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一応、キングダムは好きで、漫画も何周もするくらいのファンの評価。
パッと見、「将棋」というイメージを彷彿(自分もプレイするまでそうだったし、実際やってみて似ているゲームは何かといえば、将棋と答えると思う)させるが、プレイ感はかなり違うゲーム。
コマは3種類なので、将棋よりもルールは簡単に見えるが、地味に細かいルールがちょこちょこあって、誰でもできる簡単ゲームとまでは、いかない気はする。(将棋はコマの動きの種類は多いが、根本的なルールは少ないので、どちらかといえば、将棋の方がルール的にはシンプルだと思う)
将棋は運要素が0のアブストラクトなので、戦略がものを言うが、このゲームは作戦カードや大将による特殊能力を使った攻撃が可能なので、いきなり急展開になることも多く、気づいたら不利になったり、最悪詰みになってしまっていたりする(笑)
ここらへんを許容できるかどうかでこのゲームの評価は変わると思う。
キングダムファンであれば「これは自分の作戦が決まったから相手を追い詰めた!」とか「いきなりの奇襲で攻撃されると、攻撃された側はすぐに対応できないあたふた感がうまく演出されている!」など、再現性に魅力を感じると思うが、キングダムファンでないボードゲームファンであれば「作戦カードや特殊能力のゴリ押しに対して、受け手の対応が間に合わない絶望感」を感じる人がたぶん多いのではないだろうか。
面白い(というか、よく再現されている)のが、コマは進むと向きが変えられるが、懐(横や後ろ)に入られると、攻撃をこちらからできないばかりか、士気(攻撃力UP)の補正が入るので、やられた側が蹂躙される点。
ここらへんはキングダムを知っている人であれば、「作戦によって、横や後ろから攻撃されて、為す術もなく、ひたすら蹂躙されるシーン」はよくあるのだが、これに対して「おお!再現されてる!」よりも「えええ・・・これ対応しようがないじゃん・・・」のテンション下がる方の気持ちが個人的には強かったかな・・・。
これが将棋のように平等に手番を繰り返してなら、まだ納得いくのだが、特殊能力や作戦カードを爆発させて、1手番でいきなりこういうことされるもんだから、攻撃された側は「なんじゃそりゃ」とか「こんなの効果の運ゲーじゃん」とか思うのも無理ないし、攻撃側も「なんか、ずるしてるみたいで少し申し訳ないな・・・」とうっすら罪悪感を感じてしまうレベル。(まぁ、キングダムの世界では相手をやらなきゃ自分がやられるからこういうケースはむしろ強気でいけー!となるのはそうなのだろうが・・・、現代人がやるとそのギャップ感が出てしまっているんだろうか)
再現性という意味では、よくできてるし、GPさんが制作に関わっているので、作戦カードもバトルラインのルールを参考(作戦カードは相手より2枚以上多くプレイできない)にした縛りなども入っており、ボードゲーム感もあるが、やはり結局は特殊能力と作戦カードによる比重がでかい(そうしないとかなり地味めなゲームになるから仕方ないのだろうが)。
と、若干ネガティブよりに書いてしまったが、ただ将棋にキャラクターをのっけたゲームではなく、しっかりオリジナリティがあるという意味ではいい作品。ただ、キングダムファンではないボードゲーマー同士で遊ぶと「なんだかなぁ・・・」と思う可能性が若干あるかなと思うので、キングダムファン同士の知り合いや友人で遊ぶとより満足できるゲームだと思う。
キングダムのキャラゲーではないという言い方も間違ってはいないと思うが、再現性が高いこともあいまって、遊ぶならキングダムファン同士でかつお互いにバチバチ殴り合っても全然問題ない友人関係で遊ぶのがおすすめなのは間違いない。
評価的には、ゲームシステムだけでみれば、評価5、キングダムファンなので+1とした(今回、キングダムファン同士ではなく、ボードゲーマー同士で遊んだこともあると思う)。
何度もいうが、非常に再現性は高いので、キングダムファンなら、やっておきたい作品。
ボードゲーマーからしても、新しい要素が入っているのでやる価値は一応あるが、だいたいそういう目的でやる人は直接攻撃が嫌いだろうし、2人だから仕方なく攻撃しちゃうから問題ないと思ってやっても、能力が派手でえげつないので申し訳なくなる可能性がある(特に相手の兵コマを大量に吹き飛ばす「火計」や本陣の場所をワープできる「脱出」あたりは初プレイでは一応確認したほうがいいと思う)ことを理解してからプレイすると良いかも。