前に祭壇トラックが3進む」や「門壁建設時に白資源1つ少なくできる」巻物も強い。
赤旗アクションは、神殿に資源を置いてVPを得るか、祭壇の火に資源を燃やして、祭壇トラックを進めます。
アクションでは、まず、パンを払い、ワーカーを1人神殿に捧げることができます。このワーカーは、ラビとなります。スタート時ラビは1人なので、神殿あるいは祭壇に資源を1つしか投資できません。ラビが2人になると資源を2つ投資できるようになります。神殿では1〜5赤旗につき1つの資源を捧げることができ、白、茶は1VP、黄金は2VP貰えます。黒の燃えかすは使えません。祭壇では、逆に黒の燃えかすと茶の木材だけが投下できます。黒は1赤旗で1マス、茶は3赤旗で2マス、祭壇トラックが進みます。例えば、ラビが2人で6赤旗あれば、茶木材を2つ燃やして4マスも進めるわけです。
祭壇トラックは、ラウンド終了時、トップの人はワーカーを1人貰えます。また、2人の預言者がトラックに存在し、各ラウンド、その預言者との位置関係によって罰符が発生します。
ラウンド終了時は、安息日と呼ばれ、まず使わなかったリザーブのワーカーを、個人ボードの労働タイルと農夫タイルの上に全員置きます。労働タイルでは主に資源を、農夫タイルではパンが貰えます。そして、ラビ以外のワーカー全てにパンを1つずつ配給しなければなりません。できないと1人につき−2VPとなります。
そしてもう一つ面白いのが、場に出した6枚のカードから、第1、3ラウンドは1枚、第2ラウンドは2枚、義務的に得点化して、一つの旗だけを永久に残してお亡くなり?になります。この捨てたカードは、以降のラウンド終了時でも得点化します。ただ、圧縮の意味合いは無くデッキは減り続けるので、どのカードを無くすか悩みます。
なお、書記の巻物の第一歩で貰える3人のヒーローも、これと同じ永久旗1つの効果なので、それほど強力な効果ではありませんが、ミニボーナスが付いています。
最後に、追加アクションを。カード下部には、追加アクション(交易)が書かれていて、メインアクションの前後に行なうことができます。
また、手番に1回ずつ、商人タイルと長老タイルにワーカーを置き、アクションのための資源や任意の旗を追加することができます。
また、カードの追加アクションをする代わりに、個人ボードの各種タイルを裏返し、アップグレードすることもできます。これらは終了時2VPとなります。
↑ 個人ボード。今、青プレイヤーも、石工(mason)を置いて、灰旗の建設アクションを選択。灰旗の数は、2人のカードから5灰旗、ボード外のネヘミヤから1灰旗、そして右上の長老タイルにワーカーを置いて3灰旗、計9灰旗でアクションできる。ただし、長老は、ラウンド終了時までこのまま。また、左上の衛兵タイル上の資源は満杯。アップグレードすれば制限が無くなる。なお、茶色の木材が4個あるので、追加アクションで、その下にある労働者タイルをアップグレードすることができる。ただ、茶木材は、祭壇での投下用に使いたい意味もある。黄金も、長老タイルのアップグレードに使うより、神殿で使いたい(1つ2VP)意味もある。
考察
◾️小さいVPをコツコツ積み重ねていくタイプのゲームなのだが、差が開くとすれば、最上段の巻物VP、捨てカードの累積VP、神殿VPか。
◾️その点、城門の4VPはコスパが良い。序盤はまず、この城門を狙いに行きたい。ただし、灰旗が足りず、瓦礫の撤去だけでアクションを終えてしまうと、他プレイヤーは、建設だけで済む。瓦礫の除去だけでも、祝盃ボーナスは貰えるのだが、できれば突貫工事で建てたい。
◾️壁の場合は、処理する瓦礫の種類と建設に必要な種類が多く被っている壁を狙いたい。事前準備する資源が少なくて済む。
◾️壁とは違って、門を建てると、必ずそこへワーカーを門番として置かなければならない。これはラビ、書記と同様、リザーブに永久に戻って来ないので、ワーカーが減ってしまう。なお、商人と長老、労働者と農夫は個人ボード内なのでラウンド終了時リザーブに戻る。
◾️個人ボードの商人、長老、労働者、農夫各タイルよりも一番にアップグレードしたいのは資源置き場の衛兵タイル。このタイルを裏返すと、資源の保管制限がなくなるので、急ぎたい。コストは6〜8金なので、お金を貯めたい。
◾️ワーカーを増やしたいのだが、このゲーム、食糧不足に陥り易い。書記の食糧軽減効果が一つあると楽だ。
アクションはたった3種類ですが、頭が混乱するので、想像以上に難しい。とにかくタブロービルドを上手くやっていくのが一番ですが、何からアクションしていくかというのも悩ましいところ。しかし、序盤狙い易いのは、城門の建設です。となると、灰旗なのですが、だからと言って、初手、灰旗2〜3個のカードをプレイしたところで、瓦礫の処理だけで終わり、門の建設はできません。大量の灰旗アクションをするには、全く逆で、「ラウンド後半、タブローが構築された時」旗は多くなります。なので、狙いたいアクションこそ、後半にやるべきなのです…
このタブローといい、書記の配置といい、後からアクションすると得になるという、面白い試みのゲームとも言えます。
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