プレイ感で近いのは、テラフォーミングマーズです。手札のカードまたは一般コストでメインアクションを行ないますが、カードの方が基本的には強いです。
テラフォと違っているのは、手札の見通しの良さです。使用条件を確認するようなカードも無く、手札もラウンド最後に4枚にしなければならないので、それ以上持っていたら、最後の手番の時、フリーアクションで廃棄して資源変換等に使ってしまわなければなりません。ラウンド頭の収入フェイズ等で、数枚カードが増えます。
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↑ 公転する太陽系ボード。セットアップでは、この写真のように、地球と天王星、海王星は、できるだけ(1マスでも)遠く離れるようにするべき(後述)
メインアクションは以下の通り。( )はコスト
○探査機設置(2金)
○軌道衛星化(1金1エネルギー)
○惑星着陸(3エネルギー)
○恒星調査(1金2エネルギー)
○データ解析(1エネルギー)
○技術研究(6知名度)
◎カード(1〜4金)
全部で6種類で、それをカードで行なう時は、このコストの代わりにクレジット(お金)で払うという感じです。
しかし、全てのカードにアクションが付いているとは限りません。また、お金とエネルギーはすぐカツカツになります。フリーアクションでは、カード廃棄の他に、2金や2エネルギーや2カードを、1金、1エネルギー、1カードに変えることができますが、アクションを急いでいない場合は、勿体無いので控えて、次の収入を待った方がお得です。ただ、そればかりでは、手番は増えませんが…
できることが無くなったらハードパスをします。これを全5ラウンド行ないます。
大きなVPは、探査機設置→惑星着陸でのVPです。惑星着陸アクションをするには、探査機を設置した地球から、フリーアクションで太陽系内を移動させ、惑星に到着させておかなければなりません。この移動には、1マスにつき1エネルギーを払うか、移動に変換できるカードを捨てたりする必要があります。さらに、着陸に3エネルギーが必要です。
その探査機を太陽系ボードから今度は惑星ボード内のその惑星に着陸させ、VPと「太陽系内異星生命痕跡(黄色)」を得ます。これも主にVPです。
惑星着陸アクションの事前に、技術研究による「衛星着陸可」という探査技術を手に入れておくと、惑星自体ではなく、その衛星に着陸することができ、こちらの方がVPなどのボーナスが大きくなります。衛星は惑星と違って先着1名です。ただし、衛星VPでは、痕跡(黄色)は貰えません。(木星の衛星エウロパと土星の衛星タイタンは貰える。しかも2つ💦)
恒星調査とデータ解析は、セットの関係です。恒星調査アクションでは、地球が属するセクターと、カードに示されているセクターの2箇所のデータを集めることができます。1つのセクターの全てのデータを半協力で取り終えると、一番貢献したプレイヤーは「他恒星系異星生命痕跡(赤)」を得ます。これも主にVPです。
また、個人で集めたデータは、個人ボードに並べていくことで満杯となります。この時1エネルギーを払ってデータ解析アクションを行なうと、「データ解析による異星生命痕跡(青)」を発見することになります。これも主にVPです。
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↑ 個人ボードとカード。メインアクションの種類とコストは、全てボードに書かれているので、サマリーを使わなくても大丈夫。データはフリーアクションなので、すぐ配列する必要はない。138枚のカードには、金色帯の終了時VPカードと銀色帯の達成カードも含まれている。さて、この状況ではどんなアクションができるか?1金のカードがプレイできる、それから軌道衛星化もできる。他には?
……実は、全部のメインアクションができます。(知名度は6あるか分かりませんが)。まず、探査機設置は、1金足りませんが、カードを2枚捨てて1金に交換すればできます。ただし、技術研究されていないと、太陽系内に2機目の探査機設置はできません。2金のカードも、他の2枚のカードを1金に変えればプレイできます。惑星着陸も、任意の惑星に移動しないといけませんが、カード4枚全てを2エネルギーに変えればできます。恒星調査は、カード2枚を1エネルギーに変えればできます…
しかし!これらは無理矢理過ぎてカードが勿体無いです。そこで、まずフリーアクションでデータを4つ並べます。4つ目の「収入ブースト」によりカードの右下部分の収入を貰います。1金や1エネルギーのカードを使えばいいのです。
データ解析アクションは、データが後1つ足りませんが、フリーアクション(カードの左上部分)で、データアイコンのある1金か2金のカードを捨てればできます。
さて、黄、赤、青3色の痕跡マーカーがセットで異星人ボードの下に置かれると、異星人が登場します。異星人ボードは5種類中2種類が使われますが、この痕跡のセットが提出されるまでは裏に伏せてあります。痕跡に貢献したプレイヤーは、その異星人のカードデッキからカードを貰い、以後のゲームに役立ちます。また、以降の痕跡発見の際には、もう片方の異星人発見に貢献してもいいですし、明らかとなった異星人ボード上に痕跡マーカーを置くことができます。これにも大きなVPがあります。
と言うわけで、大きなVPは、惑星(衛星)着陸と異星人VP。あと、もう一つが目標タイルです。これは、3色の異星痕跡セットや、3色の技術タイル、収入のブーストカードの3色セットなどの条件付きVPです。「1セットにつき」なのでVPは青天井。目標をシフトして特化することはできます。
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↑ 目標タイルと恒星セクター。目標タイルには、25VP、50VP、70VP達成時に1つずつマークすることができる。早取りの予約的目標条件だ。なので、VPも惑星着陸などで先行しておいた方が良い。ただ、4つのうち計3つしか置けない。各恒星セクターにある4〜6つのデータがプレイヤー達の半協力によって全て書き換えられた場合、マジョリティの多いプレイヤーは異星痕跡(赤)を得る。右上は知名度トラック。
考察
◾️海王星の衛星トリトンと、天王星の衛星チタニアは、それぞれ26、25VPある。序盤は、これが狙いの一つとなる。知名度を6に上げ、探査技術「衛星着陸可」を真っ先に取る、衛星戦略だ。
◾️探査技術「着陸コスト3→2エネルギー」も序盤に得ると将来性がある。そもそも先に軌道衛星を打ち上げれば、その惑星着陸は−1エネルギーになるのだが、これは全プレイヤー使えてしまうので旨みが無い。
◾️惑星の中で着陸VPが一番大きいのは、なんと水星だ。12VPと黄色の痕跡が貰える。(1着には3データも)
◾️太陽系ボードは、太陽を円の中心として公転する4段階の回転式だ。誰かが技術研究をしたりラウンドが変わるたびに各段階が公転していく。途中、小惑星群に嵌ってしまうと、脱出するのに2移動分掛かる。
◾️軌道衛星化アクションは、惑星着陸アクションの代わりとして、その惑星の軌道に置かれる。コストが安く、収入カードを増やせるのが強み。しかしVPがそれほど大きくなく、異星生命痕跡も貰えない。狙いとして、目標タイル「同じアイコンの収入ブーストカード1枚につき5VP」などの条件と組み合わせれば強くなる。
◾️恒星調査アクションは、赤の望遠鏡技術を強化してから行なうと、一手番でMAX4データ貰えるようになり、赤の異星痕跡と青の異星痕跡が両方同時に取り易くなる。
◾️お金やエネルギーが全く無くて、カードだけ残っているような時は、フリーアクションでカードを捨てて、データや知名度を得れば、データを6個並べて(1エネルギーで)解析アクションができたり、知名度を6マス下げて技術研究アクションできたり、意外と手は続く。
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↑ 惑星ボード。序盤のポイントとなる海王星の衛星トリトンと天王星の衛星チタニア(右下)。明らかに、戦略好きボドゲーマーを誘っているゲームデザインだ笑。
最後に、異星人について。それぞれ2回は経験しましたが、個人的に好みなのは、イグザーシャンです。
・滑面宇宙生物アノマリー…一番地味。ボードのVPも小さいし、新しいルールもさほど気にならない。
・昆虫怪獣マスカマイト…ボードのVPは地味。デッキは惑星着陸アクションが多い。新しいルールでは、木星と土星で惑星着陸した後に、ピックアンドデリバリーが起こる。しかし、義務は無く、移動の手間が増えるので、優先しづらい。
・化石化惑星オウムアムア…新しいルールとして、太陽系ボードの中にオウムアムアのデータスロットが追加され、異星人ボードには痕跡発見で各色25VPのスペースがある。ただし、これには、新しい資源、化石トークンを入手しなければならない。
・ケンタウリアン星人…知的伝達宇宙人。デッキのカードのコストがお金では無く、エネルギーになっている。カードのアクションボーナスは、現在と未来に分けられて支給される。異星人ボードには、データをコストにすることで各色15VPの痕跡発見スペースがある。
・イグザーシャン星人…核依存宇宙人。痕跡を付けてないプレイヤーもデッキからカードを3枚貰う。痕跡に貢献したプレイヤーは、カードを多めに貰い、まずカードをプレイしなければならないが、これは裏にして手元に置く。カードには危険度の数値が書かれており、ゲーム終了時、この危険度の合計が一番大きかったプレイヤーは、最終総VPの10%のVPを払う!つまりプレイすると危険なカードなのだが、+20VP先、+40VP先にも、カードをプレイする未来が待っている。
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↑ オウムアムアとイグザーシャン。左、オウムアムアは太陽系で新しく発見された惑星ということで、木星の周期にデータスロットを置く。化石トークンを4つ集めてから痕跡を発見すれば、25VPが入る。右、イグザーシャン。カードの数字が危険度。1〜10まで15枚ある。ただ、カード自体に終了時条件VPが付いているので、条件に当てはまれば、悪くもない。なお、痕跡を発見しても、VPと一緒に危険度が貰える💦
と言うわけで、トリトンとチタニアの速攻、軌道衛星化の活用の難しさ、2人プレイだとセクター完了まで届きづらい、望遠鏡技術が優先されないなど、いくらか懸念点はあります。異星人も盛り上がりに差があるため、10%消費税のある(笑)イグザーシャンとケンタウリアン、オウムアムアの3枚から2枚を、最近では選ぶことにしています。
トリトンとチタニアの速攻を緩めるには、セットアップ時に、地球から一番遠いところに海王星と天王星を配置するのがベストです。あと、同じ衛星に後から着陸できるなんていう恐ろしいカードもあります笑
ピンクの望遠鏡技術の優先度が遅いなと思ったら、目標タイルに「オレンジピンク青3色技術のセット」を入れると幾分解消します。
また、2、3人プレイでセクター争いが鈍いなと思ったら、「セクター勝利と着陸のセット」を含めれば、セクター完了争いがもっと過熱します。調査アクションは弱いわけではないと思いますが、セクターが過疎っていると盛り上がりませんよね。
ホレック作品デビュー3部作の一角。同作者の「ガリレオガリレイ」も面白かったです。このゲームは、テラフォーミングマーズが苦手な自分でも、視認性が保てる程の手札の塩梅がお見事。手札管理が自然とスッキリする「令和のテラフォ」と言ってもいいんじゃないでしょうか。
とにかく、惑星着陸、異星痕跡、目標タイル、この3つですね!
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