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  • 3人~4人
  • 75分前後
  • 10歳~
  • 2023年~
820名
8名
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9ヶ月前

カタンというゲームの懐の深さを思い知る

「カタン:サッカーフィーバー」は「カタンの開拓者たち」の拡張セットである。基本的なゲーム内容は「カタン」に準ずる為、言及する内容を追加要素に絞ってレビューを行う。


変更点概要

セットアップ

・砂漠を取り除き、島の中央を開けた状態で地形タイルを並べ、数値トークンを並べる。
・「2」の数値トークンが置かれている地形タイルを確認し、地形タイルを取り除く。取り除いた地形タイルが山地もしくは畑の場合、牧草地を1つランダムに選び、地形タイルを交換する。(山地・畑の代わりに牧草地が1つ減る)
・「2」の数値トークンは「12」が置かれている場所に置く。この地形は出目2,12の時に資源を産出する。
・地形タイルが無い2か所に、サッカー場タイルを配置する。
・各プレイヤーのショットトークンを1つ、サッカー場タイルに配置する。

下図はセットアップが一通り終わった状態のメインボード(とリーグボード)。
島中央と奥にサッカー場があるのが分かるだろうか。
そして2と12のトークンは手前にまとめて置かれている。

ゲーム中

・誰かが開拓地、都市を建設した場合、試合が発生する。
・サッカー場に接触する箇所に開拓地、都市を建設した場合、ショットトークンを1つ、既にサッカー場に置かれたトークンに重ねる形で置く。

試合

下図はリーグボード。

・リーグボードのペアリングチャートを参照し、試合を行う。例えば最初の試合は白vs橙、赤vs青となる。
・自分が持っているショットトークン1個につき1回、サッカーボールをダイスロールの要領で転がす。
・サッカーボールの上面がプレイヤーの色であれば成功。成功回数が多いプレイヤーの勝ちとなる。
・勝った場合、リーグ戦の勝ち点3点を得る。引き分けの場合は1点、負けの場合は0点。(カタン自体の勝利点ではない)
・リーグ戦の勝ち点はリーグボード右側の試合結果トラックで管理する。
・トラックの所定のマスに到達する度、好きな資源もしくは発展カードを獲得する。
・15試合が行われた後、もしくは誰かが勝ち点31を得た後は発生条件を満たしても試合を行わない。

下図はサッカー用ボードとサッカーボール。強盗団は何となく置いただけで意味はない。

その他

・リーグ戦の順位に応じて、ゲームの勝利点3~0点を獲得しているものとする。リーグ戦の順位が入れ替わった場合、勝利点も直ちに変動する。
・ゲーム終了条件は「誰かが11勝利点を保有した状態で手番を終了する」に変更される。
・自分の手番中に1度、公開済みの騎士カードを破棄することで、ショットトークンを1つ獲得できる。


紹介

「なぜ!?」と疑問を持たずにはいられない、ミスマッチなフレーバーを追加する拡張セット。カタンは大航海時代が舞台のはずだが、このサッカー場の作りはどう見ても19世紀に成立した現代フットボールのそれだ。カタンを知っている人間から見た場合の誘引力は筆舌に尽くしがたい。

中身はチョイ足しの拡張で、バカゲーに分類される。追加要素であるサッカーの試合は単純なダイスロールで行う単純な運ゲーだが、元々カタンはダイスロールを繰り返すゲームなので、カタン好きであれば特に拒否反応は無いだろう。
ある程度のノリの良さは求められるが、ダイスロールでの1vs1は否が応でも盛り上がる。試合は実質「コイントスで何枚表が出るか」という勝負で、それなりの確率で「ジャイアントキリング」が起きる。この点も盛り上げ要素として一役買っている。サッカーボールのロール方法にルールは無いが、是非専用ボードの上でデコピンで振って欲しいし、試合に勝ったらチームのサポーターとして喜んで欲しい。

サッカーのリーグ戦は最長交易路、最大騎士力と同様の部門賞と言って良い。リーグ首位は勝利点3を獲得できる上に、ゲームの終了条件が11勝利点と遠のいている。資源や発展カードの収入もバカにできない量で、サッカーリーグを無視してゲームに勝つことは難しい。最低でも3位を確保する戦略が求められるだろう。
サッカー場に隣接して開拓地・都市を立てることでチームは強化され、リーグ戦を優位に進められる。しかし試合以外ではサッカー場は資源を生み出さない。荒れ地と同様の扱いとなる。このためサッカーに傾倒すると発展が鈍化する恐れがある、というゲーム的な悩ましさがある。遊んでばかりではいけませんよ、とカタン島が語り掛けてくるようだ。

公開済みの騎士カードを破棄することで、サッカーチームの戦力を上げるという選択肢がある。最大騎士力が狙えない場合にリーグ戦の優勝を狙って方針転換する等、ゲーム中でも有効なオプションなのだが、この「転職」が行われる光景を想像すると…それはギャグとしか言いようがない。君らはそこまでサッカーがしたいのか。


留意点等

留意点の一つが、通常のカタンとは趣を異にする終盤の展開。どこまでもお祭りめいたゲームになる。
状況有利なプレイヤーに対抗するため共同戦線を張るのはカタンの常套手段だが、サッカーの試合はどこまで行っても1on1である。資源も点数も虚空からもたらされることがある為、特定プレイヤーへの妨害が効果的ではなくなっている。一方で点数を稼げる要素が増えたことで、1手で開拓地が建ち部門賞が複数動いて3点~4点を取って逆転、といった動きは現実的な頻度で発生する。終盤のじりじりした展開こそカタン、という考えであれば、肩透かしを食らう可能性がある。
カジュアルプレイであれば、大勢が決まった状態でグダグダ引っ張られるよりは「Vゴール」でサクッと終わってもらった方が色々と都合が良いように思える。これは極めて個人的な意見ではあるが。

気になるのが価格設定。セットの内容から見ると価格設定がやや割高に感じる。日本から購入する場合、このチョイ足しの拡張は送料込みで約4500円と、カタン本編よりも高い。早期の日本語版発売が求められる…うん?本当に要る?
(説明書以外は文字が無く、その説明書もPDFファイルで入手すればgoogle翻訳等でほぼ完璧に翻訳出来る為、言語の問題は特にない)


総評

良い「味変」キットと言えるのではないだろうか。
間違いなくバカなことをやらされているのだが、あくまでカタンの変種であり、このゲームのプレイにはカタンの知識・経験を十分に活かすことが出来る。カタンとしての面白さは(多分)損なわれていない。
良くも悪くもコンセプトが極めて明快で、期待通りの面白さを提供してくれる。自分に合う/合わないの判断もしやすい。

拡張するにあたっての調整も行われているのだろうが、それ以上に「カタン」というゲームの懐の深さ、そのフレームが強固にボードゲームプレイヤーに染み付いていることを思い知らされた。

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