コンポーネントやカードの量に比べ、プレイ感覚は非常にシンプルなカードドラフトゲームです。
やることはカードを一枚取る、場に出す(プレイ)プレイヤーボードに置いておく(キープ)のふたつだけですし、カードの効果も複雑なものは殆どなく、解釈に悩むようなこともほぼないでしょう。
余談のような話になりますが、マジック・ザ・ギャザリングに触れたことがあるならルール概要の把握が楽です(笑)
土地をプレイしてマナを生み出してクリーチャー(このゲームでは「モンスター」ですが)を召喚する、といった具合に。他にプレイすることで場に永続的な効果を与えるスタッフがありますが、こちらは例えるならアーティファクトでしょうか。他のカードゲームに触れた経験があればあまり戸惑うことなくプレイできると思います。
特徴的なのはお金周りのシステムでしょうか。手元に来たカードはいらないカードであっても必ずキープしなければいけません。そしてキープしたカードには1クラウン(ゲーム内硬貨)を払う必要があるのです。
さらに召喚したモンスターによっては危険度が設定され、それを超えると暴れだしてプレイヤーに損害を与え、所持金を減らすものも存在します。
プレイヤーの所持金はゲーム開始時に4金がもらえるだけで、お金を稼ぐ手段は結構限られます。結果無一文となれば即破産・・・ではなく借金となるわけですが、一回の借金では3金もらえるかわりに最終的に勝利点が-5点されます。
この5点はかなり大きく感じますが、大型のモンスターは一体で10点以上の勝利点を持っていたり、達成することで勝利点になる個人目標カードの中にはかなり大幅に点を稼げるものもあったりするので意外となんとかなったりします。むしろ一回二回の借金は折り込み済みのゲームデザインなんじゃないでしょうか。
ただ、良くも悪くもカード運に大きく左右される、というか殆どそれが全てといえるゲームなのでいらないカードばかり押し付けられてひたすら借金だけが膨らんでいく・・・ということもあり得るかもしれません。
とにかく見た目に反してシンプルにカードドラフトを楽しめるゲームなのですが、モンスターの勝利点が16点とか端数が多く、ラストの勝利点計算がちょっと面倒でした。ここはもうちょっときりのいい数字にしてほしかったところですね。
まとめるとルールの把握が容易で煩雑な処理に悩まされることなく、カードドラフトのみに頭を悩ませることのできるゲームです。カードイラストはかわいい、とは言い難いですが非常に美しく、海外ハイファンタジーのテイストが好きな方には特にオススメできるものでしょう。個人的には買ってよかったと言い切れるゲームでした。