- 1人~6人
- 45分~90分
- 13歳~
- 2013年~
ワイナリーの四季drillさんのレビュー
【まえがき】
2013年にStonemaier Gamesから初版が発売され、翌年拡張とともに第2版が発売、2015年に拡張の1部を含めたエッセンシャルエディションとして、Viticultue Essential Editionが発売されました。そして2017年には国内メーカーから日本語版が発売され、現在日本語版が国内流通しています。拡張も1部抜粋したTuscany Essential Editionが発売されており、日本語版も予定されています。
プレイヤーはワイン農家経営者となり、自分の農場の設備を整え、ぶどうの樹を植え、そして収穫・醸造を通してワインを作り、出荷することで点数獲得を目指します。他のゲームと大きく異なるのは特殊効果を持つ訪問者と呼ばれるカードで、多数の効果が用意されています。
【ルールの簡単な説明】
※簡易的な説明に留めています。
ゲームボードは、ゲーム中に行えるアクションを表していて、季節(夏と冬)ごとに行えるアクションが分けられています。またプレイヤーボードは自身の農場の状態を表していて、植えられているぶどうの樹や、収穫したぶどう、醸造したワインの保管庫、そして農場に今ある設備を配置するようになっています。
プレイヤーボードには最初3つの畑があり、この畑に植樹カードを並べてぶどうの樹を植えます。3つある畑は売却アクションで売ることもでき、また買い戻すこともできます。収穫したぶどうは品質ごとに保管庫で管理され、これらのぶどうから醸造されたワインも品質ごとに保管庫で管理されます。そしてぶどうもワインも寝かせることで熟成され、品質が1段階ずつ上がるようになっています。
農場の設備には植樹するための条件となるぶどう棚や貯水タンク、秋に余分にカードを引ける宿屋、植樹するごとに点数が得られる風車、観光客が来たときにさらに勝利点が得られる試飲室、植えたぶどうの樹を取り除いたり収穫することができる農具、そして保管できる品質を増やすセラーの拡張があります。
ゲームは春、夏、秋、冬の4シーズンと年末の5フェイズに分かれていて、1年(1ラウンド)を表しています。
春フェイズではこのラウンドでのプレイ順を決定するために、スタートプレイヤーから時計回りの順番でプレイ順を選択します。1番目は特典はありませんが、2番目以降はカードを引ける、お金を得るなどの得点があります。
夏フェイズでは春フェイズで決定した順番で、プレイヤーが持っている労働者と親方コマ1個をゲームボードのアクションエリアに配置することで、アクションを行います(配置したコマは年末になるまで戻ってきません)。これを全員がパスするまで繰り返します。
夏フェイズで行えるアクションは、ぶどうの樹を表す植樹カードを引くアクション、そして手持ちのぶどうの樹を自身の農場の畑に植えるアクション、自身の農場に設備を建設するアクション、ぶどうの売却および畑を売買するアクション、手持ちの夏用の訪問者を使うアクションがあります。
秋フェイズでは春フェイズで決定した順番で、夏用の訪問者または冬用の訪問者のカードを1枚引くことができます。
冬フェイズでは春フェイズで決定した順番で、プレイヤーが持っている労働者と親方コマ1個をゲームボードのアクションエリアに配置することで、アクションを行います。夏フェイズで自身の労働者と親方コマを使い果たしている場合は、何もすることができません。これを全員がパスするまで繰り返します。
冬フェイズで行えるアクションは、自身の畑に植えているぶどうを収穫するアクション、手持ちのぶどうからワインを醸造するアクション、ワインを出荷するための注文カードを引くアクション、注文を満たすように手持ちのワインを出荷して勝利点を獲得するアクション、新しい労働者コマを雇用するアクション、手持ちの冬用の訪問者を使うアクションがあります。
最後に年末フェイズで配置したコマの回収、ぶどうとワインの熟成、付加価値による特別収入を得て、次のラウンドへ移ります。
いずれかのプレイヤーが20勝利点を越えるまでラウンドを繰り返し、ゲーム終了後に最も点数が多いプレイヤーが勝利します。
【感想】
1回プレイしました。
ゲーム内容自体はワーカープレイスメントに分類されるゲームで、プレイ順の決定方法、アクションの内容やアクションの選択方法はわりとよくあるルールだと思います。ですので、これらの部分では特徴的なものはありません。
アクションが大きく夏用と冬用に分かれていてフェイズも2つに分かれていますが、アクションのグループ化も他のゲームで見られるルールですので、特に新しいものではありません。
このゲームを大きく特徴づける部分は、「訪問者」と呼ばれるいろいろな特殊効果があるカードを使うところだと思います。「訪問者」カードも夏用と冬用に分かれていますが、すべて異なる効果を持っています。さらにこれら「訪問者」カードには、効果の強弱があります。中には、場面によっては強すぎるカードも含まれています。
そしてカードの効果は、他のゲームに比べると派手な効果が多いです。訪問者カードを使わなければ、恐らく他のプレイヤーから遅れることになるでしょう。そのため毎ラウンド、訪問者カードを使用するアクションはすぐに埋まるほど人気が高く、春フェイズでのプレイ順選択では特典よりもプレイ順の早さが重視されていました。
確かにカード効果は派手で面白く、通常のアクションを行うより効率がいいのですが、残念ながら私が見る限りバランスが良いとはとても言えません。そしてこれらのカードは山札からランダムに獲得しますので、カードの引き運がかなり強いと言えます。強い効果の訪問者カードを多く引ければ、かなり有利にゲームを進められると思います(もちろん、それだけで勝てるほど甘くはありませんが)。
またゲームが始まった頃はプレイ順の選択で後手番を選ぶことで得られる特典が考慮されていましたが、ゲームが進むにつれて1手番でも早くなるようにプレイ順の先頭から選ぶように変わっていました。訪問者カードを確実に使うためというのが理由なのでしょうか、これでは後手番を選ぶための理由となる特典の意味がありません(卓に参加している人によって、何を重視するかは変わるのかもしれませんが)。また各アクションには特典付きのスペースがあり、これも手番を早くしたいという理由になっていると思います。手番順の決定による特典を生かすのではあれば、アクションスペースの特典は不要だったのではないのかと感じます。
さて、ここまで不満を述べましたが、では全く面白くないのかというと実はそれでも面白かったというのが率直な感想です。人によって感じ方は異なると思いますが、これらの効果が派手な訪問者カードを許容できるかどうかが、このゲームを面白いと思うかどうかに繋がると思います。派手な効果で一気にお金や勝利点が得られるのは、正直気持ちがいいものです(私は許容できる人間だったのでしょう)。逆に堅実な経営ゲームを期待している人は、がっかりすることになるでしょう。
核となるワイン農場の経営に関してはしっかりと作られているため、効果が派手なカードさえ許容できれば、十分にこのゲームを楽しめると思います。
- 1884興味あり
- 2975経験あり
- 1178お気に入り
- 2180持ってる
drillさんの投稿
- レビューイスタンブール:ダイスゲーム【はじめに】2017年にPegasus Spiele社から発売されたダ...約6年前の投稿
- レビュークシディット王国記【まえがき】2014年に、Libellud社から発売されたボードゲーム...約6年前の投稿
- レビューサイズ -大鎌戦役-【まえがき】2016年に、Stonemaier Gamesが発売したボ...約6年前の投稿
- レビューリカーーーリング【まえがき】2016年に同人サークル「賽苑」が発売したカードゲームです...6年以上前の投稿
- レビューストライク【まえがき】Ravensburger社が2012年に発売したダイスゲー...6年以上前の投稿
- レビュー光合成【まえがき】Blue Orange社が2017年のGen Conで発売...6年以上前の投稿
- レビュークイーンドミノ【まえがき】2017年にドイツ年間ゲーム大賞を受賞した「キングドミノ」...6年以上前の投稿
- リプレイルターの宗教大改革このゲームには通常の3~4人プレイ以外に、2人プレイおよびソロプレイの...6年以上前の投稿
- レビュー路面電車【はじめに】2015年にLookout Games社から発売された2人...6年以上前の投稿
- レビュークロンダイク・ラッシュ【はじめに】Red Raven Games社が2017年のGen Co...6年以上前の投稿
- レビューヒット・ザ・ロード【まえがき】2016年にフランスのメーカーSpace Cowboys社...6年以上前の投稿
- レビューマジックメイズ【まえがき】2017年前期にSit Down!社が発売した、非コミュニ...6年以上前の投稿
会員の新しい投稿
- レビューファイブ・トライブス:ナカラの魔神使いマンカラ系の名作と謳われる本作。私は他のマンカラをプレイしたことはない...5分前by UTA
- レビューピキットとてもシンプルなカード争奪ダイスゲーム。ダイスを2つ振って、その数字の...約1時間前by UTA
- レビューゲームジャーナル89号 フランス革命1789フランス革命を、その始まりから終わりまでをプレイすることができるゲーム...約2時間前by Hide
- リプレイパンツァーブリッツ古いジェネラルに記事がありました。紹介します。図版はありませんが、現在...約4時間前by mikeko
- レビューチャーターストーン初のレガシーゲーム! 12ゲームのキャンペーンが終了したぞ! メンバー...約5時間前by matz_jon
- レビューセイル2人用トリックテイキングゲームの中で、個人的に1、2を争う位好きなタイ...約10時間前by みね
- レビューサニーオアレイニー晴れ、曇り、雨の宣言をして、決められた宣言数だけ山札からめくり連続して...約14時間前by うらまこ
- レビューヒート運要素があり楽しめました。車好きなので自分の趣味にも合ってました。約15時間前by 金賢守(キムヒョンス)
- レビュークーフシュタイン6/102023年スカウトアクション6位作品。この年の1位はリバイブ。...約15時間前by 白州
- レビューウォーターフォールパーク凄くルールがシンプルだけど、ボードゲームとはこれだよね!というのを凝縮...約15時間前by ヒロ(新!ボードゲーム家族)
- レビューモンスターヘクスご提供頂ける機会がありましたのでレビュー。かなり話題になった注目作。ゲ...約15時間前by 瀬戸夏希
- レビューラグランハ:ノーシエスタ!ラグランハの紙ペンゲーム。紙ペンゲームですがコンボ感は弱めで、人数分プ...約15時間前by うらまこ