- 1人~4人
- 60分~120分
- 14歳~
- 2012年~
ロビンソン・クルーソーmaroさんのレビュー
無人島サバイバルの金字塔的な作品。の題名を冠したボードゲーム。
そもそもロビンソンクルーソー(の物語)は実に28年間もの長期間無人島で生活したというものだからこのゲームの内容とは若干そぐわない・・・・
ということは置いておいても、これもボードゲーム界における協力ゲームの金字塔的な作品ということには違いない。
このゲームは、無人島で、避難所、柵、武器、道具を作りできる限りのことをして生き残りをかける。冒険し、食べ物を見つけ、野獣と戦い、天候の変化から身を守らなければならない。目的はシナリオにより異なるが、7つの難易度の異なるシナリオが含まれており、別に難易度の調整も可能となっている。
プレイしてまず感じたのは、ボードゲームっぽくないということ。コンシューマーゲーム(死語?)やPCゲームを落とし込んだような感覚を受ける。
子供に言わせると、どうぶつの森のようだ、ということであったが、確かにゲーム序盤はそういう感じもあるかもしれない。メカニクスとしてはワカプレ、タイル配置、リソースマネージメントなどを組み合わせた協力ゲームということになるのだが、プレイ感はいわゆるアドベンチャーゲーム(これも死語?)を思わせる。
シナリオを開始した直後は、効率よく食料や木材などのリソースを得るために道具を作らなければならない。さらにそこから住居を補強したり、武器を改良したり、探検に役立つモノづくりをしたりと、生きるための工夫をしながらシナリオの目的を遂行していく。
その間には面白いように様々なアクシデントが起こるため、目的の達成は容易ではない。
ある道具を作るためには他のアイテムや条件が必要となってくるため、最終的な目標を見定めながら時間内にパズルを解いていくような要素もある。
今回、ソロプレイと3人プレイでいくつかのシナリオを進めたが、雰囲気がでるのはソロプレイだろう。BGGでは1人から3人までは同程度の得票となっているが、個人的には人数が多いと混沌とした感じになる印象を受けた。
またゲームをクリアする難易度が非常に高いという意見が多い。購入後まず1番目のシナリオをソロでプレイしたのだが、意外とあっさりクリアしてしまった。何かルール間違えがあるのかと思いwalkthrough的な動画を見たが、誤りはなく、序盤で非常に有用なアイテム(宝物)を偶然にも複数入手したためと分かった。これにより体力、食料にかなり余裕ができたためであった。カードの引きや回り方、ダイス運などもからんでくることもあるが、それも1つの特徴である。ちなみにその後の別ゲームではすべからく苦しめられることになったことを申し添えておく。クリアできることを前提として調整されているシロモノではない。
プレイ人数については、ソロプレイではfridayとイヌの2つのワーカーが追加で使用できる。fridayは体力は少なく死にやすいが食料を消費しない働き者である。イヌにいたっては食料はいらず、不死身である。もっともイヌは著しく限定されたアクションしか行えないが。多人数になると、序盤から食料問題が発生してくるし、アクシデントが起きたときのダメージも大きい。プレイ感は異なるが、破綻しているようなことは全くない。
協力ゲームで問題になる奉行問題は、そもそもここでは話し合って最適解を探さないと生還はおぼつかないのであるから、可能性としてあるといえばある。しかし皆で意見を出し合える環境であれば良いと思われる。
テーマとメカニクス、そしてナラティブな要素がとても上手く同居しており、BGGで高評価なのも納得できる内容。ウェイトはおよそ3.8と重く、それなりに細かいルールを持つが、フェイズ管理やアイコンはうまく整理されているため、概要を理解すればマニュアルを確認しながらでも進めることができる。ただしある事象が、個人に影響を及ぼすのか、全体に適用されるのかなど、注意が必要な部分も多いためきちんとルールを消化していくことが求められる。
さらに、拡張やヴァリアント、有志のシナリオなどもあり、システムが気に入りさえすれば結構しゃぶりつくせそう。自分でシナリオを考えるのも良いかもしれない。ただ、1ゲームおよそ10ラウンドというのは長丁場で(ソロで2-3時間、3人では4-5時間かかった。しかも大抵誰かが死んでゲームオーバーとなった)、それなりの覚悟をもって臨む必要だろう。
2012年といえばツォルキン、テラミスティカといったマスターピースが発売された年でもある。このロビンソンもそれらに勝るとも劣らない名作であり、今更であるが、これまでプレイしなかったことを後悔するくらいのインパクトを感じた。
評価9/10 重さ8/10
- 347興味あり
- 383経験あり
- 127お気に入り
- 643持ってる
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