- 1人~4人
- 30分~120分
- 12歳~
- 2020年~
アルナックの失われし遺跡ハナさんのレビュー
デッキ構築とワーカープレースメントの皮を被った、リソースマネジメントゲーム。
冒険をテーマにした、中量級ボードゲーム。プレイしたので感想を。
とても面白かったです。かなりプレイする前とイメージが違いましたが、相当頭を捻る良ゲームです。
【世界観とコンポーネント】
まずは世界観が最高に素敵です。未知の島を少しずつ調査していく感覚。様々な道具や助手のサポートを駆使して冒険を進めると、少しずつ島の様子が明らかになっていきます。遺跡には守護者のモンスター。追い払えばポイントになりますし、無理に追い払わずに恐怖(小さなペナルティ)を引き受けて撤退しても良い。平行して進めていく島の研究によってさらに勝利点が得られて、、と、冒険映画のようなわくわくする世界が展開されます。
このゲームはその世界観を表現するコンポーネントが非常にハイクオリティです。資源のトークンは作り込まれてますし、ボードやカードのイラストも美麗です。見ているだけでも満足感が高く、プレイ中も冒険の世界に浸れます。
【ゲームシステム】
一見するとデッキ構築とワーカープレースメント。カードを購入して捨て札を山札に戻して、、と、まさにデッキ構築の定番ドミニオンのような流れです。さらにワーカー2体を早い者勝ちで配置するワカプレ要素もしっかりあります。
しかし実際にプレイしてみると、デッキ構築がメインでもワカプレがメインでもありませんでした。
山札の回転回数が5ラウンド(最初のラウンドを除いたら4回)しかなく、運が悪ければ1ラウンド目で購入したカードでさえゲーム通して2回しかプレイ出来ない、なんて事もあります。カードも展開次第でバンバン買えるときもあれば、ゲームを通して3、4枚買って終わりの時もあり、「デッキを理想の形にカスタマイズしていくゲーム」という印象はあまりありませんでした。
ワカプレも、ワーカー2体から増えない上にラウンドの大半はワーカー配置以外の事をしているので、要素の1つでこそあれメインの行動ではない感じがします。
アルナックのメインはデッキ構築でもワカプレでもなく、多くのレビューがおっしゃる通りリソースマネジメントだと思います。デッキ構築もワカプレも、リソースを手に入れ、変換するための多くの手段の1つに過ぎない感じです。要求されたコストのセットを揃えて、カード→資源、資源→資源、資源→カード、資源→勝利点、といったように、様々なリソースを別のリソースに変換を繰り返し、最終的にリソースを勝利点に効率良く変換していくのがゲームのメインとなっています。
「手札を使って矢じりをもらって、貰った矢じりを助手の能力で宝石にして、宝石とコインを使って研究したらコンパスが手に入るから、そのコンパスと手札でワーカーを配置してまた資源をもらう、、」
というように、リソースのやり繰りはまるでパズルをしているようです。1つの事ばかり考えるのではなく色々な要素を多角的に考えなければならず、かなり頭を使いますし、綺麗に勝利点に繋がった時の達成感がとても高いです。
プレイの自由度も高く、例えばある目的のためにコンパスが欲しい!となったときに、コンパスを手に入れる手段が1通りではなく5通りも6通りもあったりします。それらの中から最も次のアクションにつながる手を考えて選択していかなければならず、本当に良い意味で悩ましいです。
【気になる点】
・要素が多いためセットアップとインストに時間がかかる
・長考する人が出がちでプレイ時間とダウンタイムが長くなりやすい
・ソロプレイ感
・あまりモンスターと戦ってる感じがしない
等が挙げられます。
インストは、デッキ構築やワカプレ等要素が多いためボードゲーム慣れしているかどうかでかなり理解に差が出ます。出来る事が多すぎて途方にくれたり、メインアクションとフリーアクションの違いが感覚的につかめなかったりと、他ゲームの下地がない人にはややハードルが高い印象です。
プレイ時間も人数×30分(慣れない初回はもっとかかります)と、4人プレイだと重ゲークラスなのが気になります。
干渉要素は、ワカプレ、購入、研究と早い者勝ちは多いですが相手を直接妨害する手段は乏しいので、相手の手を読んだ駆け引きはほとんどないです。黙々と自分のリソースと格闘する事になります。
モンスター討伐に関しては、ゲーム前のイメージだと強大な敵に全力で立ち向かう!という想像だったのですが、、実際はほどよいリソースを支払うと勝利点に変わるお手頃得点源、といったものでした。手に汗握る戦闘をイメージしてプレイした人は拍子抜けするかもです。
【まとめ】
私は非常に好きなゲームでした。
世界観は最高ですし、目の前に広がる多くの選択肢から様々な方法でリソースを得て、更なるリソースや勝利点に変換していくのがとても楽しいです。色々な得点方法があり、次はあれを試したい!というリプレイ意欲も湧いてきます。
反面、プレイ時間や駆け引きの少なさ、インストのハードル等、少し人を選ぶ所があります。
そこさえ問題がなければ、非常にオススメのゲームです!
ソロモードもしっかり整備されていて、難易度調整も出来る(ホームページからプリントアウトして使えるミニ拡張もあります!)ため、1人でかなり楽しめるのも良いところ。
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