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2024年アークライトゲーム賞ノミネート作品。フォアシュピアクション2024春ランキング1位。
このゲーム、10歳の女の子がデザイン(前作のピスタチオを使ったゲームでも注目されていた)したこともあって、かなり話題になったアクション+セットコレクションゲーム。
某動物園ゲームのレビューのときと同じく、とある桃鉄に関する記事で、大手ゲーム会社の社員が小学生のプレゼンに対して「子供扱いしない」と明言していたので、あえて、このゲームをその観点でレビューしようと思う。
まず、他のレビューでもあるが、「将棋崩し」という古のゲームをベースにして現代にブラッシュアップされたゲームは、おそらく過去になかったので、その点は素晴らしい。
将棋崩しはただ、とったコマが得点になるが、このゲームは、ミープルの色をうまく揃えないと得点にならず、さらにとる順番も重要になってくるため、インディーズでよくありそうな「ミープルを使って将棋崩しをやってみました〜(笑)」ではなく、ちゃんとゲーム性を考慮されてデザインしているのも素晴らしい。
ルールブックも読みやすいし、特に感動したのが、ゲームの終了条件。
このゲーム、誰かが8個のミープルを集めたら終了なのだが、各プレイヤーは1回だけ2連続アクションができるトークンを持っており、これを使って「別に得点にならないけど、即ゲーム終了させて逃げ切る」という、ゲーマーなら思いつくような戦法があるが、その戦法が「最後の1個のみ、得点になるコマしか取ることができない」というルールのため、適当に取って、終わらせることができない。
この地味だが、ちゃんと配慮されているポイントが、このゲームのデベロップをいかにがんばっているかが伝わってくる。なんか、いやに2連続アクションの細かいルール多いな〜と思ったら、やってみると、なるほどと思わせてくれるくらい、よくできてる。
他にもプールやら、2回同じ得点はとれないやら、いろいろとよくデベロップしている点はあるが、他の人もレビューしてるとことかぶるので、割愛する。
とまぁ、褒めてきたのだが、気になるところもある。
例えば、将棋崩しは、成功すれば、何回でも手番を行えるが、このゲームは成功しようが、失敗しようが、1回しかアクションができない。
それでいて、音を出してしまうと自分の最後にとったコマをプールに移動させなければならない。
つまり、こういうアクションゲームが苦手な人は、一生ミープルが自分の前にたまらなかったりする(笑)
というか、自分はアクションゲームは、結構得意な方だと思うのだが、このゲーム、ミープルの位置によっては、どれとっても無理ゲーだったりするので、とるたびに音を出して、久々にダントツの0点ビリを記録したw
まぁ、将棋崩しというゲーム上、前のプレイヤーがミスることによって、次のプレイヤーの恩恵がでかいため、差がかなりつきやすく、勝者と敗者の差がめちゃくちゃついてしまうのは、しょうがないのかもしれんけど、もう少し、弱者救済があったら、よかったかなーとは思った。
まぁ、これは、ゲームバランスのデベロップを考慮した結果、このルールになったのだろうし、そもそも、将棋崩しと安易に考えて、最初の準備で転がったコマを無理矢理上に乗せまくって、ハードモードにしてしまったのが原因かも。なので、箱でジャラっと出して、1個になったコマがあっても、そのまま続けた方がいいかもね(よくよく読めば、すべてのミープルが重なっていない場合、箱に入れて山を作り直しとあるから、逆に言えば、1つでも重なっていれば、他の1個になっているミープルは、そのままゲーム続けて良いってことになるし)。
あとは、タイトルがなぜ「大行列」なのか気になったくらい(ミープルのコマと「大」をあわせたかった?)かな。
話題になってたものの見た目とタイトルで、そこまで興味持ててなかったので、今回のノミネートでやった感じ。
と、まとめてみたら、「10歳の少女がデザインした」というのを除いても、そんじょそこらのインディーズゲームを遥かに凌駕するクオリティで驚いた。
同じくらいの年の子がつくった動物園ゲーム(レビューはこちら→https://bodoge.hoobby.net/games/takumi-zoo/reviews/45517)では、正直、UIやらルールブックやら気になる点も多く、明らかにボードゲーマーじゃない人向けのゲームと感じたが、このゲームは違う。ゲーマーもライト層も楽しめるゲームに仕上がっている。
最初は正直、10歳の女の子が会場にいて、アンケートのお願いされたら、そりゃ上位とるよなとか思ってたが、そんなレベルではないゲームで、全然思い違いだった。
ちゃんと実力で結果を掴みとってるし、ゲームの発想も斬新で面白いし、ルールブックもデベロップもちゃんとしてる素晴らしい作品。これは、ボードゲーマーの間でも話題になるのも納得。
個人的には、ゲーム的には弱者救済のなさがショックすぎて、評価5だが、今後が楽しみなデザイナーとしての期待も込めて+1としておく。