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■個人的な評価
・09/10
■概要
・基本セットがないと遊べない拡張
・新カードと7人プレイまでのキューブ追加
・ゲームのルールは基本セットから変更なし
■体験プレイ人数、回数
・2人、10回くらい
■良いところ
・勝利点取得のバリエーションが増えた
→いわゆる「勝ち筋が増えた」ということです。基本セットの勝利点取得方法は3パターンでしたが、そこからのバリエーションが増えました。
追加されたカードは4種類あります。特定の資源の産出を減らすが建設コストが安いカード、建設コストは高いが勝利点の多いカード、2つの属性のカードのペアを建設した数に応じて勝利点を得られるカード、大量生産カードです。
勝利点取得の基本的な考え方は基本セットの3パターンなのですが、それに拡張のどの要素を取り入れて更に得点を伸ばしていくのかということを考えるのが楽しいです。
基本セットの遊び方の延長線上にあって分かりやすく、非常に良い拡張だと思います。ルールの変更や追加なしにカードのバリエーションによって遊びの幅が増えて、より面白いゲームになってます。
・基本セットとカード背面の絵が異なる
→拡張のカードは背面の絵が異なります。私はこういう拡張を見るのは初めてです。各プレイヤーに配布されるカードは「基本カードは○枚、拡張カードは○枚」というルールなので、ひとクセある拡張カードばかりが手札に片寄って困るということがありません。
こんなゲームバランスの取り方もあるんだと、個人的にはすごく新鮮でした。
・『戦争か平和か』でも使える
→説明書にも書いてあるのですが、キャンペーン用の拡張セット『戦争か平和か』でも『荒廃と隆盛』の拡張カードを使用して遊ぶことが出来ます。
■気になったところ
・得点計算ボード
→ホワイトボードみたいに水性ペンで書いたり消したり出来る得点計算ボードが同梱されてます。ペンも同梱されてます。得点計算用の用紙がついているゲームはよくありますが、ボードは初めて見ました。ちなみに基本セットは得点計算用の用紙がついてました。
画期的だなとは思いましたが、自分は貧乏性なのか、得点計算用の用紙ですらもったいなくて裏紙やノートなどで代用してしまう人間なので、このボードは全く使ってません。汚れるのが何か嫌なんですね。
これを同梱するくらいなら、カードの枚数を増やすか、価格を下げるかしてくれたほうが良かったなと思います。でもまあ、自分で言うのも何ですが、ちょっとケチくさいですね。同じようなことを思う人は少数派かもしれません。
■総括
非常に良い拡張だと思います。基本セットが気に入った人にはオススメです。
個人的には『戦争か平和か』は遊びの幅が広がる拡張ではなかったので、こちらの拡張のほうがオススメです。
IWW拡張 荒廃と隆盛 紹介
記事構成は以下の通りです。
1、ゲーム紹介<テーマ><ルール>
2、ゲーム評価<3項目><総括>
1、ゲーム紹介
1~7人 45分 14歳以上 作者:Frédéric Guérard
ドラフト、拡大再生産、リソースマネジメント
<テーマ>
基本セット(https://note.com/issei2826/n/n364bc8e6c001)と同様の世界観で、世界大戦が終結した後の近未来で7つの帝国が他国に先駆けて自分の帝国を拡大することを目的としている。
<ルール>
基本セットとゲームの流れは全く同じである。内容物とともにルールの変更を紹介していく。
追加カード。これが本作の要で、新たに4つのタイプが登場した。
まずは荒廃カード。構築コストは安いが生産資源を減少させてしまうデメリット付きのカードだ。このタイプのカードは資源が揃ったらすぐに構築していた基本セットまでのプレイに変化をもたらしている。これはパッと見ただけでは想像できない。説明すると、生産数を減少させる資源の生産が終わった後に構築を完了させることでそのラウンドのみだが、生産減少のデメリットを防げるのだ。わずかな差かもしれないが、この違いはゲームプレイに大きな変化をもたらす。プレイヤーによってはもう構築できる状態なのに構築完了をさせない場面も生まれてくるだろう。
続いて大量生産カード。本作で登場するこれらのカードや上記の荒廃カードの産出資源の種類に多様性が生まれた。白→黒→青、白→黄、白→緑といったような基本セットでのオーソドックスな発展の流れを大きく変えるものが多い。新たな戦略が生まれてくるだろう。
ここからは高得点カードの紹介になる。まずはペアコンボカード。ある2種類の組み合わせ1組ごとに勝利点を獲得できる。特化できれば爆発力のある得点カードだ。
そしてもう1つが巨大プロジェクトカードだ。大量の資源が必要になるものの、25点という勝利点は1枚で勝負が決まるような決定力を持ち合わせている。
では、これらのカードはどのようにしてプレイするのかというと、背面が異なるイラストになっていることからもわかる通り、基本セットのカードと混ぜるわけではない。
人数によって決められたカード枚数を基本セットと本作のカードデッキからそれぞれ配ることで均等にカードが配られる仕様になっている(画像は4人プレイを想定した枚数)。
相対的に基本セットのカードも配る枚数が減ったのでプレイ人数の受け口も広がった。2枚の新たな帝国カードが追加されたので、最大7人でのプレイが可能になった。ドラフトゲームは人数が多いほど楽しめるのでぜひ最大人数でプレイしたい。
ソロプレイのルールも少しだけ変更されている。最初に5枚の山札を8束作るのだが、構成が基本3枚+拡張2枚となっている。手札入れ替えの際には任意の2枚を捨て札にして「基本セットの山札から5枚見て1枚手札に加える」か「拡張セットの山札から3枚見て1枚手札に加える」かを選択するようになった。
ソロプレイのシナリオも6本入っているのでじっくり楽しむことも可能になっている。
2、ゲーム評価
①ゲームバランスが向上した
基本セットのみでは配られたカードに偏りがある(序盤に勝利点系ばかりor終盤に生産系ばかり)場面が見受けられることもあったが、本作を混ぜる(しかも均等に)ことで4ラウンドの流れがスムーズになりやすくなった。
②上方修正されたカード群
高得点カードの追加によってゲームごとの平均点は上昇する傾向にある。カードゲームにおいては拡張が出れば出るほどカード効果がインフレするが、本作もその傾向からは外れていない。ただし、高得点カードは構築が困難なため基本セットのカードが蔑ろにされることはない。その点もゲームバランスが丁寧に考えられているといえるだろう。
③世界観の振れ幅が大きい
これはゲームシステムではなくフレーバーについてである。カード名には「略奪団」や「無法地帯」といった荒廃した要素もあるが「大陸間ネットワーク」や「惑星資料庫」という隆盛を表すものがある。この辺りは世界観としても理解できるのだが、他にも「ヴァルハラ」や「ハイパーボリア」といった神話・SF要素のあるカードも登場している。基本セットでも存在はしていたが、現実的な世界観とSF的な世界観が盛り沢山になっていて世界観のイメージが追いつかないときもある。
<総括>
新定番のドラフトゲームとして定着しつつあるIt's a wonderful world。拡張の荒廃と隆盛はルールを複雑にすることは一切なく、ゲームバランスが良くなり、より戦略の幅を広げている。そのため基本セットをプレイ済みで好みな人には手放しでおススメできる作品になっている。多人数プレイも可能になり、それでいてドラフトゲームの特徴であるプレイ時間がほとんど変わらないという利点もあるのでオープン会などで活躍する機会が増える良作だ。
筆者は気軽に出しやすいように「戦争か平和か」と「荒廃と隆盛」のカードだけを基本セットの箱にまとめて入れてしまっている。
※この記事は筆者自身のnoteの記事(https://note.com/issei2826/n/ne6bb477867fa)を転載したものである。