- 2人~4人
- 40分~60分
- 14歳~
- 2020年~
パフューマリーwinterkoninkskeさんのレビュー
二人プレイ時の感想を書きます。
パフューマリーは、香水ブランドのオーナーとなって、調香師(ワーカー)を使って新たな香水を作り、ブランドの価値を最も上げたプレイヤーが勝利するゲームです。
パッケージにも「ドラフト+エンジンビルド+ワーカープレイスメント」と書かれている通り、三つのメカニクスをシンプルに繋ぎ合わせた中量級ゲームとなります。
手番ではワーカーをアクションスペースに置き、カードの列を取るか、手札のカードを自分の「ノート」にプレイするか、リソースを得るなどのアクションを行います。
全員がワーカーを置き終えたら、調香フェイズに移ります。
「ノート」と呼ばれる横三列のカード列には「トップ/ミドル/ベース」と名がついており、それぞれが独立したエンジンになっています。
プレイヤーはワーカーアクションの効果でこのノートにカードをセットし、リソースを増やしたり変換する流れを作ります。
最終的にトップ、ミドル、ベースに上がってきたリソースを消費して、手札の香水カードをプレイして得点します。
ラウンドの最後に場のカードを補充して、次のラウンドに移行。これを繰り返してカードの山札がなくなったらゲームは終了に向かいます。
三つのメカニクスが非常にシンプルにまとめられていて、ワーカープレイスメントの早取り、カードドラフトの悩ましさ、エンジンビルドの難しさと楽しさが綺麗に繋がっています。
本作の個性的な点は主に二点。
一点はカードをコストとして捨てて別のカードをプレイする際に、捨てたものは共通の場に戻すという点。
これによりカードは一枚として捨て札にならず、いずれかのプレイヤーの手に渡ります。そのためそこまで引きの要素が出てこないため、公平感のあるゲームになるほか、カード枚数も膨れ上がらない良い効果が出ていると思います。
二点目はエンジンが三ラインある点。
どこか一つだけを強化しても全く無意味なため、必ず三ラインをバランス良く整えていく必要があります。
それなのに、1ラウンドでセットできるカードは無理して二ラインが限界。生成か変換だけの単純な機関なのに、これらを同時に育てながら的確なリソースを作り出すのには大きなジレンマが生じます。
また作り出したリソースは「揮発」してしまうので、次のラウンドに持ち越せません。ここでプレイした香水カードに一個だけ保管する機能も付いており、これを上手く使えるかどうかが勝敗にも関わってきます。
メインとなるのは三ライン同時稼働のエンジンビルドの構築で、屋台骨の部分です。それをストレートに味わうために、馴染みのあるワカプレなどの機構を添えて遊びやすく調節されているイメージです。
そこに、調香師というフレーバーから花や動物の美しい、もしくは可愛らしい要素を借りてイラストと木駒に落とし込み、アートワークとゲーム性の調和が成されています。
見た目の小綺麗な感じとシンプルなメカニクスで親しみやすいように見えますが、エンジンビルドが思ったより難しくて挑戦しがいがあります。それ故に単純というわけでもないので、初心者にはあまり向かず、ある程度他のゲームでボドゲによくあるシステムを理解した中級者くらいからが面白い作品のように思います。
「ちょっとあの手の小難しいシステムのやつで遊びたいけど、1時間以上もかかるような重いのはやりたくない」なんて時に、サクっと表面的なところを掬って取るような比重の作風と言えるかも知れません。
あとは国産ゲームでありながら、ユーロゲームに負けないアートワークを目指したのであろうコンポーネントのこだわりにも注目です。
リソースとなる4種類の木駒は小さめなものがじゃらじゃらと入っており、ワーカーの調香師コマも独特な形でどちらも個性的。
オールユニークの香水カードは高級感のあるイラストにエンボス加工となっており、安っぽさを消すための処理がうまく為されています。
これらを小さめな正方形の箱に仕舞うと、本物の香水のようなパッケージになるという洒落た演出に。所持する満足感から高めようとする工夫が随所に感じられます。
大袈裟なユーロゲームから、日本の市場で好まれそうな部分に絞ってコンパクトにまとめた意欲作といった感覚なので、シンプルなエンジンビルドを楽しみたい中級者くらいのユーザーにおすすめです。
とはいえ、SNSで遊んだ報告を調べるとけっこうライトなユーザーも楽しめている感じがあるので、やはりデザインに惹かれて「やってみたい!」と思わせたら勝ちみたいなコンポーネントのパワーも強みです。
色んなゲームをコレクションする中で、ひとつ持っておいたら面白いかなと思います。
- 320興味あり
- 439経験あり
- 153お気に入り
- 471持ってる
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