ズーロレットでお馴染み、シンプルで奥深いゲームデザインに定評のあるミハエル・シャハト氏の作品。北欧〜バルト海沿岸地域にかつて存在したハンザ同盟がモチーフ。
プレイヤー達は同じ船に乗る商人として訪れる土地で商売をし、その成果により勝敗が決まる。
●コンポーネント
コンポーネントはシンプルで、メインボードと各プレイヤーの荷物置き場、それに現在地を示す船のコマがひとつと、各プレイヤーカラーの商店を表す木製ディスクが各色15個ずつに、獲得を争う商品チップとお金のみという構成。
箱のサイズもメインボード収納のため縦横の長さはそこそこあるが、その他のコンポーネントの少なさのため厚みは薄く場所は取らない。
プレイヤー達の冒険の舞台となるメインボードは現実に忠実な地形や位置関係が描かれた、美しいアートワークの地図となっている。
商品は全て抽象化され色別の商品チップに木樽として描かれているため見栄えはしないが、得点計算時には非常にわかりやすい。
必要最低限の構成であり地味なコンポーネントだが、きっちりと世界観を表現し雰囲気を高めており、価格とのバランスを考えると高く評価しても良いだろう。
●ゲーム性
ルールは至ってシンプル。一つの都市では一つのアクションしかできず、別の都市へ移動すればそこではまたアクションを行うことができる。アクションは商品を買うか、売るか、その都市に商店を建てるか、の三種のみ。また、得点計算もシンプルで、商品チップ1枚1点、売却した商品チップは描かれている樽の数だけ更に得点が入り、商店のある都市ごとに2点が貰える、というもの。
しかしゲームは地味ながらも駆け引きの要素が多く非常に面白い。商品の補充のタイミングも重要であり、また商品は売却すると得点になる他に商店を建てる際のリソースとしても必要なので、得点化するのかリソースとして使うのかが悩ましい。他プレイヤーが売却した色の商品チップを強制的に捨てさせられるという謎ルールもあり、シンプルながらも一筋縄ではいかない、なかなか手強いゲームだ。
●プレイ感
総じて面白いと言えるゲームではあるが、フレイバーと役割が一致していないため直感的にプレイできず、行動の理由付けが弱いのが大きな弱点と言える。
例えばお金はこのゲームではお金の役割を果たしていない。商店を建設する際に必要になるのはお金ではなく商品だし、商品を売ってもお金は入ってこない。単純に1金は1アクションポイントでありそれ以上でもそれ以下でもない。また商品を売ると何故か自分の店が潰れていくし、誰かが売った商品チップと同じ色のチップを捨てさせられるのも謎である。
この辺りはもうちょっと上手くまとめることが出来たのではないだろうか。
とは言えダウンタイムも短めで展開も早く、考える要素もいくつかあるもののそれほど複雑に入り組んでいないため、サッパリかつガッツリと楽しめる、豚しゃぶサラダのような作品である。
リプレイ性は低くはないが高くもない。ゲームが終わった後もう一度やろう!とはならないが日を改めるとまたやりたくなる、そんなゲームだ。