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2018年エキスパートゲーム大賞ノミネート作品(2018/5/15追記)
アズールのデザイナーが2017年に出した4作品のうちの1つ。
王道ゲームシステムの融合体の優等生。
具体的にいうと、ツタンカーメンとかテーベの東とかパッチワークのように後手番から手番を始めるシステムに始まり、カッラーラの宮殿などに見られる各プレイヤーが一度だけ発動できる得点計算システム、そして頭脳絶好調のような全ての資源の得点の平均値を高くしなければ高得点をとれないタイプのシステムが見事なバランスで融合している。
いわゆる重ゲーなので、個人的に重ゲーが好きではないのでちょっとシビアな評価にはなってしまうのだが、このゲームは、やってみると細かいルールは多いもの、大枠はシンプルで、見た目以上よりかは、ルールは複雑ではなかった印象。
ただ、戦略的にはかなりずっしりとしていて、その点でいえば、重ゲー。
理由は2つあって、まず、お金がカツカツ。このゲームでは、資源を個人ボードにおいていくのだが、そのときにお金がかかり、しかも置き場所によっては、価格が倍になる。
さらにお金を稼ぐには、個人ボードにうまく資源が置かれていないと補充することができず、置く場所をミスると、なかなか立ち戻ることが難しい。
その証拠に途中で、特典カードを捨てることで、お金に変換できるようになっており、これはなかなか見かけないため、いかにこのゲームがお金に苦しむことになるかを物語っている。
もう1つが、得点計算をする場所の少なさとタイミングのジレンマ。このゲームでは、基本的にパッチワークのように進んでいくのだが、先に入られてしまうと、後からその場所の恩恵を受けることはできない。なのに、1周の間に得点計算ができる場所は5個しかない。
よって、最終ラウンドはあっという間に得点計算できる場所が埋まってしまい、せっかく準備したのにおじゃんということも多々ある。
じゃあ、先にやってしまえばいいじゃんということなのだが、得点計算はそれぞれ1回しかできない(例えば、水の得点計算を1度してしまったらもう水の得点計算は使えない)ので、早めにやりすぎると後半できなくなってしまうというジレンマもある。
これにより、いつどこで得点計算を発生するかが悩ましく、さらにお金がカツカツという状況が拍車をかけて、ひどいときには得点が10点いかないという悲惨なプレイヤーを生み出すことにもつながっている。
だが、それをふまえても、王道なシステムを素晴らしいバランスでまとめており、そのプレイ感は新鮮そのもの。たしかにキツイのだが、流れはシンプルで面白く、そういう点も好きなので、この評価としておく。
今は、最近のゲームにも関わらず、プレミアがついていて簡単に手に入らないのが残念ではあるが、プレミアがつくのも納得がいくボードゲーム。
ただ、最初は何が重要なのかがわかりづらいところも多く、めっちゃがんばったのに0点ということもザラなところもあって、初見殺し的な部分はあるため、経験者と初プレイの人がやると勝つのはかなり難しいと思うし、そういう意味では、かなり人を選ぶゲームではある。
そこらへんを許容できるゲーマーであれば、ぜひ遊んでほしいゲームではあるが、こんなにがんばって全然点がとれなかった(泣)というのが耐えられない人にはキツイかも。
それをふまえてもう1回!という人には向いているゲームかな。
※ちなみに自分はノンリプレイヤー(同じゲームをしない)だが、珍しくもう1回やりたいと感じた。
あと、3人プレイはやめたほうがいい。このゲームで重要な修道士というのがいるが、これが中途半端なバランスになってしまうのと、正直、4ラウンドしかなく、とにかく短いので、消化不良を起こす可能性あり。個人的には、4人で6ラウンドの方がとても楽しめた(Geekでも2人か4人プレイを推奨)。