いやー、割れましたね。
何がってこのゲームに対する評価がです。好意的なレビューもあれば、全く受け付けない
という意見もあります。
しかしメーカーの説明文にも書いてあります。
フェルトファン必携の秀作であると。
ではフェルトファンじゃないと楽しめないのか?
結論から言うと、個人的には結構気に入ってしまいました。リプレイ性も高く、適度なプ
レイヤー間のインタラクションもある、考えどころの多い良ゲームであると思いました。
といっても、実際は万人受けするものではないでしょう。様々な要素が長所であり、裏
返せばそれがまた短所でもあるともいえます。
進行の概要については、15-20分程度で内容をひととおり解説している良い動画が公
開されているためここでは割愛し、いくつかの特徴をあげていきたいと思います。
〇勝利点の獲得方法がみえずらい
勝利点の計算自体もやや煩雑なのですが、さらに、勝利点を得るための手順がどれも
2-3重の階層構造となっているため輪をかけて難しく感じます。
例えば同じフェルト氏で人気作のTRAJANなどは、アクションはマンカラを使用し初見殺
し的な感じがしますが、得点は、タイルのセットコレクションやワーカーの配置個数が主
体となっていて理解しやすかったものです。
フォルムトラヤヌムでは、「このタイルをとれば〇〇点」みたいなのはなく、複数の個所
を参照して勝利点を算出するパターンが多いです。
Aの部分から得点要素を抽出してBの分ブーストする、とか、Cの配列からDの内容に従っ
て勝利点を計算する、とか、そんなのばかりです。
本作は、16ページあるマニュアルのうち、4ページが得点計算に割かれています。1ゲ
ーム中には3回の得点計算フェイズがあり、フェイズにより得点獲得の比重が異なる要素
もあります。
見通しが悪いといえばそれまでですが、逆に何回かプレイすれば見えてくるものがある、
そういった深みを感じさせてくれることも確かです。
〇手番での選択肢が少ない
いや、実際には結構多くの判断が求められるのですが。
2つだけ入口があり、その先が網の目のように分岐している・・・そしてその分岐の
先まで見越してどちらの入り口にするか選択しなければならない・・・・
ある程度直感ですすめていくことも可能ですが、この部分を楽しめるかどうかということ
ですね。
手番での選択肢もすくないのですが、このゲーム、手番のトータル数も少ないんです。
まぁフェルトですね。
それなのに、
〇要素てんこもり
エリアマジョリティ、タイルプレースメント、ドラフト、リソースマネージメントな
どをメインとして様々なメカニクスが融合しています。
システム的にてんこ盛りですが、ゲーム内の要素もてんこ盛りで、勝利点獲得に関する要
素も多いです。プレイ中は勝利点獲得の方法から逆算して行動を決定していく、という思
考過程となってしまうこともあります。
この複雑さからでてくる問題として、
〇テーマ性が微妙
ローマのトラヤヌス帝がフォルムトラヤヌムを建設する、というテーマはしっかりある
ものの、1つ1つのアクションが何を意味しているのかよくわからないです。また、ゲーム
中はそんなこと楽しんでいる余裕もない、という感じもします。
人によっては勝利点を稼ぐための単なる作業の繰り返しに思えてしまうかもしれません。
〇コンポーネントは良いと思う
2020年1月現在、かなり国内での流通価格は落ちている状況ですが、コンポーネン
トについてはもともとの価格なりの内容はあります。
自分はこのゲームを廉価で購入しているのですが、 内容を考えるとむしろ価格の下落は
少し残念な感じがします。
というわけで、結局、どんな人に勧められるのか?というと、
先に述べた、「15-20分くらいの紹介動画をみて面白そうと思った人」って
ことに(元も子もありませんが)なるんでしょうか。
自分も、めんどくさそうだけど面白そう!と購入しましたが、思った通りの楽しさを感じ
ることができました。
フェルト氏の十八番のカツカツ感や不条理な減点などはあまりなく、リソースの変換など
もあるため、やや緩めのプレイ感です。しかし手番は少なく、いろんな要素をしっかり吟
味して選択していかないと思うように点数が伸びないです。基本的にはいくつかある勝利
点獲得手段のうちから特化する必要があるようです。
なのですが、ラウンド初めの、カードを2枚公開して、裏向きのタイルを2つ選択する、
その2つのうち1つをドラフトする、という部分はランダム要素が絡んできます。
そのため、何に特化するかについて決め打ちするのは、ややできにくくなっています。結
構このあたりのバランスも好きなところです。
冒頭でフェルト氏必携の・・・といいましたが、一見無味乾燥気味ともとらえられかねな
い内容を受け止めることができ、また、要素の多いゲームを楽しめるのであれば、いまま
でフェルト氏が合わないという方にもいけるのではないかと思います。
決して派手さはありませんが、するめ系のいぶし銀ゲームとして好事家にはたまらないの
ではないでしょうか。←いい意味でです
あとは相手をしてくれる人を探すのが大変かもしれません・・・・
何回か繰り返して遊んでこその作品なだけに、むしろここに(いかに上手く説明できるか
という)実力が求められるのでしょうか
オンラインでできるようになるとうれしいのですが。
PS 2020年4月 無料オンラインサイトyucataでプレイ可能となっています!